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松山英樹「M5」から「SIM MAX」への移行を考察

2020/01/29 16:59

「SIM MAX」は「M6」の後継とは言いきれない!?

M5からSIM MAXへ移行した松山

今月発表されたテーラーメイドの「SIM ドライバー」と「SIM MAX ドライバー」。先週の「ファーマーズインシュランスオープン」までを振り返ると、すんなり移行する選手が多いなか、目を引いたのは松山英樹だ。彼が手にしたのは「SIM」よりつかまりが良いとされる「SIM MAX」。その選択について考察してみた。

「SIM」はソールに可変式ウエイトが付いている点で、共通している「M5 ドライバー」の後継と目される。一方の「SIM MAX」は付いておらず、「M6 ドライバー」の後継と考えられる。順当にいけば「M5」→「SIM」、「M6」→「SIM MAX」への流れが自然なようにも感じるが、なぜ松山は「M5」から「SIM MAX」に移行したのだろう。

上記の疑問について、米ツアー選手のギア事情に詳しいライター・コヤマカズヒロ氏は、「『SIM MAX』の特性と松山選手の調子が関係している」と、考えられる理由を2点挙げた。

「特性については、『SIM MAX』は『M6』の後継という位置づけですが、『M6』より操作性があり、打感が良くて低スピンが出ることで、松山選手のように改めて『SIM』ではなく、『SIM MAX』で試したいと思った選手も出てきたと考えます」

クラウンのヒール側(SIMとM6のロゴが入った部分)のラウンドに微妙な差が…

「『SIM MAX』の重量配分は、新搭載の『イナーシャジェネレーター(ソール後方の突起)』によりヘッド下部に振り分けられ、低重心化されています。その分、米男子ツアーの強者らが振ってもボールが吹け上がらない。また、『M6』と比べてヒール側の形状がキュッと締まっていて、シャープな印象がもてる分、操作性につながる感覚があるのだと思われます」

さらなる低スピン化と見た目のシャープさ…、なるほど。上の画像でも見た目の印象の違いが分かる。

2年間で10モデルを変えた松山英樹の選択

「松山選手の調子については、昨季のいま頃も『エピック フラッシュ』シリーズの中で、つかまりが良くやさしい『エピック フラッシュ ドライバー(※日本では限定品)』を使っていました。その後、シーズン中盤で操作性重視の『M5』、シーズン終盤の『ZOZOチャンピオンシップ』の頃には、より小ぶりでハードな『M5 ツアー ドライバー』に変更しています。彼はその時々で、自身の課題や1Wに求めているものが異なっていて、特性の異なるモデルを使っていると考えられます。『SIM MAX』はどちらかというとやさしいヘッドで、直近で使用していた『M5』とは特性がだいぶ変わります」

エース1Wが頻繁に変わっている松山(Kyodo News via Getty Images)

どちらかというとツアー終盤にかけて上り調子になる傾向にあるからか、との問いにコヤマ氏は「それは分からない」と前置きしながら、「松山選手は直近の2年間で1Wを10モデルも変えています。米男子ツアーのトップ選手で、これほど変更している選手はいません。いろいろ模索していることは確かです」と、松山のクラブ遍歴について考察した。

ツアーはまだまだ序盤。松山を含め、選手の使用クラブはこれから大きく変動することが予想される。ただ、現状のところ「SIM」=「M5」の後継、「SIM MAX」=「M6」の後継とくくるのは少し安易な捉え方といえそうだ。

■ コヤマカズヒロ プロフィール

1974年生まれ、広島県出身。99年に「ゴルフパートナー」の立ち上げに加わり、膨大な量のクラブデータや査定基準の構築に関わる。独立後はゴルフライターとして執筆活動を行いながら、ゴルフ誌やWEB、書籍、放送など多方面で活躍。19年からYouTubeチャンネル「しだるTV」を開設。

テーラーメイド
発売日:2020/02/07 参考価格: 80,300円