「クモvsカメの仁義なき戦い」は中古市場でも…スパイダーとタートルを“USED”で探す
オデッセイの最新ネオマレットパター「TRTL(タートル)」が中古市場で争奪戦となっている。ショップに入荷されるや否や、即完売状態だ。カメの甲羅を思わせる六角形構造に4つの可変ウエートを配し、高慣性モーメント(高MOI)を全方位的にアップ。このジャンルの絶対王者として長年君臨してきた、テーラーメイドのクモをモチーフとした「スパイダー」と激しいバトルを繰り広げている。
スパイダーが開拓した高MOIパター市場
高MOIパターは今でこそ当たり前となったが、その歴史はゴルフルール、または常識との戦いだったと言える。
2008年に誕生した“初代”スパイダーは「Rossa Monza Spider」。フレームの両翼にウエートを張り出させたクモのような形状は、ミスヒット時のフェースのブレを劇的に抑え、ネオマレットパターを一気にツアーの主役に押し上げた。高慣性モーメントから繰り出される直進性は、従来のラインの読みすらも変えるものだった。
しかし、オールドファンなら「高MOIといえばマグレガー傘下時代のボビー・グレース(Bobby Grace)だろ」と突っ込みたくなるはずだ。2000年代初頭に登場した「V-FOIL MOI」シリーズ(M6.4KやM14Kなど)は、MOIの数値をそのままモデル名に冠し、後方に巨大なタングステンやアルミフレームを突き出させた先駆者だった。
さらに過激だったのが、ピンの「Doc17(ドック17)」である。フェース長が約17cm(約6.7インチ)もある半月型アルミニウム削り出しヘッドで、圧倒的な直進性を誇った。その大きさから、ゴルフルールで「ヘッド長は7インチ(17.78cm)未満でなければならない」という上限規定がつくられるきっかけとなった伝説のモデルである。
高MOIパターの「メリット」と「デメリット」
ただし、高MOIパターはすべてのゴルファーにとって万能というわけではない。特性を正しく理解しておく必要がある。
メリットはまずミスヒット時の転がりのロスを減らせること。インパクトで芯を外してもヘッドがねじれにくいため、ボール初速が落ちにくい。直進性と軌道の安定感も魅力で、ヘッド自重と外周配分重量によりストローク軌道がブレにくく、オートマチックに真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出しやすい。ヘッド後方が長いため、ターゲットに対してスクエアに構えるガイドラインを搭載しやすく、視覚的なアライメントの取りやすさもある。
デメリットは手首や感覚を使ってイン・トウ・イン軌道でフェースを開閉させたいゴルファーにとっては「ヘッドが重くて動かない」「トウが戻ってこない」という違和感が生まれること。ミスしても転がりが良く、重心深度が深いと打感のダイレクト感が薄れるため、打感のブレがフィードバックされにくい。打ち方のミスに気付きにくいのは、あとあとのことを考えると危険でもある。
いま中古で狙うべき タートルとスパイダー
TRTLシリーズのヘッドサイズはカップとほぼ同じ。ネック部分もダブルベント(DB)、ショートスラント(S)、クランク(CH)、そしてゼロトルク系のSquare 2 Squareまで展開されている。見つけたらすぐに手に入れるべき今季ナンバーワンの話題作である。
一方、スパイダーは完成系ともいえる「ツアーX」をオススメする。2019年発売の「スパイダーX」からの進化系。スコッティ・シェフラーを始めとするプロ使用率の高さも魅力で、中古相場は3万円台前半から。日本限定であるトラスネックモデルは2万円を切る価格で見つかる。
予算を抑えたい場合は「スパイダーX」もアリだが、クランクネックモデルはラインアップされていない。また、1万円台で見つかるものには状態の良いものがなかなかない。
筆者のオススメは、ズバリ「ロッサ モンザ イッツィビッツィ スパイダー(Rossa Monza Itsy Bitsy Spider)」(2008年)だ。初代スパイダーのヘッドサイズを約20%小型化。サイズ感は「スパイダーツアーX」に非常に近く使い勝手が良い。クランクネックモデルやセンターネックモデルも2009年に追加された。先日、大手中古チェーン店で見つけた、1万円台前半と高くて驚いた。
最強MOIパター「ボビー・グレース V-FOIL MOI」は5000円以下で手に入る。見つけたら、まずは打ってみて欲しい。
高MOIパターの歴史は意外と長く、スパイダーが独特な形状とキャッチーなネーミングにより市民権を確実なものにした。タートルは扱いやすいサイズ感も相まって、対抗馬としての地位をいきなり確立。ツアーにも広がった。しかしながら、高MOIパターはミスに強いというメリットがある反面、ミスしていることに気が付かないデメリットもあることは忘れないで欲しい。アレ?と思った時は、打点がそろっているか確認しよう。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。