ショートウッドかユーティリティか 迷ったときこそ二刀流♪ 高野あかり
マスターたちのスイングチェック Vol.3スコッティ・シェフラー【解説/目澤秀憲】
マスターたちによる祭典がいよいよ始まる。今年は誰がグリーンジャケットに袖を通すのか。開幕2週前に米国でトップ選手を見てきた目澤秀憲コーチが、世界ランクトップ3(ジョン・ラーム、ロリー・マキロイ、スコッティ・シェフラー)のスイングの状態を解説する。第3回は、アメリカのシェフラー。
試合で使えるスイングの練習
マッチプレー(WGCデル・マッチプレー)の試合でシェフラーの練習を見ましたが、目新しい練習というよりは、大事にする基礎をしっかり復習している印象を受けました。地元テキサスのコーチと会話をしながらスイングをチェックし、同じようにアプローチやパットもすごく丁寧に練習していました。
バンカー練習ひとつとっても、自分のやりたいことに対して「どれだけズレるのか」、そして「ズレるならどうすればいいか」を、コーチと話し合っての修正作業。ラームやマキロイと同じように、このクラスの選手はやはり「試合で使えるスイングの練習」をしています。つまり「オーガスタの●番で●●●な球が打ちたいから」という具体的なやり取りで、普段からそんな練習をしていれば、やはり試合でスコアの差が出ますよね。
もはやスイングをどうこうではなく、自分の打ち方を熟知した上でそのスイングを試合でどう生かすかを考えている。スイングってやはり変えたくなるもので、実際にそこまで悪くないのに変えてしまう人は多い。でも彼はゴルフがそういうゲームじゃないのも分かっていて、変える部分と変えない部分をきっちり分けて捉え、その上でスイングを調整しているからすごいなと思います。
スイングに関しては、以前より洗練された印象です。シェフラーにとっていい部分は残しつつ、それを試合でバランス良く生かせるようにしています。いい部分とは、ひとつは「大きな円弧」で打てること。長身を生かして大きなアークで振れるのはやはり有利ですよね。アップライト(縦振り)にクラブを振れるので、他の選手より(軌道が)真っすぐな時間も長く、インパクトが安定しやすい。なおかつ長身のため、多少スティープ(入射角が鋭角)にヘッドを入れてボールに届かせています。そうした自分の特性がよく分かっていて、そこを極めようとしています。
さらに長所を挙げるとしたら、フェースターンが大きいこと。ドローもフェードもフェースターン量でうまく打ち分けていて、ドローを打つときはフェースターンをうまく使い、フェードを打つときはナチュラルなターン量で打っています。ジョン・ラームのドローとフェードの打ち分けとはちょっと違います。
昨年マスターズに勝った時は、クラブの特性をうまく生かしてドローとフェードを打ち分けていました。ドローが必要なホールでは、ドローしやすいスプーンをティショットに使い、フェードでいいホールはドライバーで攻める。ドライバーで無理にハイドローを打つことはなく、ドローが求められるオーガスタで昨年シェフラーが勝ったのは、「スプーンでドローが打てたから」という要因もあったはずです。
それにしてもシェフラー、良く飛んでいます。マキロイほどじゃないですが、それでもスプーンのティショットで普通の選手のドライバー並みの飛距離。飛ぶ理由は、長身でアークが大きいというのはありますが、体の強さも考えられます。トレーニングもよくやるし、特に回旋系のメニューを多く取り入れている印象があります。それは自分のスイングを助長するような内容で、トレーニングに関しても、自分に必要なもの、必要じゃないものをしっかり分けているように見えます。
ラームと同様にシェフラーもまさにオールラウンダー。調子も上がっていますし、コースも熟知している。まさに「ディフェンディングチャンピオンに死角なし」ではないでしょうか。(取材・構成/服部謙二郎)
スコッティ・シェフラーの最新スイングをご覧ください
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