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ゴルフボールの都市伝説「ヘッドスピード速い人が打てばスピン系、一般的ならディスタンス系のほうが飛ぶ」を検証

6メーカーのスピン&ディスタンス系×HSの違う2人で実験

カバー素材がウレタンorアイオノマーの違いで大別できるスピン系とディスタンス系ボール。一般的な認識として、プロモデルと呼ばれるスピン系=ヘッドスピード(以下HS)の速い人、ディスタンス系=一般的なHSの人向けと考えられてきた。そこで以前から都市伝説として囁かれてきたのが、HSの速い人が打った場合はスピン系、一般的なHSの人が打った場合はディスタンス系のほうが飛ぶという説。本当なのだろうか!? 気になった編集部はHS別にある検証を行った

記載があるのは国産「ディスタンス系」の一部のみ!?

検証の前に、まずはボールの種類ごとに対象HSは設定されているものなのか――。

現ショップに並んでいる最新モデルを調べると、主要メーカー6社20ブランド中、記載があったモデルはたった4種類のみ。ダンロップ『ゼクシオ リバウンド ドライブ II』『スリクソン X MAX』、ブリヂストン『PHYZ』、ミズノ『RB 566 ネクスドライブ』と、いずれも国内メーカーで全てディスタンス系だった。

この現状について、自身も以前国内メーカーに勤務していたクラブ設計家・松尾好員(まつお・よしかず)氏は、「最近の傾向を見ると、ドライバーショットでも明らかにスピン系はスピン量が多く、ディスタンス系はスピン量が少ないと言えなくなった現状があります。特にスピン系の変化は著しく、対象HSを明記すると逆にマーケットを狭めてしまいかねない。多くのゴルファーに手に取ってほしい、メーカー側の思いの表れがパッケージ表記に反映されている気がします」と、売り手側の立場で見解を述べた。

HS39m/sと45m/s前後で実験してみた

では、実際にスピン系とディスタンス系を、HSの遅め&速めで打ち比べて飛距離はどう変わるのか――。

同一メーカーのスピン系とディスタンス系を、アマチュアの一般的HSである39m/s前後(ドライバー)の松森杏佳プロと、速い領域とされるHS45m/s前後の日下部光隆プロにそれぞれ打ってもらう。同じ条件のもと、それぞれの弾道をトラックマンで計測して計10球の平均値を算出。都市伝説の認識で予想するなら、HS39m/sの松森プロが打てばアベレージ向けとされるディスタンス系が飛び、45m/sの日下部プロが打てばプロモデルのスピン系が飛ぶことになるのだが…。

用意したメーカーは6社。スピン系ボールは同ブランド2~3種類をすべて公平に打ってもらった。

タイトリストからはスピン系2種類「プロV1」と「プロV1x」に対してディスタンス系は「ベロシティ」。ダンロップは「スリクソン Z-STAR」「スリクソン Z-STAR XV」「スリクソン Z-STAR ダイヤモンド」の3モデルに対して「ゼクシオ リバウンド ドライブ II」、ブリヂストンは「ツアーB X」「ツアーB XS」vs「ツアーB JGR」。キャロウェイもスピン系は3モデル「クロムツアー」「クロムツアー X」「クロムソフト」に対して「スーパーソフト」、テーラーメイドは「TP5」「TP5x」vs「SPEEDSOFT INK」。ミズノからは「RB TOUR」「RB TOUR X」vs「RB 566 ネクスドライブ」と、発売されたばかりの最新モデルを含む現行モデルを揃えた。

HS39m/s前後ではスピン系5勝・ディスタンス系1勝

平均HS39m/sの松森プロはテーラーメイド「Qi10 MAX ドライバー」で計測。

総距離の結果は、ブリヂストン「ツアーB JGR」がスピン系「TOUR B」2種類を上回り、キャロウェイ「スーパーソフト」が「クロムソフト」のみを抑え、他4社は全てスピン系が勝利。当初の説から予想したものとは、ほぼ逆の結果となった。

松森プロは上記の結果を踏まえ、「スピン系のほうが弾き感と乗り感(フェースに乗る感触)が両立したフィーリングでした。ディスタンス系は弾き感だけが強く、ボールの感触はやや硬めに感じられます。飛距離に差が出たのは、ずばりスピン系のほうが乗り感がある分、インパクト時に“もうひと押し”ができたからではないでしょうか。例外的に『ツアーB JGR』だけはスピン系に近い軟らかさを感じ、押し出せていたかなと思います」と、その飛距離差について考えられる理由を打感から導き出した。

HS45m/s前後ではスピン系が完勝!

次に平均HS45m/sの日下部プロ。クラブはキャロウェイ「パラダイム Ai スモーク ◆◆◆ MAX ドライバー」で試打してもらった。

結果は、よりスピン系の優勢が明白となった。松森プロと同じくブリヂストン「ツアーB JGR」のみが「―XS」を抑え、それ以外は全てスピン系が総距離で上回る結果に。

日下部プロは、「スピン系と聞くとスピン量が多いイメージを抱きますが、実はティショットに置いてはスピン量が多いわけではなく、むしろディスタンス系より低スピン性能が高いことが分かります。おそらくスピン系は、アプローチで止まることを一番の特徴としていて、フェースに乗っている時間が長い=コントロール性が高い性能。一方のディスタンス系は球離れが早い=コントロール面ではスピン系に劣ります。ただし、逆説的にいえば操作できない人でも出球勝負で真っすぐ飛ばすことができる。そもそもドライバーショットだけに焦点を置いていないので、双方でメリットとデメリットが存在していると思います」と、そもそもの設定の違いに言及した。

「スピン系だからスピンが増える」は勘違い

二人の意見を踏まえ、松尾氏は専門的な見解を次のようにまとめた。「ドライバーショットではボールは6~7mmつぶれるため、カバーよりコアの硬さ=内側の反発力が大きく影響しているといえます。そもそも外側(カバー)が軟らかく、内側(コア)が硬い“内剛外柔”のスピン系は、その逆である“外剛内柔”のディスタンス系と比べて内側が硬い。今回、スピン系のほうが飛んだ要因は、ずばりコアの硬さの差によるところが大きいです」と分析した。

では、それぞれの対象と目されてきたHS以外でも、つぶれ具合に影響はないのか? 「ディスタンス系でのメインターゲット層はやはりHS40m/s前後と想定できますが、では44~45m/sで振ったときとボールのつぶれ具合が変わるのかと聞かれれば、答えは『ほとんど変わらない』です。そのことが今回の実験で分かった大きな事実。各社とも30m/s台後半~40m/s台後半までのインパクトを想定し、スピン系もディスタンス系も開発されていると言えるのではないでしょうか」

ただ、ここまで明らかな結果を松尾氏も予想していなかったようで、「正直スピン系がこれほど進化していたことに驚きました」と感想を漏らす。

「スピン系の進化でいえば、特に低スピン性能はここ10年間で劇的に伸びた印象です。明らかに低スピン性能の高いクラブヘッドの進化に合わせ、ボールも同時進行で変化していった結果ではないでしょうか。打感については、松森プロが仰っていた『弾き感と乗り感の両立』というのは、たぶんカバーの硬さも感じつつコアの硬さを感じた結果。設定の違いについては、日下部プロの仰る『双方でメリットとデメリットが存在する』という意見はまさに的確。どちらにも優れた特徴が備わっていて、優劣をつけるものではないというのは私も同意見です」

プロモデルに位置付けられてきたスピン系と、アベレージ向けに推奨されたディスタンス系――。名称と開発された経緯の違いで、勝手にドライバーの対象HSを当てはめていた人は多いのではないだろうか。それぞれの特徴を把握し、どちらが自身のフィーリングに適しているかを改めて整理してみてはいかがだろう。(編集部・内田佳)

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松森杏佳(まつもり・きょうか) プロフィール

1995年生まれ、東京都出身。姉・彩夏の影響で5歳でクラブを握り、2016年からレギュラーツアーに参戦。「フジサンケイレディス」では17、18年と2年連続で3位に入った。現在はLPGAティーチングプロ資格取得を目指し、芝浦にある「Link Performance Studio」にてレッスン活動を行う。自らプロデュースするゴルフウェアのアパレルブランド「Spatty cot.」も展開中。

日下部光隆(くさかべ・みつたか) プロフィール

1988年「神奈川県アマ」、89、90年「朝日杯全日本学生」連覇などアマチュアタイトルを獲得。91年にプロテストに合格し、同年「マルマンオープン」でプロデビュー。95年「ペプシ宇部興産」、97年「カシオワールドオープン」、98年「日経カップ中村寅吉メモリアル」優勝。現在はレッスン活動に従事し、「WASSゴルフスタジオ」を主宰。

松尾好員(まつお・よしかず) プロフィール

神戸大学工学部卒業後、住友ゴム(ダンロップ)に入社し、クラブの設計開発に携わる。世界4大メジャーで最も多くの選手にクラブを提供した日本人クラブデザイナーとして知られる。現在ジャイロスポーツを主宰。

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