topics

最新シャフト4本を打ち比べてみた ~2021年版~

2021/12/19 10:00

スピーダー、ディアマナ、ツアーAD、アッタス 大手4社モデルの特性比較

(左から)NX、PD、UB、KING。ブルー系が多い印象

藤倉コンポジット「スピーダー NX」(以下NX)、三菱ケミカル「ディアマナ PD」(以下PD)、グラファイトデザイン「ツアーAD UB」(以下UB)、USTマミヤ「ATTAS KING」(以下KING)と、これからの年末商戦に向けて、改めて注目視される4大シャフトメーカーの最新モデル。クラブフィッターの筒康博氏が試打を行い、採点(5項目/いずれも5点満点)とともに4モデルの特性をわかりやすく解説する。

■誰とでもマッチする不思議な「NX」

使用する硬さや長さによって特性が変わる不思議な感覚

「手元と先中部にかけて、何とも言えない“遊び”があり、しなるわけでもしならないわけでもない不思議な特性です。人間が体感できないほどの微小な剛性分布が多数入れ込まれた、いろいろな要素が詰まったシャフト。どんなプレーヤーが使っても、また衝動買いをしても、マッチしてくれそうな寛容性の高さを感じます

■個性派のディアマナ「PD」

ボール初速は4本の中で一番スピードが出ていた(58.0m/s)

「『ディアマナ』シリーズ特有の粘り感がありながら、中間部が大きくしなり、ムチのように復元してくれるのが特徴です。歴代モデルと比べて動きが明確で、好き嫌いがはっきり分かれる可能性も。合わせるヘッドや使用する長さによって評価が割れる個性派モデル。高慣性モーメントヘッドとの相性はすごく良いです」

■ミスをミスとして教えてくれる「UB」

走り感5点満点を含む高水準の評価軸に

「剛性に大きな山や谷がなく、手元から先端にかけて緩やかに分布されています。しっかり感が特徴の同シリーズでは珍しく飛び要素が感じられ、使い続ければ誰でも飛距離アップできそうな印象。意図通りに打てたときは理想の球筋を描き、ミスしたときはそのままミスとなるフィードバックの高いモデルです」

■“先調子”に惑わされないでほしい「KING」

打ち出し角は4本の中で一番高い結果に(14.7度)

「表記通りに“先調子”のイメージで振ると違和感を覚えるモデル。先がビュンビュン走るわけではなく、むしろ先端に剛性を感じ、手元の硬さはそれほど感じません。全体的なしなり量が大きく、手元調子ユーザーでも違和感のない仕上がり。『The ATTAS』のクセのなさに、『ロックスター(6☆)』の力強さを加えたような特性です」

“〇調子”の表記では判断できない特性分布に

NXとUBが中調子、PDが中元調子、KINGが先調子

4モデルの特徴をひと目で把握できるように、弾道の高さを縦軸、走り・粘りの特性を横軸とする図で比較した。特性では「NX」がやや走り系寄りの真ん中に、「PD」と「UB」は走り系、「KING」は粘り系に分類。以前はキックポイントの表記で、元調子=粘り、先調子=走りと分ける傾向にあったが、最新モデルには当てはまらない模様だ。

好相性のヘッドはどれ!? コレを見れば一目瞭然

・「NX」と合いそうなヘッド:
「守備範囲の広いシャフトなので、ヘッド体積460ccのドライバーであれば、どのモデルとも合うと思います」と筒。特定のモデルを決めずに、まずは使用中のドライバーヘッドに挿してみてはいかがだろう。

・「PD」と合いそうなヘッド:
ヤマハ「RMX VD ドライバー」「RMX VD59 ドライバー」、ピン「G425 MAX ドライバー」。しなり戻りが体感しやすいシャフトのため、慣性モーメントが高くブレにくいヘッドとの相性が良いという理由からピックアップ。

・「UB」と合いそうなヘッド:
テーラーメイド「SIM2 MAX ドライバー」、キャロウェイ「エピック SPEED ドライバー」、タイトリスト「TSi3 ドライバー」、ダンロップ「スリクソン ZX5 ドライバー」。ヘッドの特徴を自然と引き出してくれるUBには、いま売れ筋のツアーモデルと合わせると◎。

・「KING」と合いそうなヘッド:
ピン「G425 LST ドライバー」、コブラ「キング RADSPEED ドライバー」、ブリヂストン「B2 ドライバー」。打ち出し角の高さを得られる“ロフトアップ効果”が期待できるので、低スピンに定評のあるモデルをチョイス。

「1g」でもこだわりたい人はスペック比較

インプレッションや特性だけではなく、数値にこだわりたいという人には、スペック表を見比べてもらいたい。例として60g台のフレックスS(6S)で比べてみると、重量からトルクまで微妙に異なることが分かる。

上記すべて各社カタログ表示による数値

「重量」は主に振り心地に影響し、「チップ径」は先端部の直径、「バット径」はシャフトエンドの直径を指す。「トルク」は、ねじれの度合いを角度で表したもの。クルマのハンドルでいう“遊び”のようなもので、数値が大きいほど手の動きに対してヘッドの動きが鈍感になる。オートマチックに振りたい人は数値が大きいものを、自分で操りたい人は数値が小さいものを選ぶと良いだろう。

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

藤倉コンポジット
従来の概念を覆し、新次元への変革を遂げたシャフト
発売日:2021/09/16 参考価格: 44,000円
三菱ケミカル
「飛んで曲がらない」を徹底追及 操作性の向上により最大飛距離を狙う
発売日:2021/09/10 参考価格: 44,000円
グラファイトデザイン
発売日:2021/10/08 参考価格: 44,000円
UST マミヤ
つかまる、キング。
発売日:2021/11/12 参考価格: 44,000円