新製品レポート

待ってました!これは僕らも打てる「LS」だ 新「ZXi LS」ドライバー試打

2024/10/28 15:00
「ZXi」シリーズ4機種のなかで最もスピンレスなモデル「ZXi LS」

ことし11月発売の新スリクソンは「ZXi」というネーミングの新シリーズへ。ドライバーは「ZXi MAX」「ZXi」「ZXi LS」「ZXi TR」の4機種がラインアップ。すでにツアーでも契約選手が使い始めているが、いちばん最初に注目を集めたのはPGAツアーのプレーオフ最終戦で松山英樹が使った「ZXi LS」だろう。今回取り上げるのはその「LS」モデル。製品の特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。気になる飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打をして分析した。

最薄フェースで初速アップ!ウエート調整でスピン量も調整可能

ソール部のウエートは前方に10g、後方に4gの2箇所(出荷時状態)

【ミタさん】
今回はアスリートゴルファー待望のスリクソン「ZXi LS」です。

【シオさん】
8月のPGAツアープレーオフ最終戦「ツアー選手権」で松山英樹選手が使ったことで、一気に注目されましたね。

【ミタさん】
その試合の初日が8月29日でしたが、R&Aの適合リストに掲載されたのが8月26日。リストに載った3日後にすぐ試合で使った形になりました。

【コウタロウ】
松山選手が早く使いたかったということ?それだけテスト段階から評価が高かったんですか?

【ミタさん】
そういうことでしょうね。テスト時に「すごい飛ぶ!弾きが良くて自信を持って振っていける」とコメントしていたそうです。

「ZXi LS」「ZXi」「ZXi TR」のフェースには高強度の「Ti72S」という新素材チタンを採用

【シオさん】
進化のポイントはどこにあるのでしょう?

【ミタさん】
やっぱりフェースです。今回のドライバーはセンター部分をスリクソン史上最薄フェースにし、周辺部分を厚肉化したことによってたわみを大きくしました。それが飛距離と弾き感につながっています。

【コウタロウ】
「LS」モデルですから、やっぱり4機種の中では最も低重心?

【ミタさん】
最も低くて浅めの重心設計です。でも「LS」の投影面積はスタンダードの「ZXi」とほぼ同じです。

構えた感じは「ZXi」モデルと大きく変わらない

【シオさん】
ソールの前方と後方にウエートがありますが、これは交換可能ですか?

【ミタさん】
もちろんです。標準だと前方が10g、後方が4gですけど、逆に配置することによって弾道の高さとスピン量を調整することができます。

【コウタロウ】
ウエート調整もふくめて、試打してみましょう!

「LS」としてはやさしいタイプ!打感は「MAX」とは別モノ

「『ZXi LS』は初速性能がしっかり上がりましたね」(コウタロウ)

【ミタさん】
まず、標準のウエート配置で打った印象はどうでしたか?

【コウタロウ】
これは飛びます! 純正シャフトでボールスピードが73m/s出ました。飛距離もキャリーで280ヤードを超えています。飛距離性能のポテンシャルは4モデルのなかでNo.1だと思いました。

【シオさん】
意外なのは私くらいのヘッドスピードでも球が上がるし、つかまらないわけではない。一般的な「LS」モデルと比較しても、かなりやさしめだと思います。

【コウタロウ】
私のヘッドスピードでバックスピンが平均2300回転前後なので、ミッドスピンくらい。「LS」というよりも「MS」です。

初速性能はとても高い。アスリートのゴルファーのコウタロウはスピンが入る傾向に

【ミタさん】
見ていて、とても振りやすそうでした。

【シオさん】
純正シャフトの「VENTUS ZXi 6」も硬すぎる感じはしません。中元調子系ですが先端側も適度に動いてくれてタイミングが合わせやすくかった。もうひとつの純正シャフト「ディアマナ ZXi」より粘る感じが強いですね。

【ミタさん】
打感はどうでしたか?

【シオさん】
「ZXi」や「ZXi MAX」とは違います。その2モデルは心地よい弾き感という印象だけど、「LS」は球離れが遅い。しっかりフェースに食いついてから、弾く感覚です。

【コウタロウ】
同感です。第一印象でスゴイと思ったのは、球離れが遅いのにボールスピードが速いところ。そこにいちばん驚きました。

ウエートを入れ替えた際のデータ。両者ともバックスピン量が増える結果となった

【ミタさん】
前と後ろのウエートを交換したら、どうでしたか?

【シオさん】
普段振り慣れている感じに近いこともあって、私はこっちの方が好きです。重心が後方になったことで球が上がりやすくなり、飛距離も伸びました。

【コウタロウ】
僕は最初のポジションの方が良かったけどコレはコレでいい。スピン量が200回転ほど増えますが左右の曲がり幅が小さくなる。安心感を求めるならこちら(後方に10グラム)で、飛距離性能を追求するなら前方に10グラムかな。

標準装着シャフト「VENTUS ZXi 6」の評価も高かった(S/59g/トルク4.3/中元調子)

【ミタさん】
元々、スリクソンの「LS」はプロゴルファーしか使えないような超ハードモデルではありません。海外メーカーの「LS」に比べるとバックスピン量は200~300回転くらいは多めです。弾道も中弾道くらいで、適度なつかまり感もあります。ヘッドスピードで言えば43m/s以上あれば、十分に使えるドライバーです。松山英樹選手も難しいドライバーはあまり好みでないと聞きますから、そのあたりも性能に反映されているのかもしれません。

【シオさん】
松山選手と同じドライバーを使っていいなんて、アマチュアにはうれしい話ですね。

まとめ

今作は外観の評価もとても高かった

■ 試打したクラブのスペック

スリクソン ZXi LS ドライバー
●ロフト角:10.5度(写真は9度) ●シャフト:ベンタス ZXi6 ●硬さ:S

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S

コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

ダンロップ
低スピンで飛ばす(スピン量調整も可能)
発売日:2024/11/09 参考価格: 85,800円