渡邉彩香の復活をもたらした「J015」の特性とは
最近のモデルにはない希少なヘッド
ブリヂストン「J015 ドライバー」をご存知だろうか――。国内女子ツアーの今季初戦「アース・モンダミンカップ」で、5年ぶりに復活優勝を遂げた渡邉彩香の使用ドライバーだ。渡邉が5年前に愛用し、当時と同じ“オレンジクラウン”という見出しが躍った2015年モデルが、先週から再び多くのゴルフファンに認知されることとなった。
このドライバー、実はブリヂストン認定の工房のみで販売された、いわゆるカスタムモデル。市販はされているが、スイングを同社認定フィッターに見てもらい、じっくり弾道を分析したうえで開発されたクラブなのだ。
「『J015』は最近のモデルにはない、ディープフェース&ディープバックで重心距離はやや短め、重心深度はやや浅めの操作性の良いタイプです。ボールをつかまえればフック、逃せばフェードになり、自分で弾道を操るタイプのドライバーと言えます」と解説するのは、ギア事情に詳しいライター・コヤマカズヒロ氏だ。
フェードヒッター渡邉彩香との相性
コヤマ氏は、渡邉彩香の復活の要因を、次のように考察する。「彼女はもともとフェードヒッターで、左方向へ打ち出し、右に戻ってくる球筋を得意としていました。ここ数年、不調が続いた時期に使っていたモデルは、つかまりの良さを追求したオートマチックなタイプ。ライ角はアップライトで、極端に例えるなら、つま先上がりの状態で打っているようなものです」
「『JGR』シリーズのようなドローバイアスのモデルでは、フェードを打とうとして左へ打ち出したものの、そのままドロー回転がかかって、より左へといったミスが起きるリスクが高くなります」
これまでドローやストレートに球筋を変えるなど、いろいろチャレンジしてきた渡邉。一時はキャディバックからドライバーを抜いた時期もあったが、昨季から見てもらうようになった中島規雅コーチのもと、原点回帰してフェード一本に絞った。『J015』に戻したことも、彼女の変化を確実に後押ししたと言える。
渡邉彩香のブリヂストン1W遍歴
渡邉彩香の過去の使用ドライバーを見ていこう。
・2013年 ダイキンオーキッドレディス
「TOURSTAGE X-DRIVE 709 D430」(ロフト角9.5度)
・2015年 ヤマハレディースオープン葛城
「J715 B5 ドライバー」(9.5度)
・2015年 樋口久子 Pontaレディス
「J015 ドライバー」(9.5度)
・2016年 ダイキンオーキッドレディス
「J015 ドライバー」(9.5度)
・2018年 ダイキンオーキッドレディス
「ツアーB JGR ドライバー」(9.5度)
・2019年 ダイキンオーキッドレディス
「ツアーB JGR ドライバー プロトタイプ」(9.5度)
「ブリヂストンは、長年プロの使用率が高かったこともあり、伝統的に重心距離が短く、操作性の高いドライバーが多いのが特徴です。振りやすさを重視するため、慣性モーメントをあまり大きくしない傾向があります。その一方で渡邉選手が2018、19年に使用していたのが『ツアーB JGR』。このモデルは慣性モーメントが比較的大きめで、つかまりの良いモデルです。渡邉選手とは逆に、こちらの方がハマるという選手も少なくありません」
「改めて、選手が求める弾道とクラブの特性とのマッチングが重要であることを感じます」とコヤマ氏は最後に付け加えた。
「ドライバーを抜いて私に何が残るんだろうと思っていました」――涙ぐみながら過去の自分を振り返った渡邉。左へのミスを怖がらず、安心して振り抜ける。彼女の持ち味を引き出した『J015』の存在が、復活劇に大きく影響したことは間違いなさそうだ。
コヤマカズヒロ プロフィール
1974年生まれ、広島県出身。99年に「ゴルフパートナー」の立ち上げに加わり、膨大な量のクラブデータや査定基準の構築に関わる。独立後はゴルフライターとして執筆活動を行いながら、ゴルフ誌やWEB、書籍、放送など多方面で活躍。19年からYouTubeチャンネル「しだるTV」を開設。
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