クラブ試打 三者三様

プロギア LS ドライバーを筒康博が試打「軽いのに初速が出る」

2023/06/15 20:16

HS40m/s前後対象ドライバー HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?

ヘッドスピード(以下HS)40m/s前後でも、女子プロ並みのビッグキャリーとロングランを実現できるプロギア「LS ドライバー」。初代2021年モデルのコンセプトを受け継ぎ、同社史上最強の深低重心ヘッドという今作は、HSがそれほど速くなくてもボールを上げやすく、つかまりやすい低スピンショットが可能と評判だ。そんなLaunch(高さ)とSpin(スピン量)に着目したモデルを、HSの異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「細かいブラッシュアップが◎ 『LS』名称が難しい印象に」

つかまりすぎることなく安定してストレート弾道を放っていた

―率直な印象は?
「前作との比較では、細かい部分がブラッシュアップされています。HSが速くないプレーヤー向けのモデルとしては異例のゲンコツ型にもかかわらず、実際に打つとボールは上がり、フェースの食いつきが良く、やさしさを感じることができます。打音はやや中音に抑えてあり、振り心地と一致して、軽快に振り切ることができました」

ソール後方部を下げてさらに低重心化を図った新「DB(Deep Back)ソール」

―前作(2021年)とかなり変わった?
「全体的に大きく変わったわけではなく、ディテールがいくつか変更され、性能を引き立たせている印象を受けます。上からのイメージでは、前作よりややシャープで、明らかにやさしく見える投影面積ではありません。ただし、ボールの打ち出し角は高く、スピン量を抑えながら初速を出せて、やさしく飛ばせる仕様となっています。また、打音が前作は高反発のような甲高い音だったのですが、今作はやや抑えめに仕上げています。現在のドライバーは、中音のものがほとんどなので、その点はイマドキに変更されたといえます」

安心感を抱ける大型ヘッドというよりは やや小ぶりで操作性の高そうな形状

―弾道は前作と比べてやや低い?
「私の打点が安定していなかったので、弾道傾向が高い低いは言い切れませんが、上下のスイートエリアが広いことは把握できました。ティアップが低めでも高めでも、フェースの上め下めで当たっても、飛距離を落とさない。単純に高弾道で低スピンに特化したモデルではなく、平均的に高い飛距離性能をもったヘッドと評価できます。前作と違ってそれほどドローバイアスが強く感じず、ストレートに近い印象に変わっています。高初速でつかまりすぎずに前に飛ばせる。軽量でここまでボール初速値が高い点では、トップグループに入るドライバーといえます」

通常のCNC加工に比べて2倍の肉厚精度(同社比)というカップフェース

―他社でいうと類似モデルは?
「勝手ですが、すぐに思いつくのは、テーラーメイド『ステルス グローレ ドライバー』です。ボールのスピード感や飛び姿、クラブの振り心地で類似点が多い気がします。他には、キャロウェイ『パラダイム MAX FAST ドライバー』。つかまりが良くやさしいヘッドの代名詞『ゼクシオ 12 ドライバー』ではないような…、『ゼクシオ』シリーズでいえば『ゼクシオ エックス ドライバー』に近いと思います。同じカテゴリーと目されるピン『G430 HL ドライバー』は、もう少し軽いため(総重量274g ※『G430 HL MAX ドライバー』でFUJIKURA SPEEDER NX 45の場合)、より軽快さを求めるならピンになると思います」

上が今作の純正シャフト「SPEEDER NX」下が前作の「Speeder EVOLUTION」

―気になるデメリットは?
「『LS』というネーミングが、他社でいうところの『Law Spin(ロースピン)』としてとらえられやすいのが、唯一の懸念点でしょうか…。HSの速い飛ばし屋が、スピンを抑えて弾道を抑えるための表記として使われるので、対象ターゲットが異なります。名称と性能でギャップを感じてしまう人がどれだけいるかが不安。本当の意味『Launch & Spin(ランチ & スピン)』で把握しにくい場合は、『Light Speed(ライトスピード)』と認識しても良いかもしれません」

「前作と変わらず シャフトとヘッドとのバランスがすごくいい」と筒

―どのような人向き?
「私と同じくらい(50代前半)の年齢で、HS40m/s以下のゴルファーが、一番このクラブの性能を引き出せるように感じます。実際、飛距離を含めたトラックマンのデータも良かったので(平均242.5yd)、そろそろ使えってことなのかと思いました。あとは14本のセッティングの重量バランスを考慮すること。総重量が軽いので(288g ※硬さS/M-43の場合)、ドライバーだけ軽すぎるという事態が起こりやすい。購入を考えている人は、その点を踏まえて検討してみてください」

打音評価↑の影響で打感5点満点【総合評価4.3点】

【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:SPEEDER NX FOR PRGR(硬さS/M-43)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

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