「ゼクシオ14代目」も出たことだし…過去の“中古XXIO”狙い目プレイバック!
ダンロップ(住友ゴム工業)の老舗ブランド「ゼクシオ」シリーズから最新作が発売された。「ゼクシオ 14」も、さすがの仕上がり。特にドライバーの飛距離性能の高さが注目されている。ところで、アイアン、フェアウェイウッド(FW)、ユーティリティ(UT)は、ドライバーに比べて進化のスピードが緩やか。過去モデルの完成度も非常に高い。中古ショップには名作がたくさんある。
やさしさの哲学はアイアンにも
初代がリリースされた2000年からトップブランドとして売れ続けているゼクシオは、「やさしさの哲学」を貫く。ミスに強く、ボールがつかまり、楽に上がる、爽快感がある――と、アマチュアゴルファーのために開発されたクラブだ。アイアン、FW、UTは過去モデルも性能は最新作に大きく劣らず、むしろコスパが高いものも多いのだ。
ゼクシオのアイアンは、飛距離・高弾道・ミスの許容を極めた完成度の高さが特長。比重の軽いチタンをフェースに使い、ステンレスボディでキャビティ効果を高め、4代目「オールニュー ゼクシオ」(2006年)からソールにタングステンニッケルを配置し低重心化した。このコンセプトは現在も続いている。
純正シャフトは50g台後半~60g台のカーボンシャフトと、80~90g台のスチールシャフトというのが定番。シニア向けのイメージが強くなっているゼクシオだが、スチールシャフトは幅広いゴルファーにマッチする。年代別に推しポイントが変わるので説明したい。
ゼクシオ4~9は「コスパ × やさしさ」の最強バランス
ゼクシオアイアンは古いモデルからロフト角が7番で30度と、現在の標準的な角度と変わらない先進性があった。軽量スチールモデルなら、ゴルフを始めたての若い男性ゴルファーにも勧めたい。「オールニューゼクシオ」~6代目「新・ゼクシオ」(2010年)なら1セット1万円前後で見つかるが、状態が良いものは少ない。7代目「ゼクシオ セブン」(2012年)~「ゼクシオ ナイン」(2016年) なら2万円台から4万円台が相場だ。
ゼクシオ10~13の中古品はコスパ抜群
10代目「ゼクシオ テン」(2018年)以降のアイアンは、同じ番手でもさらにロフト角が少なくなっている。「ゼクシオ イレブン」(2020年)からは7番で28度と飛び系に足を踏み入れた。購入する際は要確認。年式による性能は劇的に違うとは言い難い。「ゼクシオ 13」(2024年)は中空キャビティとなりバックフェースも大きく変化。それでも6本セットで7万円台とコスパの高さが際立つ。
やさしさを少しだけ犠牲にしても、ロフト、ライを調整でき、オフセット(グース)も少ない。「ゼクシオ フォージド」(2016年)、「ゼクシオ エックス」(2023年)は“本家ゼクシオ”の陰で、コスパがさらに良いのでこちらもチェックして欲しい。
ゼクシオのFWは完成度が最も高いカテゴリー
代々続くゼクシオで、「最も外れが少ない」と言えるのがFWである。とにかく球が上がり、やさしい。爽快な打球音は「FWが得意になった!」と錯覚するレベルだ。ロフト角のバリエーションも3W、4W、5W、7W、9Wと充実。新しくなればなるほど純正シャフトが軽量化され、ターゲットが限定されているのが少し残念だ。
初代から3代目まではチタンヘッド、4代目「オールニュー ゼクシオ」~「ゼクシオ セブン」まではチタンフェースにマレージングボディ、「ゼクシオ エイト」以降はHT1770という弾きの良いバネ鋼+マレージングボディとなり、ヘッドも3Wで180cc台と少し大型化した。地面から打つことを大前提にした大き過ぎないサイズ感もゼクシオの魅力だろう。
クラブに造形の深い女子プロ、青木瀬令奈が使い続ける「ゼクシオ テン」のショートウッドはサイズ感が絶妙で、フェースにほど良い弾き感がありボールが気持ちよく上がる。筆者は初代の4Wを使い始めてフェアウェイウッドの苦手意識を克服したことを思い出した。やさしい4Wをお探しの方はゼクシオのヘッドでリシャフトされたものをおススメする。
普及に貢献したゼクシオのUT
「ユーティリティ」という言葉すら認識されていなかった2001年、ゼクシオはウッド型UTをシリーズにラインアップした。FWが苦手なゴルファーに「UTってこんなにラクなんだ」と印象付けたのを筆者は記憶している。
初代から6代目「新・ゼクシオ」はロフト17度が5番、20度が6番、23度が7番とFWの番手と数字が同じだった。「ゼクシオ セブン」以降はアイアンと同じ番手を補完する表記に変更。25度(6番)というハイロフトUTの登場も早かった。
「ゼクシオ 14」で魅力的なのはドライバーだけではない。アイアン、FW、UTも過去モデルのレベルが非常に高い。全盛期はすべてのクラブがゼクシオというキャディバッグが並び、ゴルフ場のキャディさんが困惑する光景も珍しくなかった。“売れ過ぎたゆえ”、ブランドイメージにネガティブな印象を持たれることもあるが、性能は間違いないのだ。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。