レンジボールはコースボールと何が違う? 飛距離性能の“差”を徹底調査
コスパ最強ボール2024 ドーンと飛んで安けりゃ最高だ!ディスタンス系編
コスパボール検証・第3弾 ディスタンス系を試打比較!
ゴルフボールはできるだけコスパのいいモデルを使いたいというのがゴルファーの本音。そこで2回にわたり、会員制倉庫型卸売店コストコで販売する「カークランドシグネチャー パフォーマンス+」の実力を調べてきた。第3弾では、性能面と価格設定が絶妙なボールがないかを市場で調査。超お手頃な1ダース1000円台2ピースから、トップセールスを続ける大人気3ピースまで、まずはアイオノマーカバーの最新ディスタンス系15機種を打ち比べ、コスパの観点で評価した。
今回もツアー3勝の日下部光隆プロに協力いただき、同じ条件下で8社15モデルのディスタンス系ボールを試打してもらい、トラックマンで計測。ドライバーでのティショット、ウェッジでのアプローチ試打をそれぞれ行い、データと値段を鑑(かんが)みてコスパ評価を独自に行った。
コスパの目安は1ダース「3900円」!?
そもそもコスパのいいボールとは? 日下部プロは「飛距離とスピン性能を妥協しなくていい絶妙なラインのモデルこそ、コスパのいいボールと呼べるのではないでしょうか」と定義する。
「普段はタイトリスト『プロV1』を使用しているのですが、スピン系のツアーモデルはいまや1ダース6000円台後半以上。1球1球の品質差の無さ=均一性という面では、安価ボールとの差は感じますが、競技志向のないアベレージゴルファーにとっては、そこを重視しないという声も多いです。値段を下げ、ある程度品質がそろったボールを選ぶことも、ひとつの選択肢。飛距離とスピン性能は妥協せず、その中で値段ができるだけ安いモデルこそがコスパのいいボールと呼べるでしょう。私の勝手な感覚値ですが、ディスタンス系でのコスパのいいモデルが集まるラインは3900円くらいかなと感じました」
えっ、3900円! なぜ? 「理由は、ショットではカバーではなくコア(芯)から得られる当たった感触“ヒット感”、アプローチでは程よい重さ=フェースに乗っている“乗り感”が味わえるかどうか。それが3000円台前半だと軽すぎて味わえず、4000円台は十分に味わえる。4000円に届かない3900円くらいが一番安価で、性能とのバランスが取れたラインなのかなと感じました」
ドライバー調査「2500rpm以下で抑えられるかがカギ」
良し悪しの目安が分かったところで、次は個々のモデルの性能を調査。ドライバーテストでは、日下部プロには、ヘッドスピードが同じ46m/sになるように打ってもらい、飛ばしの3要素「ボール初速(BALL SPEED)」「打ち出し角(LAUNCH ANGLE)」「スピン量(SPIN RATE)」に注目した。ドライバーは、キャロウェイ「パラダイム Ai スモーク MAX ドライバー」のロフト角10.5度を使用。
※トラックマンのデータはHS46m/sに近くプロが納得のいった弾道のみを表示(並びは価格順)
「ヘッドスピードの微差はご愛嬌で、それぞれのボールの特徴が表れた結果になったと思います。総距離(TOTAL)も重要ですが、一番注目してほしいのはスピン量です。ディスタンス系は、スピン系よりボール初速が速く出るのはもちろんですが、どれだけ吹け上がることなく高さを抑えられるかがカギ。理想は2500rpm以下。今回の中では2240rpmに抑まった本間ゴルフ『D-1 スピードモンスター』が好結果につながったといえます」
アプローチ調査「打ち出し30度未満&スピン5000rpm超えが目安」
アプローチテストでは、キャリーが30ydになるように調整して打ってもらい、「打ち出し角」を抑えつつ「スピン量」がどれだけ多くかかるかに注目した。使用ウェッジは、三浦技研「TW-01 ウェッジ」の58度。
※トラックマンのデータは、30ydに近くプロが納得のいった弾道のみを表示(並びは価格順)
「ディスタンス系のマイナス点は、スピン系に比べて弾きが強い分、アプローチでは意図した距離より遠くへ飛んでしまうところ。今回のケースでは打ち出し角は30度未満、スピン量は5000rpmを超えてほしいと思って打ちました。ただ、ショートゲームでは数値より大事なのは“乗り感”。フェースに乗っている感触が弱いと、軽すぎてコントロールできません。適度な重さを感じられる=スピンコントロールできるボールを評価しました」
「ヒット感+乗り感」に価格を加味したベスト5は!?
ドライバーとアプローチの結果を総合的に判断し、価格とのバランスを加味したうえで日下部プロにおすすめのベスト5を選んでもらった。
「初級レベルの(自身のレッスンの)生徒さんには、だんだん上達してきて、ある程度真っすぐ飛ばせるようになった段階で、使用ボールを統一してほしいと頼んでいます。次のステップとして、距離感を出さないといけないからです。銘柄は問わず、1機種に絞ってほしいとお願いします。そうすることで感性が磨かれ、確かな距離感をつくることができる。今回のランキングは、そのような方に向けて私が勧めるであろう観点で選びました」
【ディスタンス系コスパおすすめランキング】
1位:スネル「GET SUM」3630円
2位:ダンロップ「スリクソン TRI-STAR」3960円
3位:タイトリスト「TOUR SOFT」4400円
4位:ブリヂストン「EXTRA SOFT」3168円
5位:キャスコ「DNA」1980円
※値段は全て税込み、1ダースの実勢価格
「1~3位までは、冒頭に述べた3900円ライン前後のものが並びました。4位のブリヂストン『EXTRA SOFT』は若干軽めな打感は気になるものの、“乗り感”が得られる。5位のキャスコ『DNA』は打感は硬いものの、スピンがしっかり入るという点を評価。とにかく1980円という値段を聞いて驚きました」と、ランキングの理由を語ってくれた。最後に「そもそもディスタンス系のカバーは耐久性が高いので、全体的にコスパがいいジャンルです。その上でさらにコスパのいい“キング・オブ・コスパ”と呼べるモデルが出そろったのではないでしょうか」と総評を述べた。
次回第4弾はコストコボールも登場! スピン系ボールを検証。「コスパ最強ボール2024 スピン系編」につづく。
取材協力:東名カントリークラブ
日下部光隆(くさかべ・みつたか) プロフィール
1988年「神奈川県アマ」、89、90年「朝日杯全日本学生」連覇などアマチュアタイトルを獲得。91年にプロテストに合格し、同年「マルマンオープン」でプロデビュー。95年「ペプシ宇部興産」、97年「カシオワールドオープン」、98年「日経カップ中村寅吉メモリアル」優勝。現在はレッスン活動に従事し、「WASSゴルフスタジオ」を主宰。
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