タイトリスト 917 D2 ドライバー
打ってみると?(弾道は)
試打クラブはロフト角9.5度のSフレックス。シャフトは純正の“タイトリスト・スピーダー517”。リアルロフト角はノーマルポジション(A-1)で9.75度。フェースの向きは-3.5度。アスリート向けなのに加え、ソールの座り具合の関係もあってオープンフェースの度合いが強い。フェースはやや面長。915 D2 ドライバーと同じく重心距離が長く、かつ重心が深く見える顔付きをしている。
シャフトはワッグルすると中間から先端部分がしなる。硬さの目安となる振動数は242cpm。アスリート向けシャフトとしては軟らかめだ。
まずはシャフトに合わせて、やや軽めにスイングしてみた。「スパーン」と低めの金属音とともにボールは飛び出した。915シリーズは硬くて音が高いインパクト音だったが、917シリーズではインパクト音が明らかに低い。プロ、上級者が好む引き締まった音になっている。好みは分かれると思うが、音が低くなった分だけ球離れも遅くなったようにも感じる。
ヘッドスピードを46m/sぐらいに上げて打ってみると、真っ直ぐ打つつもりでスイングすると球筋は軽いフェード弾道。前作同様、ノーマルポジションはオープンフェースの度合いが強いこともあってボールが捕まりきらない。弾道調整でフェースの向きを少しフックにした方が、オープンフェースの度合いが減り、ヘッド本来が持っているニュートラルな性能、重心の深さによる捕まりの良さを引き出せそうな感じがする。
そして印象に残ったのが、スイートエリアの広さ。前作同様に上下のミスに強いのに加え、917シリーズの方が左右のミスにも強い。915シリーズよりも明らかにミスの許容範囲が広がっている。オートマチックに直進性が高い弾道が打ちやすく、反面、意図的に球筋を打ち分けるのが難しい。
弾道計測してみると、フェース中央付近でヒットするとスピン量は2600~2900回転。ことさら低重心ではないので、低スピン弾道を打つにはフェース上側で捕らえる技術が求められる。 純正シャフトの“タイトリスト・スピーダー517”は、切り返しではシャフトの中間部分がクイッと程よくしなり、ダウンからインパクトにかけてはシャフト先端側がスピーディーにしなり戻る。典型的な先中調子のシャフトで、捕まりを意識して設計されている。
新たに重心位置をコントロールできる調整機能が付加されたが、基本的なヘッドの挙動はオートマチック系で、スイートエリアが広くてミスに強い。
アスリート向けだが、スコアが100を切れそうで切れないというようなアマチュアにも使いこなせるやさしさを兼ね備えている。ノーマルポジションでのオープンフェースの度合いが強いのが気になるが、これは調整機能で補正できる。カキーンという金属音よりも引き締まったインパクト音が好きな人には、917 D2 ドライバーはかなり満足度が高いモデルである。そして前作以上の飛びの性能の高さもさることながら、使うゴルファーを選ばない扱いやすさを兼ね備えたオールマイティなドライバーである。