鉄芯テクノロジー搭載の新ST HS40m/s台のクラブフィッター評価は！？

ミズノ ST-X 230 ドライバーをご意見番クラブフィッターが試打したら…【筒康博】

「CORTECH CHAMBER（コアテックチャンバー）」と呼ばれる新テクノロジーを搭載し、新次元の飛びを目指したミズノ「ST230」シリーズ。ウレタン樹脂と一体成型させた鉄芯ステンレスと呼ばれる特殊素材を、ソール前方に採用することで反発力を向上させ、ボール初速をアップさせるという。そんな同社の自信作を、ヘッドスピード（以下HS）の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が、ドローバイアス設計「ST-X 230 ドライバー」の試打評価を行った。

• 1WのHS30m/s台・西川みさとの場合
• 1WのHS50m/s台・万振りマンの場合

「期待以上のグレードアップ！ 新テクノロジーの効果を感じる」

低スピン(平均2057rpm)でやや低弾道の強い球筋となっていた

―率直な印象は？
「2020年に登場以降『ST』シリーズは、新しくなるごとにどんどんブラッシュアップしている印象を受けますが、前作『ST-X 220 ドライバー』が非常に高評価だったので、それを上回るブラッシュアップは難しいと予想していました。ですが、今作を打ってみて、ちゃんと期待以上にグレードアップされ、飛びとやさしさの両立をさらに押し進めた印象を受けます」

“禁断のβチタン”「フォージドβチタン合金(2041Ti)」を採用

―ちゃんとグレードアップした要素とは？
「一番感じられたポイントは、打感です。試打前は、新テクノロジーの『コアテックチャンバー』が、どういう機能を果たすか想像ができなかったのですが、実際に打ってみると球持ちが長く、球質が改善された印象を受けます。プロモデルアイアンに定評のある同社が作るドライバーって、こういうフィーリングなんだと妙に納得してしまうほど。他メーカーのドライバーとは、考え方から作り方まで全く違うアプローチをしているなと思わせる独自性を感じます」

左がX、右がZ。どちらもクラウンだけでなくソール面もカーボン率が高い

―「コアテックチャンバー」が打感にいい影響を及ぼしている？
「そうですね、具体的には低重心化と振動吸収効果の2点で影響を及ぼしているといえます。単にヘッドサイズを大きくして、重心角を大きく、重心を深くすることを目的にして作っているわけではない。重心を深くしないまま球持ちを長くする効果として、『コアテックチャンバー』が存在している気がします。衝撃を吸収しながらも、重心が低くスピン量は少ないので初速感も出る。すごくモチッとしていてしかも飛ばせる、新鮮なフィーリングを味わうことができました」

慣性の力を働かせる鉄芯ステンレスを採用した「コアテックチャンバー」

―モチッとした打感…？
「はい。インパクト時にヘッドのたわみより、ボールを潰している感覚のほうが強いフィーリングです。実際のボールの潰れ具合は、他のドライバーと同じだと思いますが、ボールをより長く強く潰せている感触を味わえます。ヘッド自体がたわんでいるというよりも、ボールが潰れて変形するイメージがダイレクトに頭に浮かぶ感触。例えるなら、プロモデルアイアンで芯をとらえたときに、ボールを潰せたような気持ちよさを感じます」

前作「ST220」から引き続きグラデーションを配したクラウンデザイン

―気になるデメリットは？
「強いて挙げるなら、クラウン部の配色デザインでしょうか。前方がブラック、後方がカーボンの折り目が見えるグレーのグラデーションとなっていますが、この境い目の部分が重心になっているような錯覚を起こし、実際の重心位置との違いがあるの？ないの？ と余計なことを考えてしまう。ビジュアル面で集中力が散漫となり、少し構えにくく感じました。晴れたゴルフ場で日光に反射すれば、気にならなくなる部分だとは思いますが…」

「Zがややフェード弾道チックになるだけで兄弟モデルの差は少ない」と筒

―どのような人向き？
「アイアンもUTもミズノを使用し、同様にウッドもそろえたいと考えている典型的な同社ファン向きといえるでしょう。HSの速い遅いは関係なく、打感やフィーリングの好みで選べるドライバー。現在も同社のアイアンを使っている方のほうが、この"モチッと感"をプラスに捉えられるように思います」

打感と操作性が前後超えで5点満点【総合評価4.5点】

【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角：10.5度
・使用シャフト：TOUR AD GM D（硬さS）
・使用ボール：リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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