ゴルフボールの都市伝説【番外編】ゼクシオボールはゼクシオ1Wで打つのが一番飛ぶ? を徹底検証
例年、1月は新モデルが気になる時期だが、その前に注目したいのが昨年末に発売された「ゼクシオ HYPER RD ボール」だ。“セクシオクラブとの相性抜群”とうたう最新ボールだけに、一年前に都市伝説「同一メーカー同士で打つと飛ぶ検証」を行った編集部としては、気になるのはその相性による飛距離。各社のつかまり系ドライバーを集め、ロボットとヒューマンの両面から検証。ゼクシオ同士がなぜ合うのかを、数値と打感で探ってみた。
「ゼクシオには、ゼクシオを選ぶ理由がある」ってホント!?
そもそも「ゼクシオ」ボールシリーズは、平均的なヘッドスピード(※以下HS)推奨32~45m/sのアベレージゴルファー向けのディスタンス系ボールで、主に「プレミアム(PREMIUM)」と「リバウンドドライブ(REBOUND DRIVE)」の2ライン構成で展開されてきた。そこに大小7種362個のディンプルを搭載した新モデル「HYPER RD」が登場。『ゼクシオには、ゼクシオを選ぶ理由がある』のキャッチコピーを掲げ、同時期発売の「ゼクシオ 14」シリーズとの相性の良さをアピールした。
一年前、6メーカー36通りの組み合わせで実験した結果では、同一メーカーは“最も飛ぶ”とは言い切れないものの“最もハズれない”という結論に至った。今作の説明で、販売元のダンロップは『さらにハイレベルなパフォーマンスを発揮する』の表記にとどまっているが、他メーカーのドライバーと比べて飛距離がどう変わるのか。
「ゼクシオ 14 ドライバー」に性能が近いという理由から、つかまりがいいとされる各メーカーのモデルを1機種ずつ選出。テーラーメイドからは「Qi35 MAX ドライバー」、キャロウェイ「ELYTE X ドライバー」、ピン「G440 MAX ドライバー」、本間ゴルフ「TW777 MAX ドライバー」、タイトリスト「GT2 ドライバー」といったラインアップをそろえた。シャフトは、ヒューマンテストで協力をいただくツアー3勝・日下部光隆プロの使用モデル、TRPXの「The Air」硬さSX、長さ45.5インチで統一。
■ロボットテスト「HS40m/sならゼクシオ14がNo.1」
まずは試打ロボットを使用し、HS40m/sのスイングで固定。それぞれストレート弾道になったデータをトラックマンで収集し、3球ずつ平均値を比較した。結果は忖度でもなんでもなくダンロップ的に理想的な数値、「ゼクシオ 14」がキャリー206.1yd、総距離225.6ydで、他メーカーより飛ぶという結果になった。
【キャリー】
第1位:ゼクシオ 14 (206.1yd)
第2位:G440 MAX(197.3yd)
第3位:TW777 MAX(197.2yd)
第4位:GT2(195.7yd)
第5位:Qi35 MAX(188.7yd)
第6位:エリート X(188.1yd)
【総距離】
第1位:ゼクシオ 14(225.6yd)
第2位:Qi35 MAX(220.2yd)
第3位:エリート X(220.1yd)
第4位:G440 MAX(219.6yd)
第5位:TW777 MAX(218.9yd)
第6位:GT2(216.1yd)
初速は大きく他を圧倒して、58.3m/sというボールスピードを実現。打ち出し角も14度と「Qi35 MAX」とともに一番低く出て、キャリーは唯一の200ydを越えた。トータル飛距離では、2位「Qi35 MAX」に約5ydの差をつけた。同一ブランド飛ぶ説は、見事ロボットでの数字でしっかり立証された。
■ヒューマンテスト「キャリーが稼げず打感も△」
では、ヒューマンテストはどうか。日下部プロの協力のもと、それぞれ7球ずつ試打をし、こちらもトラックマンでその平均値を算出した。日下部プロのHSは44~45m/s。メーカーが公表している対象HSより若干速い設定となるが、キャリーではピン「G440 MAX」が246.3ydでNo.1。「ゼクシオ 14」はロボットテストとは一転し、低スピン(2200rpm)でキャリーの距離は稼げなかった(5位)。総距離では、スピン量を抑えたテーラーメイド「Qi35 MAX」についで「ゼクシオ 14」は2位だった。
【キャリー】
第1位:G440 MAX(246.3yd)
第2位:エリート X(246.0yd)
第3位:Qi35 MAX(245.3yd)
第4位:TW777 MAX(244.7yd)
第5位:ゼクシオ 14(243.7yd)
第6位:GT2(241.6yd)
【総距離】
第1位:Qi35 MAX(277.4yd)
第2位:ゼクシオ 14(275.5yd)
第3位:G440 MAX(268.9yd)
第4位:エリート X(267.2yd)
第5位:GT2(265.3yd)
第6位:TW777 MAX(264.6yd)
「正直、『ゼクシオ 14』と他メーカーは比べものにならないほど、フィーリングが違いすぎました。1対5(その他大勢)といった具合なほど、他社のドライバーももちろん弾きは強いのですが、『ゼクシオ 14』の比ではありません。ですが、実は一番飛距離が出ていないかも?と疑ったのも同モデルでした…。結果的に総距離2位でしたが、『Qi35 MAX』ほど低スピンに特化しているわけではなく、他4社よりも弾道が上がり切らず飛んでいないように感じてしまったのです」
打ったあとの感覚が物足りない? 「はい。今回の『HYPER RD』ボール自体は、今どきのディスタンス系という感じで打感は柔らかく、しかもスピン量を抑えた性能です。私のHSではちょっとボールが潰れすぎて、最大の特徴である弾き感を活かしきれていない気がしました。HSをもう2~3m/sほど落とせば(41~42m/s)、飛びを最大限に感じられるのかもしれません」と、ロボット試打でのHS(40m/s)とは異なる部分を痛感していた。
一般的にスピン系よりディスタンス系のほうが打感が硬い印象だが、それはカバーの話であり、HSの速いティショットではボールが潰れる分、コアの柔らかいディスタンス系のほうが柔らかく感じられる。HS45m/sの日下部が振った場合、『HYPER RD』の柔らかさをより感じたのだろう。
飛びの条件は“硬×柔”マッチング
「弾きが強い=打感が硬い『ゼクシオ 14』とマッチするボールは、柔らかく感じる“硬×柔”の組み合わせがベストだと思います。“硬×硬”のモノ同士がブツかると、その衝突したパワーは大きくなりますが、接地時間は短くなる。“硬×柔”になることで接地時間を長く保ち、その分プレーヤーがボールを押し出せていける。たぶん同社は、その絶妙なさじ加減の“柔”を、ボールで表現したのではないでしょうか」
フィーリングについて、独自の見解をまとめてくれた日下部プロ。実際、飛距離ではロボットテストほど明確な違いは生まれなかったが、ゴルファーにとって最も重要な打感の違いに言及した。
結論として「HYPER RD」は、他社と比べて「ゼクシオ 14」との組み合わせは衝撃の強さを生み、同一スイングで同程度HSで振れば(ロボットテストでは)飛距離面でアドバンテージが確認できた。また“硬×柔”の組み合わせによって生まれた接地時間を確保できるため、飛ばせている感覚面での向上にも寄与することが解明。柔らかい打感を残しつつ弾き感は失わない、程よいバランスが「HYPER RD」に備わっていることが分かった。
「ゼクシオボールはゼクシオ1Wで打つのが一番飛ぶ?」の疑問に対しては、「YES」寄りの要素が多い結果に。ただ、今回の実験はティショット限定であり、ドライバーのみ対象とした一指標にフォーカスしたもの。あくまでクラブ&ボール選びの参考のひとつとしてとらえていただきたい。(編集部・内田佳)
取材協力/ミヤマエ、DD RANGE