価値観を変える新1W HS40m/s台のクラブフィッター評価は！？

パラダイム(PARADYM) ドライバーをご意見番クラブフィッターが試打したら…【筒康博】

ゴルフクラブの“パラダイムシフト(既存の考え方や価値観が大きく変わること)”を実現するべく、キャロウェイが新たに打ち出す「パラダイム」シリーズ。業界初の360度カーボンシャーシを搭載し、飛びとやさしさの両立を実現する新構造ヘッドを開発した。そんな最注目シリーズのスタンダードモデル「パラダイム ドライバー」を、ヘッドスピード（以下HS）の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は！？

• 1WのHS30m/s台・西川みさとの場合
• 1WのHS50m/s台・万振りマンの場合

「従来モデルとは全く違う！ 異質な新しさを感じる」

左右の散らばりなく高さも一定して中弾道の強い球筋が出ていた

―率直な印象は？
「今まで打ってきたドライバーヘッドの重心位置とは全く異なる印象を受けます。カーボンボディによる重量配分のおかげか、空力効果をアップさせた影響からか、ものすごい速度でインパクト前後を通過します。何とも不思議な新しい感覚。例えるなら、新幹線に乗っていた人が、リニアモーターカーに乗り換えたほどの衝撃を受けました(笑)」

ヘッド中間部分を全てカーボン素材で構成した「360度カーボンシャーシ」

―リニアモーターカー…？
「はい。ボールの手前60～70cmから、その先1mまでのインパクトゾーンで、通過していくヘッド速度が、実際のHS以上に感じられます。しかも、その間にヘッド挙動の揺れが非常に少ない。結果的にミスヒットしても弾道は許容範囲内に飛んでくれます。これまでにはない飛距離性能と寛容性の高さで、表現に困るほどの進化が見られました」

左が「パラダイム」右が「―X」。同じ460ccでも投影面積がかなり違う

―「パラダイム X ドライバー」と比べると？
「『―X』と打ち分けることで、カーボンボディのメリットをより感じることができました。極端に重量を、前方(フェース側)と後方に配したシリーズですが、スタンダードモデルよりその距離がある『―X』を打つことで、中央の重量が必要ないことをより実感できます。特に安定感の部分で、実際の出球とインパクトイメージとがズレることなく、当たった感触と飛び出していくボールの見え方が同じ。HS以上にボールが速く前に飛び、弾道の中間地点とその先でボール速度がずっと落ちないように感じました」

約13.5gのペリメーターウエイトにより慣性モーメントが大幅アップ

―世間的に「ステルス2 ドライバー」と比較されることが多いと思いますが？
「長所も短所も含め、完全に両メーカーの方向性が分かれた印象を受けます。『パラダイム』は、『ローグ ST』のやさしさとつかまりの良さに“飛び”をプラスした変化。一方の『ステルス2』は、前作『ステルス』のやんちゃな飛びに、寛容性のスパイスを加えた変化。スタートラインが全く違うため、カーボンの使い方でこれだけ弾道とフィーリングが異なるものかと驚きました」

打点ズレにも対応しターゲットに合わせて弾道を補正する新「AIフラッシュフェース」

―気になるデメリットはありますか？
「新しい第一歩的なモデルであるために、多くのユーザーが納得して購入するまで、多少の時間を要する気がします。店頭の試打ブースで1～2球を打っただけでは分からない新しさがあるため、購入者もお店で販売している方すらも、“？(ハテナマーク)”にならないか。実際コースで試したり、『エピック』『ローグ ST』と比較したり、自分のエースモデルと比べるなど、日を改めて複数回試打をして、ようやく体感できる斬新さ。その新しい性能が逆に、売り上げとして仇(あだ)とならないかが唯一の懸念点です」

「新ブランドの初代モデルとして賛否両論ありそうですが この完成度は驚き」と筒

―どのような人向き？
「少なくとも現在2～3本のドライバーを所有している人や、新しいテクノロジーや製法に興味のあるギアマニアの方にこそ、試してもらいたいドライバーです。逆を言えば、ある程度ヘッドに対する知見や感度が高いゴルファーでないと、この革新性を体感できない可能性が考えられます」

3項目で5点満点◎ 過去最高レベルの評価【総合評価4.8点】

【飛距離】5.0
【打 感】4.5
【寛容性】5.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】4.5

・ロフト角：10.5度
・使用シャフト：VENTUS TR 5 CW(硬さS)
・使用ボール：リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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