タイトリスト TSR1 ドライバーを筒康博が試打「兄弟モデルとの共通点が増」
スピード増し増し最軽量モデル HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?
2022年9月に発売された3機種のタイトリスト「TSR」シリーズ(「TSR2」「TSR3」「TSR4」)の後発モデルとして、ラインアップに追加された最軽量モデル「TSR1 ドライバー」。振りやすさを追求したライトウエート設計でボール初速を加速させ、高い打ち出しと大きな飛距離を生み出すモデルは、どんなタイプのゴルファーに向いているのか? 前作「TSi1 ドライバー」と比較しながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「平均飛距離で勝負できる! 軽いだけで性能はほぼ『TSR2』」
―率直な印象は?
「ものすごく前に飛ぶというよりも、軽量モデルの中で力強さが感じられるという部分を評価して、飛距離評価を5点満点としました。コースで平均的に飛距離が出せるという意味で、飛距離の再現性が高い。一発がものすごく飛ぶというわけではなく、ラウンドを通してドライバーを使用する14回のティショットで、満足いく球筋を数多く打つことができます。元々持っていたミスヒットへの強さと振り心地の良さに、飛びという新たな強みが加えられた印象を受けます」
―前作「TSi1」と比べると?
「スピン量を抑えながら、やや高めの打ち出しで、球質がより強いものに変わっているのが実感できました。前作より打感でしっかりゴツッとした力強いフィーリングが味わえます。直進性があり、全く曲がる気配がない。他の兄弟モデル3機種も同じことを言えますが、『TSi』シリーズで飛び性能はほぼ完成したなと思っていたところを、『TSR』シリーズはしっかり上回ってきました。シンプルですが、飛距離をより実感できる点が『TSi1』との差といえるかもしれません」
―具体的にどこが変わった?
「違いを感じるのは、微小ながら重心が低くなったと感じる点。低重心化したことで、球を高く上げやすく、インパクト時の安定感が増しています。今年のモデルではキャロウェイの『パラダイム』シリーズのときに同じことを言いましたが、インパクトゾーンのロフト変化が少なく、余計な挙動をせずにスピードを保ったままボールを打ち抜けます。単純に重心がどことか、フェース素材が変わったという要素ではなく、根本的な設計で変化を取り入れていると思います」
―他に変わった点は?
「前作ほどドローバイアスは強くなく、兄弟モデル『TSR2 ドライバー』の直進性を維持したまま、軽量化された印象です。前作は『TSi2』『TSi3』と性質が異なっていたのに対し、今作は非常に『TSR2』に似ています。ピン『G430 MAX ドライバー』と『G430 HL MAX ドライバー』のような違いに似ていて、パッと見ただけでは違いが全く分からない。兄弟モデルとの共通点が増した点で、前作との違いを感じることができます」
―気になるデメリットは?
「性能面は見当たりませんが、イメージの問題で“軽い=飛ばない、年配ゴルファー向け”と思っている方がまだまだ多いところでしょうか。ただ、この『TSR1』は軽さに抵抗を感じる人にこそ、お勧めしたいモデルです。他社の軽量モデルより軽量モデルっぽくないと言いますか、通常の重量帯(ヘッド単体300g前後)とそれほど差を感じない。軽量モデルと呼ぶほど、実際はそれほど軽く感じるわけではありません。強引に表現するなら、“ちょい軽”なドライバーといったところでしょうか」
―どのような人向き?
「HS30m/s後半から40m/s前後で、ボールを曲げたくない、今よりもっとHSをアップさせたい、しかも外観で格好つけたいという欲張りなゴルファー向けだと思います。もともと同社ユーザーで、他モデルを持っている方のオプション(追加)モデルと考えたほうが良いかもしれません。私も現在『TSR3 ドライバー』を使っていますが、真剣にセカンドドライバーとして購入しようか悩んでいます。寒くなって体が回らない冬専用として、調子が下降してきたときのカバーアイテムとして、追加でもう一本持っておくのも良い手かなと思います」
TSR2評(4.5点)より高得点!【総合評価4.6点】
【飛距離】5.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:TSP120 50(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。