なんだかんだで凄いやつPINGの“純正シャフト” 中古買うならシャフトも選べ
新商品を出せばいつも話題になるピンのクラブ。同社は一般アマチュアにも「納得のクラブ選びをしてほしい」とフィッティングにも熱心だ。ドライバーのフィッティングと言えば、シャフトメーカーの少々お高いモデルを装着するカスタマイズを連想しがちだが、ピンは純正シャフト(標準シャフト)を豊富に用意していることでも人気だ。
「ピン=フィッティング」で認知されてきた
ピンはかつて米国での高い人気に比べて、日本での知名度が追いつかないメーカーの代表格だった。近年はメーカー側がフィッティングを推奨することで性能の良さをアピール。シャフトを他のヘッドメーカーよりも豊富にラインアップし、それぞれのゴルファーにピッタリのクラブを安価で提供した。
ロフト角、長さ、バランスの他にもグリップの太さまで選べる。ドライバーからパターまで14本のクラブセッティングの流れも重視。そうしてフィッティングした製品を日本の工場で組み立てる正攻法をとってきた。
鈴木愛は純正シャフトを愛用し続ける
プロデビュー以降、ピン契約を続けている鈴木愛は通算20勝のすべてを同社の純正シャフトが装着されたドライバーでつかんだ。2014年に初優勝を飾った「日本女子プロゴルフ選手権」では「G30」に装着されていた「TFC390D」を使用。その後2016年に「Gドライバー」に変更し、「ALTA J50」を愛用した。
2019年は「G410 LST」+「ALTA J CB」、2021年「G425 LST」+「ALTA C CB SLATE」、2023年「G430LST」+「ALTA J CB」と一貫している。フェアウェイウッド、ユーティリティもピンの純正シャフトというこだわりようだ。
「ALTA J CB」シリーズはG400、G410、G425、G430とシリーズ4世代に渡って装着されている。G430で選べる「ALTA J CB BLACK」は、手元側を重くしてカウンターバランスにしているので総重量が少しアップ。Rは40g台の先調子、SRが50g前半の先中調子、Sが50g台後半の中調子と重量と調子が少し変わるが、クセがなくて振りぬきやすい。
「TOUR」はハードヒッター向けの純正シャフト。G400、G410、G425までは「TOUR 173」と言う表記で、60g台の「65」、70g台の「75」が用意されていた。G425だけは50g台の「55」が存在した。G430では「PING TOUR2.0 CHROME」が登場。基本的に手元のしなり感があり先端剛性が高いシャフトだ。低スピン弾道が打ちやすいだろう。
「PING TOUR2.0 BLACK」はハードヒッター限定と言える手元調子モデル。しかし40g台の軽量モデルもあり、最新のG430には30g台まで用意されている。
FW&UTも純正が高評価
ドライバーだけでなくフェアウェイウッドやユーティリティの標準シャフトも魅力だ。フェアウェイウッドのシャフトは基本的にはドライバーと同じ。ドライバーから短くなるにつれてシャフト重量を少しずつ重くすることがクラブセッティングの肝だが、ピンでは純正シャフトでそれが容易にできる。
ユーティリティも同様で最新のG430ハイブリッドにはカーボン3種類、スチールは6種類から選べる。G410ハイブリッドは12種類の純正シャフトがラインアップされていた。アイアンに80g台の純正カーボンシャフトが用意されていることも特筆すべきこと。加えて、純正シャフトの性格が変わらないので、最近の4世代のシリーズなら番手ごとに組み合わせても違和感がないというメリットもある。
これだけ標準シャフトが多く用意されているからこそ、中古ショップでのチョイスには細心の注意を払いたい。とくにフェアウェイウッドやユーティリティは重量や硬さなどスペックをしっかり確認しよう。ウエートフローを重視して、例えばユーティリティの3番は85gのカーボンで、5番をスチールにするといった手はアリだ。その逆は避けて欲しい。
昨今のモデルはドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティは可変スリーブ装着モデルなので、中古でスリーブ付のシャフトを利用するのも手だ。神経質になりすぎるのも良くないが、セットの流れで1本だけ違和感を覚えた場合はシャフトを疑ってみよう。(文・田島基晴)