キャロウェイ CB ウェッジを筒康博が試打「単純な初心者向けではない」
安心感と自信をもたらすウェッジ HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?
キャロウェイ CB ウェッジをご意見番クラブフィッターが試打したら…【筒康博】
とにかくやさしく楽にグリーン周りを攻略できるキャビティ構造として人気を博したキャロウェイ「MACK DADDY(マックダディ)CB ウェッジ」。その後継モデル「CB ウェッジ」は、最新テクノロジーを駆使し、さらに“やさしいウェッジ”を具現化したモデルとして注目されている。そんな同社の自信作を有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「やさしさだけじゃない 新たなウェッジの提案かも」
―率直な印象は?
「キャビティ構造ということで、バックフェースの厚みとソール幅の広さから、やや“お助けクラブ”色が強いオートマチック性能と予想していたのですが、実際に打ってみると、マッスルバック形状のツアーモデルに近く、操作性の高さを感じます。見た目と使い心地のギャップでいうと、ここ1~2年に発売された最新モデルでは一番その差を大きく感じられるウェッジかもしれません」
―最新では一番ギャップを大きく感じる…?
「はい。構えて上から見るとシンプルで、いびつなサイズ感やシルエットといった印象は、全く感じません。実際に振ってみても、ソール面が全面で当たるわけではなく、V字形状で多面的に削られており、ロフト角を立て気味に構えれば前方が効き、少し寝かせると後方が効く。状況に応じて打ち方を変えられる多様性を感じます。バウンス角の設定は大きめ(ロフト50~52で12度、ロフト54~56で14度)にも関わらず、フェースを開いたり、少しリーディングエッジ(フェース下部の刃)を浮かせてもきちっと抜けてくれます。プロのようにフェースの開閉をものすごく使うプレーヤーではない限り、問題なくいろいろなライで対応してくれるモデルです」
―前作「MACK DADDY CB」と比べると?
「『MACK DADDY CB』も寛容性が高く、今作と同じくらいやさしい性能ではありましたが、圧倒的に違うのは打感とフィーリングです。前作は、キャビティ特有の複合素材を組み合わせたことが分かる硬めの感触でしたが、今作はヘッド全体に一体感が増し、やわらかさが秀逸。鋳造製法ではありますが、軟鉄の打感をここまで再現できていることに驚かされました。インパクト時の球持ちの長さ、手に伝わる振動の感覚がすごく心地よく、インパクト中のロフト管理が行いやすい。セット売りではなく、単品として発売されていることも納得の性能に感じます」
―「BIG BERTHA ドライバー」と同日発売ということは、アベレージ向け?
「うーん…。このようなバックフェースの形状を見ると、初心者向け、ドライバーでいうとスライサー向けと、安易にカテゴライズしてしまうのですが、実は新しいジャンルのひとつの提案なのではないかと推測します。例えば、ここ10年以内にゴルフを始めた方は、初めからカチャカチャ機能の付いた460ccの大型ヘッドドライバーが標準装備。フェアウェイウッドはもしかするとチタンヘッド、アイアンは大型キャビティでロフトも立っているモデルからスタートしたゴルファーもいっぱい存在します。そういう方にとっての単品ウェッジは、実はマッスル形状ではなく、このようなタイプかもしれません。私のようなゴルフ歴の長い人間が、思い込みから初心者向けと決めつけるのは時期尚早かもしれません」
―バンカーでの対応力も「5点」満点ですが?
「めちゃくちゃやさしいです。単にソール幅が広いからバンカー対応力が高いということではなく、グラインドの形状や削られた角度が巧妙にメリットとして効いています。ヒール側の落とし具合も絶妙で、フェースを少しだけ開いても、フェースはストレートのまま軌道だけをフラット気味に打っても、ちゃんと脱出が可能。高さもしっかり出るため、スピンをかける打ち方をしなくても、うまくフワッとスピンがかかったショットが打てる。芝の上と同じ打ち方でも、一発でバンカー脱出できるやさしいウェッジといえます」
―どのような人向き?
「ウェッジは、距離もライも過酷な状況で使うことが多いので、とにかくシンプルで、扱いやすく、やさしい性能が一番だと思います。スコアやゴルフ歴に捉われず、とにかくやさしいウェッジを探しているゴルファーに使ってもらいたい。今回使用した軽量シャフト『NSプロ Zelos 7 (硬さS)』以外に、中軽量級『NSプロ 950GH neo(硬さS)』もラインアップされているので、アイアンセットとの流れを考慮し、食わず嫌いせずに試してほしいです」
新たな提案と言わしめる性能【総合評価4.6点】
【スピン性能】4.0
【打 感】5.0
【抜け感】5.0
【バンカー対応力】5.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:花道、バンカーともに56度
・使用シャフト:NSプロ Zelos 7(硬さS)
・使用ボール:タイトリスト プロV1
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。
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