“高慣性モーメント全盛時代”でも右に行くアナタへ 右OB撲滅ヘッドを探せ
人気の高慣性モーメントをうたうドライバーを使っても、スライスが止まらない…というゴルファーは少なくない。今回は右サイドへのミスに頭を抱える人にオススメしたいクラブを中古で探してみた。
スライスしにくいドライバーの条件とは
そもそも、右サイドに曲がるミスの原因は千差万別。多くのアマチュアゴルファーはクラブの軌道に問題があると思っているが、物理的にはヘッドの軌道だけでなく、インパクト時にフェースが開くことが大きく影響している。軌道を直すことも重要だが、フェースが開きにくいドライバーを選ぶのが手っ取り早い。
ドライバーのシャフトを手のひらに乗せてバランスをとると、フェースがわずかに上を向く。「重心角」と呼ぶこの角度が大きければ大きいほど、フェースが上を向けば向くほど、スイング中にフェースが開きにくい。ただし、重心角を大きくすると重心距離が長くなりがちで、そうなると振り遅れてフェースが開きやすくなるのでその点は注意したい。振り遅れにくいドライバーを手にするのもひとつの手。またロフト角アップも、バックスピンが増えることでスピン軸が傾きにくくなる効果があり、スライス撲滅に有効だ。
高慣性モーメントのドライバーは、直進性が高く、脱スライスに効くことは間違いない。慣性モーメントが大きいと、重心角も大きくなりやすいのだ。ピン「G430 MAX 10K」もテーラーメイド「Qi10 MAX」も重心角は最大級で、30度を超えている。しかし前述したように高慣性モーメントクラブは重心距離も長い。フェースが開きやすく、インパクトまでにスクエアに戻しにくい。また、ヘッドが重い傾向があり振り遅れにも繋がるので、注意が必要だ。
流行りのミニドライバーは試す価値あり
最近はヘッド体積の小さいミニドライバーが復活している。海外ツアーの選手が好んで使うイメージがあり、ヘッドスピードが速く、技術のあるゴルファー向けと思いがちだが、スライス防止にはうってつけでもある。
まずクラブ長が44インチ以下と短いので振り遅れにくい。かつ通常のドライバーよりロフト角も大きい。ミニドライバーを積極的に展開してきたテーラーメイドの中では「バーナーミニ」(2023年)がイチオシ。43.75インチと短く、重心距離も短い。上級者モデルにしては重心角も大きめだ。ヘッドが重いのが唯一の難点だろうか。中古価格は5万円以上と高めだが効果があるはず。
キャスコのミニドライバー「キャスコ UFO by パワートルネード DD」(2021年)は長さ43.5インチ、重心角も30度以上で最大級だ。慣性モーメントも通常のドライバーと遜色なく、ミスヒットにも強い。2万円を切る価格も魅力だが、中古ではレアだ。
きっと使える老舗ブランドのドライバー
老舗メーカー、タイトリストに「スライサー向けがなんかあるの?」と思っているアナタ。「TSi1」(2021年)はかなりの優等生。重心角が大きいのに重心距離は短めで、ヘッドも軽い。フェース角が少し開き気味で、45.75インチと少々長いのが惜しい。とはいえ、十分おすすめできる。2万円台後半が相場。
ブリヂストン「B3DD」(2022年)も重心角が大きく、重心距離は短く、ヘッドが軽い。フェース角はほぼスクエア。45.75インチとこちらも長さが気になるが、スペック的には完ぺきな1本。3万円台前半から見つかる。
ヨネックス「イーゾーンGT450」(2022年)も前述の2本と同じような特徴がある。3万円台前半から手に入るはず。PRGR「RS E」(2019年)はさらにお買い得。1万円以下のリーズナブルな価格で見つかるだろう。
スイングを直すには時間がやはり必要だが、クラブを代えたり、あるいはセットアップを変えるだけでスライスが軽減できるかもしれない。今、使っているモデルに、冒頭のスライスしにくいドライバーの要素を加えてみよう。
ネックに弾道調整機能が付いているなら目一杯ロフト角を増やしてみる。あるいはグリップを思い切り短く握る、ヘッドを軽くしてみる…。思い切りフックグリップで握るのは禁断の技といえるが、試す価値はある。全部やってみて効果がなければ、中古ショップでなんとかするしかない。(文・田島基晴)
■ 田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。