あなたの「PW」のロフトは何度? 単品ウェッジ中古購入時の注意点とは
みなさんは、アプローチウェッジ(以下AW)やサンドウェッジ(以下SW)などを、アイアンセットのウェッジか、ロフト角が表記された単品ウェッジか、どちらを使用しているだろうか。ゴルフを始めた当初はアイアンセットと一緒にAWやSWを購入して使用していたと思うが、上達していくにつれてツアープロのように単品ウェッジに移行する人は多いだろう。しかし、いざ単品たちで揃えるとなると、自分に合ったモデルや本数、ロフト角などを見極める必要が出てくる。今回はギアマニアを自負する筆者が、本格派ウェッジにおけるロフト角の選び方、そして中古ウェッジを購入する際の注意点について説明しよう。
アイアンセットのストロングロフト化がウェッジのロフト選びに与える影響とは
アイアンセットのロフト角は、1988年に尾崎将司がブリヂストンスポーツと共同開発した「ジャンボ MTNIII プロモデル アイアン」を皮切りに、徐々に立ってきたと記憶している。特にこの10年で、ロフトが立ったストロングロフト設定の飛び系アイアンが増えてきた。35年前は7番アイアンで約36度が一般的だったのが、20年前から約34度となり、現在は30度前後が普通になっていている。そのため、ストロングロフトのアイアンを使っている場合は、番手間の飛距離差やロフトピッチを考慮してウェッジを選ぶ必要がある。
ウェッジを選ぶ前に必ずPWのロフト角を確認しよう
「今使っているPWのロフト角は何度ですか?」と聞かれて、あなたは答えられるだろうか。40年前に私がゴルフを始めた頃に買ったピン「EYE2 アイアン」のPWは50.7度だった。昨今、飛び系アイアンとして人気を集めるヤマハ「インプレス DRIVESTAR アイアン」(2022年)は37度。どちらもPWだが、ロフト角は13度も違う。そのため、単品ウェッジを探す前に、メーカーの公式ウェブサイトなどでPWのロフト角を確認して欲しい。イマドキの飛び系ではないキャビティアイアンであれば、44度前後が一般的だ。
ウェッジ選びはロフトピッチが命
これまでは、単品ウェッジのロフト角について「52度と58度を持っていれば間違いない」と考えるアマチュアが多かったが、アイアンのストロングロフト化によって近年は変化を遂げている。今使っているPWのロフト角が44度だったとして、52度の単品ウェッジを入れると、番手間のロフト角の差(ロフトピッチ)は8度となり、アイアンで考えると2番手分の飛距離差が生まれる。理想のロフトピッチは4度で、最大でも6度までに抑えたい。
ウェッジ何本体制? 女子プロのセッティングを参考に
ゴルフクラブは14本までというルールがあるため、ウェッジを無制限に入れるわけにはいかない。しかし、ショートゲームはスコアに直結するため、ウェッジの本数やロフト角の選択は慎重に行う必要がある。女子プロはアマチュアでも使えるやさしめのアイアンセットを使う選手が多いため、彼女たちのクラブセッティングを参考にしてみよう。国内女子ツアーで活躍する選手の中では、PW以外にウェッジを3本入れるのがトレンドとなっている。
例えば、ダンロップと用具使用契約を結ぶ菅沼菜々は、アイアンは「スリクソン ZX5 Mk II アイアン」(2022年)を使っている。PWのロフト角は44度で、ウェッジはクリーブランド「RTX 6 ZIPCORE」(2023年)の48、52、56度をチョイス。同社の契約プロである山下美夢有は、菅沼と同じアイアンとウェッジを使用しているが、ウェッジのロフトは47、52、58度を選択。二人ともPW以外でウェッジ3本体制だがロフト角は異なる。ちなみに、「RTX 6 ZIPCORE」は中古ショップで1万円台前半から手に入れることができる。
ピン契約プロの鈴木愛が愛用する「i210 アイアン」(2018年)は、PWが46度。ウェッジは同社の 「GLIDE 2.0 ウェッジ SS」(2017年)の50、54、58度の3本を入れている。PWとのロフト差は4度と理想的。こちらは中古で7000円前後が相場だ。ことし大活躍の岩井明愛と岩井千怜は「EZONE CB511 フォージド アイアン」(2022年)を使っており、PWは46度。ウェッジは2人そろってヨネックス「EZONE W501」(2019年)の50、54、58度をチョイスしている。こちらは6000円を切る価格で見つかった。
中古ショップでウェッジを買う際に気をつけたいこと
中古ショップやオンラインショップの在庫状況によっては、欲しいモデルのロフト角がすべて揃っていない場合がある。もしも異なるモデルを組み合わせで購入する場合は、オフセット(グース)の具合やヘッド形状、構えた時の見え方は要チェックだ。またソール形状が複数用意されている場合は、同じ種類でそろえるのが良いだろう。そして、リシャフトをする予定がない人は、シャフトのスペックがすべて同じものかの確認も忘れずに。中古であれば、女子プロのようなウェッジ3本体制も手軽な金額で始めることができるので、ぜひ挑戦してほしい。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。
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