森田さん、現地のお天気は？

◇メジャー第1戦◇マスターズ 事前◇オーガスタナショナルGC（ジョージア州）◇7545yd（パー72）

「マスターズ」開幕までいよいよ24時間を切った。大会4日間の天気が気になるところ。オーガスタといえば、雲ひとつない青空にピンク色のアザレアが咲き乱れる“晴天イメージ”がある一方で、雷雨でプレーが中断するケースも少なくない。はてさて今年の空模様は？ TBSのニュースでもおなじみ、気象予報士の森田正光さんがオーガスタの天気を解説した。

オーガスタはまるで“北関東”

現地の予報をお伝えする前に、まずは気候の特徴から説明させてください。オーガスタの地形や場所を調べてみたところ、どうも日本の“北関東”と共通する部分があります。

オーガスタのあるジョージア州はアメリカ南東部に位置し、中でもオーガスタは州の一番東側にあります。海（大西洋）から200kmほど内陸に入り、西北に大きな山脈（アパラチア山脈）が走っています。海からやってくる湿った空気が山脈にぶつかり、一方で山の向こうからくる冷たい風が相まり、暖気と寒気が混ざって山の南東部、オーガスタの大気を不安定にさせやすい。

アパラチア山脈は日本でいうところの中央山岳地帯。日本では太平洋からの湿った風がそこにぶつかり、北関東などの大気が不安定になりやすいのはご存じだと思います。栃木、茨城あたりのゴルフ場は、これから雷も増えてきますよね。オーガスタはまさに似たような地形をしていると言えるでしょう。

＋の位置がオーガスタ。西北にアパラチア山脈が走る（資料提供／国土地理院）

ジョージア州の過去の竜巻（トルネード）件数を調べてみると、4月は平均で30個の竜巻が起きています。これは面積比に対してかなり多い。特にマスターズの開催される時期は、初春で三寒四温の季節、温度差もばらばらで大気は不安定になりやすいのです。

松山英樹プロがマスターズで優勝した2年前、3日目に雷による中断があったのは覚えている方も多いでしょう。4日間ずっと晴天ということはなく、タイミングでいうと4日のうち1回は必ず雨や夕立があると思ってください。裏を返せば1日ジトジトと降るような雨は稀で、降っても短時間の雨で長くは続かず、雷雨だとしても時間が経てばまたプレーが再開できると思います。

オーガスタは日本と同じ「湿潤温帯気候」で、湿気も多く雨も降りますが、基本は暖かい。ですから植生も豊かで、アザレアの花が咲き乱れるのも納得がいきます。日本人の選手は、オーガスタの気候はなじみやすいんじゃないですかね。

では、そうした気候の特徴を踏まえ、今年のマスターズウィークの4日間の予報、お伝えします。

4日間のうち3日は雨が降る

マスターズ4日間の天気予報。傘マークが多い（資料提供／ウェザーマップ）

初日の木曜日は曇り、そして金曜日から日曜日にかけては、雨予報になっています。これは6日（木）から7日（金）にかけて、現地を寒冷前線が通過し、その後は大西洋の高気圧からの南東風と内陸の高気圧からの北東風がぶつかる状況が続くため、雨が降りやすくなっているからです。寒冷前線ということもあり一日降り続くような雨ではないと思いますが、それでも降水確率は高くなっていますので、なかなか日差しの届かない4日間になりそうです。

4月7日の現地の天気図。ジョージア州をまたぐ形で前線が通過（資料提供／NOAA・アメリカ海洋大気庁）

初日の木曜日までは最高気温が31度近くまで上がり、ムシムシした暑さになりそうです。前線が通過した後の金曜日から週末にかけては、雨も降り気温が下がってくることが予想されます。金曜日は北風5m/sと風がそこそこ吹くので、前日との気温差も含めて体感温度は寒いと感じるかもしれません。

予報士としてはもちろん予報は正確であってほしいですが、皆さんが楽しみにしているマスターズでこんなに“傘マーク”をつけるのは心苦しくもあり、今回ばかりは外れてもいいと思っています(笑)。天気の回復が予報よりも早くなることを願うばかりです。

協力／ウェザーマップ