みんなと同じクラブはちょっと…「限定モデル好き」への中古お買い得講座
「あの時、買っておけばよかった…」と手に入れずに後悔したクラブはないだろうか?近年増加しているのが、「販売店限定」や「数量限定」という謳い文句が付いたモデル。狙っていたけれど、手に入らなかったものも少なくない。気になる限定モデルを中古で探してみた。
「記念モデル」から「限定モデル」へ
ゴルフクラブの限定モデルが最近、急増している。販売チャンネル、販売数を限定することで各メーカーはプレミアム感を演出。瞬時に売り切れるようなモデルは中古ショップやフリマ・オークションサイトでも高値で取引される。なお、限定品はメーカーの直営店や直営サイト、全国の優良取引店舗で販売されるものが多い。
昔の限定モデルは「ソールのデザインが違うだけか!」というものも多かった。プロゴルファーの名前を冠したシグネチャーモデルに、勝利数を刻印した“だけ”のものも…。しかし近年の限定モデルはそんな特別記念クラブにとどまらない。
トレンドのひとつが、プロ用に製造したモデルを一般向けにも再現して販売するというもの。ゴルフクラブの規則を司るR&A、USGAの適合ヘッドリストには同じドライバーでも複数モデルが申請、登録されるものある。例えば、キャロウェイ「パラダイムAiスモークトリプルダイヤモンド」は5モデル(バージョン1から5まで)も登録。この中には市場には投下されず、プロに支給される特別なヘッドが含まれているのだ。
もうひとつのトレンドが、見た目の仕上げを変えたもの。カラーカスタムというアレンジが可能なモデルや、ゴルフ以外のブランドとコラボしたものもある。性能自体は変わらないが、他の誰とも違う楽しいクラブを使うことができる。
垂涎のツアーバージョン
プロ仕様モデル(ツアーバージョン)の販売に近年、非常に熱心なのがキャロウェイだ。キャロウェイ・エクスクルーシブと銘打っており、販売店と販売点数を限定してリリースした「パラダイムAiスモークトリプルダイヤモンドMAX」、「パラダイムAiスモークトリプルダイヤモンドS」に注目したい。この2モデル、中古市場では新品販売価格を超えるほどレアだ。
さらにスゴイのが「X PROTOTYPEアイアン」だろう。3種類のモデルをコンボ化しただけでなく、鍛造ヘッドをCNCの削り出しで仕上げるという手間のかかる手法を用いている。定価は7本セット36万1900円。まだ中古市場で見かけたことがない。
2024年のジャパンゴルフフェアでは、完全なツアーバージョンをフィッティングして販売するイベントを開催、1本20万超えの高価格にも関わらず、予約は一瞬で埋まった。憧れのプロ使用モデルを手に入れるチャンスの需給は高まっている。
限定カラーモデルも高値で取引
テーラーメイドはカラーバリエーションに熱心。「ステルス2」まで、マイステルスと呼ばれるカラーカスタム対応を行っていた。フェース、フレーム、ウエート等、各部分の様々なカラーカスタマイズが可能だった。中古市場でも通常カラーよりも高値が付くことが多い。
パターもマイスパイダーツアーというサービスを実施。「Qi10ドライバー」からはデザイナーシリーズと謳ったカラバリを用意した。こちらも中古市場で人気だ。なお、色の違いだけではなく、「Qi10ツアー フェアウェイウッド」はツアー仕様の4Wと6Wを限定販売した実績もある。こちらも高価で取引されている。
かつて話題になった限定モデルはいま
近年の限定モデルとして、真っ先に思い浮かぶのはタイガー・ウッズのシグネチャーモデル、テーラーメイドのアイアン「P7TW」(2020年)だろう。発売当時は8本セット28万6000円で販売された。中古ショップでも見かけることがある。15万前後というところだ。「これぞマッスルバック!」と言うアイアンだが、ボールが上がりやすく意外と打てるので勘違いして買ってしまいそう…(飛距離は出にくいのであしからず)。
中嶋常幸のミズノ「TN-87復刻モデル」(2015年)も印象的だった。発売から10年経過し、ネットオークションでは10本セット10万円弱で見かけるようになった。クラブの難度は変わらないので、購入の際は覚悟して。
限定モデルは、新製品と時期をずらして発売されることがほとんど。憧れのモデルをリリースしてくれるのはありがたい。尖ったツアーモデルは、正直言ってベストスコア更新に繋がるとは言い難いが、周りの人と違う一本が欲しい人にとっては喉から手が出るほど欲しいものなのだ。(文・田島基晴)