ウェッジは「52・58」が正解? 最近「54」が増えているワケ【女子プロギア考察#4】

女子プロのセッティングというと、FWやUTなどの長いクラブに目が行きがちだが、実は「ウェッジ・フォーメーション」にも特徴があった。“令和の試打職人”こと石井良介プロが女子ツアーのトレンドを分析しつつ、自身のウェッジセットに触れながらアマチュアへアドバイスを送る。

女子プロセッティング考察
山下美夢有のウェッジは48・52・58。他の選手の傾向は?

▼#1 女子プロスペック ドライバーはハードでアイアンはやさしめ“ギャップ”があるのはなぜ?

▼#2 女子プロ驚き14本 バラバラのスペックを打ちこなすスゴい技術とは?【女子プロギア考察#2】

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▼#3 悩みどころの「アイアンは何番から?」女子で最も多かったのは…【女子プロギア考察#3】

あなたは入れてる?“ゴーヨン”ウェッジ

ウェッジセッティングを見ると、女子プロは全体的に60度を入れる選手が少なく、多いのは58度です。「52・58度」(山下美夢有桑木志帆川崎春花河本結西村優菜吉田優利など)とか「54・58度」(竹田麗央岩井明愛岩井千怜渋野日向子勝みなみ古江彩佳など)が目立ちました。ボクがイメージするよりも、彼女たちのはロフトがちょっと立ってる感覚。今の男子プロはPGAツアーの影響もあって「52・56・60度」が多いですが、それに対して女子プロは「50・54・58度」などが見られます。※「52度・58度」両方を入れる選手の割合は35%(編集部調べ)

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渋野日向子はSM10「50F・54D・58M」で2025年をスタート!

中でも54度が増えてる印象がありますね。52度と58度だと「上げる」ときは58度しか使えなくて、52度は転がしやピッチ&ランが主体になってきます。その点、54度って使い勝手が良くて「そこそこ上がって、そこそこ止まる球」が打ちやすい。となると、58度は「上げる」ときがメインで、54度は50~60ydなどの中途半端な距離に対応する、という使い分けがしやすいのではないでしょうか。※「54度」を入れる選手の割合は42%(編集部調べ)

クラブ選びはコンサバな選手が多い!?

冒頭で述べたように、58度が多いのは女子プロたちが58度を使って育った、という背景もあると思います。実は思いのほか、女子プロは道具をなかなか替えません。クラブの銘柄(モデル)は替わっても、ロフトはあんまり変えないとか。また、「あの選手が飛んでるから、このクラブを使ってみたい」ということを男子プロほど言わないのではないでしょうか。

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中には道具が好きな選手もいたり、クラブを頻繁に試打したりする選手もいるようです。ただ、ある女子プロに「ギアはいつ試しているんですか?」と聞いたところ「シーズン中は基本いじりません」と言い「なるべくシーズンが終わってからテストをして、そのときに決めたセッティングで1年間戦います」と話していました。途中でクラブを替えてみたくならないか聞いてみましたが「私はそんなに器用じゃないんです」とのことでした。

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「ギア替えない派」の川崎春花、ドライバーは2022年モデルのSIMグローレ

それぞれのロフトで、ハッキリとした用途がある

ボク自身の話をすると、ウェッジは「55・60度」です。「バウンス多めの55度、バウンス少なめの60度」という組み合わせにして、どういう状況にも対応できるようにしています。以前に、バンカーで練習しているときに弾道計測器トラックマンで測ったことがあるのですが、同じロフトでもバウンスが異なると、打ち出し高さやスピン量も異なることが分かりました。

60度を使うのは「飛ばしたくない、球を上げたい」ときです。バウンスが大きいと球が飛んでしまうので、バウンスを抑えたい。グリーン周りのラフとかシビアなコンディションから「振っても飛ばない」というクラブとして使います。一方で、きっちり当たったら相応に飛ばせる54度とか56度を入れておきたい。そういうクラブはバウンスがしっかりあるほうが、ライが悪いところでも対応しやすい。僕もそうしますし、お客さんにも同様のアドバイスをします。女子プロの場合は、それが「56・60度」じゃなくて「54・58度」なのでしょう。※「54度・58度」両方を入れる選手の割合は39%(編集部調べ)

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50・54・58派の竹田麗央(上)と穴井詩(下)
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岩井ツインズも「50・54・58派」。明愛(上)と千怜(下)のウェッジは全てE ZONE W501

僕の場合、ウェッジの用途としては、90yd以下のコントロールショットは55度1本でほぼ全てまかないます。バンカーショットもほぼ55度。そして、グリーン周りの「ラフが深い」とか「止めなきゃいけない」というときだけ60度の出番です。とはいえ、60度を使わない日のほうがスコアは良くて、半分は“お守り”のようなもの。できるだけ60度を使わないようにコースを攻めますが、危険なところに行っちゃったときに“ノーチャンス”になるのはイヤなので、諦めないために60度を入れています。

ピンチを脱出する可能性を見出せる「60度」

「ロブウェッジ(LW)」と呼ばれる60度を使う女子プロは、畑岡奈紗選手(RTX6 ZIPCORE ※取材時。現在は新モデル「RTZ」を使用)など“少数派”ですが、アマチュアの皆さんにとって60度のウェッジはあったほうがいいとボクは考えています。前述した「球を飛ばさない」という戦略的利点もありますが、ちょっと違う観点から言うと「もっと遊べばいいじゃん!」っていう思いもあるんです。※最大ロフトのウェッジに60度を入れる選手の割合は3%、58度は89%(編集部調べ)

確実にスコアを出したいなら、56度でいいかもしれません。または、ショートサイド(ピンから近い場所)のアプローチなど「球を上げなきゃいけない」とか「56度じゃゼッタイに寄らない」というシチュエーションで諦められるなら、それでいいでしょう。

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米ツアーで戦う畑岡奈紗の60度ウェッジ
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畑岡のフォーメーションは新作RTZの「50・56・60」

60度があれば、上手く打てればピンに寄る、パーが拾えるかもしれない、ボギーで収まるかもしれない、というシチュエーションでも「もう“ダボ”でいいです」って潔く諦められる人は、56度一本で構いません。でもゴルフには、そういう状況で“トライする楽しさ”みたいなものがあってもいいんじゃないでしょうか。アマチュアにとってゴルフは“遊び”なので、もっともっと楽しんでもらっていいと思いますよ!(続く)

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石井良介(いしい・りょうすけ) プロフィール

1981年生まれ、神奈川県出身。PGAティーチングプロの資格を持ち、トラックマンを使った最新理論やデータに基づくレッスンが好評。YouTubeチャンネル「試打ラボしだるTV」も大人気。

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