クラブ試打 三者三様

タイトリスト TSR1 ドライバーを西川みさとが試打「非力でも打てるタイトリスト」

2023/06/20 20:00

スピード増し増し最軽量モデル HS30m/s台の女子プロ評価は!?

2022年9月に発売された3機種のタイトリスト「TSR」シリーズ(「TSR2」「TSR3」「TSR4」)の後発モデルとして、ラインアップに追加された最軽量モデル「TSR1 ドライバー」。振りやすさを追求したライトウエート設計でボール初速を加速させ、高い打ち出しと大きな飛距離を生み出すモデルは、どんなタイプのゴルファーに向いているのか? 前作「TSi1 ドライバー」と比較しながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「一般的な重量モデルと振り心地は一緒! 軽快さにスピード感をプラス」

精密機械かと思えるほど全くブレないショットを放っていた

―率直な印象は?
「シビアに感じていた同シリーズのドライバーのイメージが変わるほど、とても打ちやすくて驚きました。HS30m/s台の私でも打てるという喜びで、幸せな気分に(笑)。構えた瞬間からボールが上がらない、つかまらないといったハードな印象はなく、実際に振り心地も軽快で、違和感なくヘッドコントロールできる。私のような非力な女性ゴルファーでも振り切れるほど、扱いやすさを感じられるタイトリストです」

キャッチコピーは『ライトウエート設計が生み出す驚きのスピード』

―非力な女性ゴルファーでも打てるタイトリスト?
「はい、パワーのない人でも振り切れる要素がたくさん詰まっています。一番は軽さ(クラブ総重量:273g ※硬さSの場合)で、ヘッドだけでなくシャフトも軽量に仕上げた統一感。また、ソールしたときのヘッドの見え方が比較的シャローで構えやすく感じられ、プレッシャーなく構えることができます。それに加えてそもそも同シリーズが兼ね備えるヘッドの初速性能があり、HSでもボール初速でもスピード感という恩恵を受けられます

インパクトゾーンでの摩擦力を抑えた進化した空力デザイン

―他社の軽量モデルとの違いは?
「うーん…、違いはそこまではないかと思いますが、強いて挙げるなら、それほど軽さを重視していないところでしょうか。ピン『G430 HL MAX ドライバー』やキャロウェイ『パラダイム MAX FAST ドライバー』、プロギア『LS ドライバー』といった最近の軽量モデルと同じように、スッキリしていて振りやすい印象は同じですが、『TSR1』のみ実際の重量を聞くまで、同じカテゴリーということが分からなかったほどです。以前からの同シリーズのイメージ、またシックなデザインも含め、一般的な重量(ヘッドのみ300g前後のもの)と比べても、それほど振り心地に違和感を覚えませんでした。ヘッドの効き具合を最大限に抑え、全体の振り抜きの良さでHSを加速していく感覚は、『TSR1』ならではの特徴といえるのではないでしょうか」

重さ49g、トルク:5.7、バランス:D2、中調子(※硬さSの場合)

―純正シャフト(TSP120 50)の評価は?
「他モデルにも言えますが、ヘッドとの整合性が取れていてタイミングが取りやすく、適度な振り心地でトータルバランスの良さを味わうことができます。軽いだけではなく粘り感も感じられ、自分でしっかり振れている感じが心地いい。シャフトのしなりだけでヘッドが加速していくわけではなく、無理せずスピードを足してくれるため、絶妙な間合いで振り切ることができました

SureFit ホーゼルによってプレーヤーごとに精密設定が可能

―気になるデメリットは?
「アドレスして上から見た際、実際の設定より少しフラットに見えたため(※ライ角はスタンダード設定で58度)、試打前はボールがつかまるか不安を抱きました…。実際はしっかりつかまえられ、カチャカチャ機能(Sure Fit ホーゼル)もあるので、ライ角を調整してベストな見え方に合わせることも可能です。私には少し海外ブランド特有のフラットに見える形状のイメージが強かったのですが、プレーヤーそれぞれで実際に構えたときのイメージに応じて、アジャストしていけば良いと思います」

「軽いクラブが苦手な人ももちろんいるので あとは振り心地の相性」と西川

―どのような人向き?
「私くらいのHSであれば、女性でも男性でも性別は問いません。HS30m/s台後半から40m/s前後までであれば、どんなスイングタイプの人でも対象になるでしょう。同シリーズのヘッドを選ぶということで、過去モデルからのファンか、クラブへのこだわりが強い人がメインになると予想しますが、外観のデザインにこだわっているけれど、中身のやさしさも併せ持ったモデルを求めている人向け。ドライバーに、見た目と性能のギャップを持たせたい人こそ一度は試してみるべきだと思います」

“私でも打てる”の要素で評価上々【総合評価4.2点】

【飛距離】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:TSP120 50(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。

タイトリスト
発売日:2023/02/23 参考価格: 88,000円