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M3とM4 打点外し実験、正直どこがどう違う?

2018/05/22 11:45

松山も使うMシリーズ、ズバリその違いは!?

ウェルズファーゴ選手権から使用(Getty Images/Sam Greenwood)

松山英樹が新たにM3 440 ドライバーを手にしたことで、さらに注目を集めているテーラーメイド Mシリーズ。ロリー・マキロイ(M3)、ダスティン・ジョンソン(M4)、ジョン・ラーム(M4)ら、いまや世界ランキング上位10人(5月21日現在)のうち6人がM3かM4ドライバーを利用しており、タイガー・ウッズ(M3)も含め注目選手をM3派?M4派?で色分けして分類してみたくなるほどだ。

「ロボットだと曲がるはず…」を逆説的に検証!?

いまなお議論が絶えない新発想『ツイストフェース』

今年1月に行われたM3、M4シリーズ発表会にて、米国CEOデイビッド・エイブルズ氏は「従来のバルジ(左右の丸み)とロール(上下の丸み)で作られたクラブは、ロボットテストではまっすぐボールを運んでいた。ただ、人間では曲がりが激しく、これを新機能『ツイストフェース』が補正します」と説明。『ツイストフェース』とは、フェース面をねじることでトウ側上部分、ヒール側下部分の打点の曲がりを防ぐという機能だが、発売以来この最新テクノロジーにゴルフメディアが飛びついた。

10mm、20mmずつ打点を外してテスト

感熱紙で打点を正確に測定

上記の発言を受け、性格もドライバーの軌道もねじ曲がっている(笑)GDOギア班は、『ツイストフェース』をあえてロボットで検証してみたくなった。そこで同じヘッド体積のM3 460 ドライバーM4 ドライバーを、同じシャフト(KUROKAGE TM5)で固定し、ヘッドだけをカチャカチャ機能で交換して試打テストを実施。トウ上、ヒール下、それぞれ10mm、20mmずつ打点を外してトラックマンでデータを採取してみた。

予想外に曲がった! トウ上はスライス、ヒール下はフック…

右への曲がり幅が一番大きく出たM3トウ上20mm外し
左への曲がり幅が一番大きく出たM4ヒール下20mm外し

M3、M4ともトウ上側で試打した時は、右側に打ち出しスライスに。また、ヒール下側で試打した時は、左側に打ち出しフックとなった。それぞれ従来のバルジとロールであれば、トウ上側だと右打ち出しフック回転、ヒール下側だと左打ち出しスライス回転になるギア効果が得られるはずだが、その効果をより大きく期待したようにも見えるMシリーズでは確認できない結果となった。

「従来のバルジとロールで作られたクラブは、ロボットテストではまっすぐボールを運んでいた」というテーラーメイド社のエイブルズ米国CEO氏の説明は、M3、M4を同じような条件でロボットテストした場合には曲がると暗に示唆していたと思える結果となった。

ヒール下ミスに強いM3、トウ上ミスに強いM4

※スピン軸(Spin Axis):バックスピンの回転する中心軸の左右の傾きのこと。右に傾くとスライス回転。左に傾くとフック回転がかかる

M3とM4の比較としては、トウ上側に20mm打点を外した結果から、M3が初速2.0m/s差(57.3m/s→55.3m/s)に対し、M4は0.2m/s差(57.8m/s→57.6m/s)に留まった。曲がり幅に関してもズレが少ないことから、M4のほうがトウ上のミスに強いといえる。逆に真ん中からヒール下20mmに外した場合、打ち出し方向がM4が7.4度の差(左0.1度→左7.5度)に対し、M3は4.1度の差(左0.9度→左5.0度)と影響が少ない結果に。ヒール下のミスにはM3のほうが強いことが分かった。

ロボットはすべて同じ力量、同じ軌道で測定

ちなみに別メーカーのクラブで、同じ実験を行うとどうなるのか? 最新モデルの中でミスの許容度が高いと評判のピン G400 MAX ドライバーでテストを行った。シャフトは異なるため一概に比較はできないが、トウ上側の結果ではM4、ヒール下側の結果ではM3の曲がり幅のほうが抑えられているのが分かる。

リアルロフトが寝ているM4

両方ともロフト表示 9.5度モデルで計測(GDO調べ/ユニバーサルゴルフ協力)

ウエイト位置がスタンダードのM3 460 ドライバーと、M4 ドライバーのリアルスペックを計測してみると、M4のほうがロフト角が表示より1.8度も寝ていることが判明。またM3より重心距離が長く、重心深度が深いことが分かった。このことを踏まえ、上記ロボット試打テストの結果をかんがみると、人間に置き換えた場合、コントロールしやすいのはM3、オートマチックに打てるのはM4と推定できそうだ。ただし、M3にはウエイト調整があるので、重心の距離も深さも変えられるメリットがあることは覚えておこう。

ロボット試打で見えた『ツイストフェース』の逆説的見解

新機能『ツイストフェース』は、人間のスイング傾向を50万発のショットデータを元に開発・設計されている。今回のロボットテストで曲がる結果が出たということは、やはりヒューマンテストを元に開発された機能なのだろう。

取材協力/株式会社ミヤマエ

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