“コース攻略は手前から”は本当か?
スコアアップにつながる 知って得する考え方
前回、前々回と「ゴルフにおけるカッコいいしぐさ」をテーマに取り上げました。しかし、やはりカッコいいのは“いいスコアで回ること”! ……というと身も蓋もありませんが、ゴルフは考え方一つでスコアがよくなるもの。そこでコース攻略のコツをコースのつくりの観点から探ります。お話は、引き続き鳴沢ゴルフ倶楽部のグリーンキーパー、渡辺文洋さんに伺っていきます。
(取材協力/鳴沢ゴルフ倶楽部)
コースマネジメントの基本 その意外な理由
(S吉)ナイスショットをして、“わらじターフ”が飛んだり、グリーンにピッチマークができたりした時は気持ちがいいし、何よりそんなプレーはカッコよくて憧れます。
しかし私の場合、いつもダフってショートすることが多いので、つい大きめの番手を持ってしまい、たまにナイスショットをすると大オーバーしてしまって、大叩きすることがあるんです……。
(渡辺)それはナイスショットじゃありません。結果が悪ければ、芯に当たってもミスショットですよ。それに、大オーバーするから大叩きになるんです。
ところでS吉さんは「ゴルフは手前から攻める」というような言葉を聞いたことがありますか?
(S吉)はい。ラウンドする時のセオリーとして、よく言われますよね……。
(渡辺)これにはちゃんと理由があるんです。
グリーンオーバーは返しが大変
(渡辺)日本のゴルフ場は、限られた敷地内に収まるように工夫して設計しているコースが多いのですが、そのために、グリーンの奥に安全な場所を作る余裕がなくなっていることがよく見受けられます。
(S吉)といいますと?
(渡辺)よく思い出してください。グリーンの奥が急傾斜になっていて、グリーンオーバーすると、返しのショットが極端な打ち上げになるホールって多くありませんか?
(S吉)あー!確かに、そういうところにボールが行っちゃうと、当然アプローチも寄らないし、大叩きすることが多いです。
(渡辺)逆に、急斜面になっていて極端な左足下がりになるような場所も多くないですか?
(S吉)そうですそうです!そういうところも急な下りのアプローチになるので、やっぱり大叩きになりやすいです。
(渡辺)さらに、そういった極端な地形の奥に行かせないために、グリーン奥にバンカーが設置されているところもありますが、このような“救済のバンカー”であっても、アマチュアにとってはやはり難しいですよね。
(S吉)はい。その場合も下り傾斜に対するバンカーショットになることが多いですから、難しいです。
(渡辺)つまり、大オーバーすると大叩きすることが多いのは、コースがそうなっているからなんです!日本のコースの多くは、グリーン手前が緩やかな傾斜の花道になっていて、グリーン奥にフラットな地形がなくなっていて、グリーンの多くも受けグリーンになっているので「手前から攻める」がセオリーになっているのです!
(S吉)わかりました!これからは、オーバーするのはリアクションだけにします!
(渡辺)(リアクションもオーバーじゃなくていいんだけどなぁ……)
今回の役立つゴルフうんちく
・日本のコースは、グリーン奥が極端な地形になっていることが多いので、大オーバーすると大叩きの危険が増える
・「手前から攻める」はコースレイアウト的な観点からも、スコアアップに必要な考え方だ
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