中古で始める「ボーケイウェッジ」 お買い得はSMいくつ? ギアマニアが指南
PGAツアーをはじめ世界中のプロゴルファーが愛用するタイトリストのボーケイウェッジ。新品単品ウェッジの売り上げは全体の過半数を占めるほどの人気ぶりだ。一般アマチュアのあいだでは「ボーケイを使ってみたいけれど、どうにも種類が多くてどれを選ぶべきかわからない」と言う人も少なくない。中古で購入する際のポイントをまとめてみた。
ボーケイ人気の発端はタイガー・ウッズ
1999年に発売されたボーケイウェッジ人気の火付け役は、タイガー・ウッズだろう。当時タイトリストの契約プロだったウッズは2000年の「全米オープン」から前人未踏のメジャー4連勝。その手にあった「ボーケイウェッジデザインウェッジ」は「200」、「300」、「400」の3モデルが6年間販売された。
05年に「ボーケイデザインスピンミルド」、09年に「ボーケイデザインスピンミルド2」、10年に新溝に対応した「ボーケイデザインスピンミルドC-C」をリリース。12年から現行のSMシリーズになり、2年周期でモデルチェンジを重ねている。「SM10」が最新作だ。
08年には日本限定モデルとして「TVD」、新溝に対応した「TVD C-C」などもラインアップした。14年にはSMシリーズと並行して販売される「ボーケイフォージド」が登場。こちらも2年周期でモデルチェンジしている(途中ボーケイコールドフォージドと言う名称だったが、現在はボーケイフォージドと元に戻った)。
25年でどう変わった?ソールのバリエーションが増えた
初代ボーケイウェッジは3種類のヘッド形状があったが、05年の「ボーケイデザインスピンミルド」からは基本的にティアドロップ形状の1つである。年式の離れたモデルを比較すると差を感じるが、年式が近いモデル同士なら違和感は少ないはずだ。
ボーケイウェッジは長い時間を経てソールのバリエーションが増えた。SM5以降はソールのグラインド(削り方)を表記し、グラインドとバウンス角の違うモデルを用意。SM5は5種類、SM6は4種類。SM7とSM8は6種類ある。さらにSM9は7種と最多。現行のSM10はD、F、K、M、S、Tの6種類となっている。また、日本の芝にマッチさせたボーケイフォージドは、現行モデル「ボーケイフォージド」で、B、F、K、Mの4種類がある。
中古なら「ウェッジの大人買い」がお勧め
ボーケイウェッジは中古の在庫も潤沢にある。だからこそ、どれを選ぶべきか迷ってしまうだろう。まず大切なのは、ウェッジはキャディバッグに2本、ないしは3本は入れるため、シャフトを揃えることだ。
問題はグラインドの選び方。ボーケイ初心者なら、接地面積が最も大きいKグラインドやスタンダードなFグラインドを選ぶのが無難だが、中古で異なるグラインドを数本購入し、コースで試して合わないものだけ再び下取りに出す“大人買い”をオススメする。そうでなければ、タイトリストの公式ウェブサイトを参考にしてもらいたい。また、タイトリストはウェッジフィッティングを全国で開催しており、練習場のマットの上からでも意外と差がわかることに驚くはず。
ヘッド重量の軽いフォージドシリーズも視野に
SMシリーズは、日本のメーカーのウェッジや、セット物のウェッジよりもヘッド重量が重い。重いと切り返しで“間”が取りやすく、やさしくなるメリットもあるが、違和感を抱くこともある。そんな日本のゴルファーのために、ボーケイフォージドシリーズは、SMシリーズよりもヘッドを軽くしている。SMシリーズの方が圧倒的に人気なのだが、筆者はフォージドシリーズの扱いやすさをオススメしたい。
SM7以降、ボーケイウェッジは重心位置の最適化にこだわってきた。もちろんスピン性能の追求も忘れてはいない。ただし、ウェッジも使えば使うほど手に馴染むクラブ。あるメーカーの元ツアーレップは「使い込むとソールも削れていき、使い手の癖がソールに表れ、スピン性能が上がる」と証言。もちろん、溝がなくなれば寿命は短いが、使い続けることが大切だと教えてくれた。
中古で購入する際には、まず状態が良いモノを選び、長く使いたい。ボーケイは年代が近いモデルであれば、混在させても違和感は小さいだろう。フォージドシリーズはSMシリーズよりもヘッドが少し大きく、軽いので、フルショットの機会が多い48度、50度、52度はフォージドにして、54、56、58度はSMシリーズというのもオススメしたいチョイスだ。
ロフトが大きいウェッジはバンカーショットで活躍するため、消耗が他のロフトよりも早いことをお忘れなく。リニューアルされても、形状の変化がほとんどないのもボーケイのありがたいところだろう。ちなみに初代ボーケイウェッジ、ボーケイスピンミルドは5000円しないが、競技のルールに抵触する旧溝なので注意したい。
最新作のSM10の中古はまだ少ない。SM9なら1万円台前半から、SM8だと1万円を切る。フォージドの最新作2023年モデルは、2万円弱、2021年モデルは、1万円台前半とお買い得感が出てきた。グラインドもしっかり選んで、使い続けることがウェッジ名人への道だ。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。
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