軽量クラス最強!? HS40m/s前後が気持ちよく飛ばせる「パラダイム Ai スモーク MAX FAST」
1月の新製品発表から、ゴルフ界をにぎわせているキャロウェイの「パラダイム Ai スモーク」シリーズ。25万人分のスイングデータをAIにインプットして開発された新フェースがスピン量や打ち出し角、出球の方向などを補正して最適な弾道を生み出すという。ドライバーは「MAX」、「MAX D」、「MAX FAST」、「トリプルダイヤモンド」の4機種が登場した。今回は軽量設計の「パラダイム Ai スモーク MAX FAST ドライバー」の特徴をクラブの知識が豊富なクラフトマン・ミタさんが解説。そして、アスリートゴルファーのヨシダくん(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が本音で評価する。
クラブの特徴は? 「MAX D」より投影面積は大きめ
【ミタさん】
今回紹介するのは、「パラダイム Ai スモーク MAX FAST ドライバー」です。前作「パラダイム MAX FAST ドライバー」と同様にシリーズ最軽量となっており、クラブの総重量は約275g(フレックスS)と前作よりも約5g軽くなっています。
【シオさん】
ここ数年、各社から軽量モデルが続々と登場していますよね。国産ブランドだけでなく、海外ブランドでも総重量で300gを切るドライバーが増えている印象です。
【ミタさん】
ここ数年は米国でも軽量ドライバーの需要が高まっており、大手メーカーも軽くて振りやすくラクに飛ばせるモデルに注目しているようです。キャロウェイでは、2020年発売の「マーベリック」シリーズで初めて「MAX FAST」が登場し、それから毎年軽量モデルがラインアップされています。
【ヨシダくん】
たしかに持ってみるとかなり軽く感じます。どうやって、こんなに軽くしているのですか?
【ミタさん】
シリーズの中でこのモデルのみ接着式のネックが採用されており、シャフトやグリップも軽いものが採用されています。シリーズ全体で、前作よりも軽量化された360度カーボンシャーシが搭載されていることも、軽くできた要因の一つと言えるでしょう。また、ヘッド後方に配置されたウエートの重さも、前作から約1g軽くなっています。
【シオさん】
なるほど、様々な工夫によって軽量化を実現しているのですね。ただ、ソールの見た目は前回試打した「MAX D」とよく似ています。どのような違いがあるのでしょうか?
【ミタさん】
「MAX D」と「MAX FAST」が違う点は3つあります。1つ目は、構えた時の投影面積です。ヘッドの投影面積は「MAX D」よりも少し大きめとなっています。2つ目は、ネックタイプ。「MAX D」のネックはロフト角やライ角が調整できますが、今作は軽量化を図るために装着式を採用しています。3つ目は、シャフトやグリップ、ウエートなどの重さです。「MAX」と「MAX D」には50g台のシャフトと約45gのグリップ、「MAX FAST」には40g台のシャフトと約30gのグリップが装着されています。ヘッド後方に設置されているウエートの重さも、「MAX D」が7g、「MAX FAST」が4gと、シャフトの重量に合わせて軽量化されているそうです。
【ヨシダくん】
では、「MAX D」と「MAX FAST」を打ち比べながら、2モデルの違いを探ってみましょう。
試打した印象は? 「MAX D」よりもつかまる
【シオさん】
構えてみると、見た目は「MAX D」とほとんど変わらないですかね。前回と同じく投影面積が大きめで、安心感があります。シャローヘッドなので、球が上がりやすそうな印象です。
【ヨシダくん】
ヘッド全体がべタッと地面に貼り付くようなシャロー感があります。シオさんが言うようにやさしく球が上がって、つかまえやすそうな雰囲気です。構えてみると、「MAX D」よりもシャフトが少し長いなと感じました。ワッグルすると、やはり軽さを感じますね。
【ミタさん】
ヨシダくん、よく気づきましたね。「MAX」や「MAX D」はクラブ全体の長さが45.5インチでしたが、「MAX FAST」はシリーズで唯一45.75インチと少し長めになっています。試打してみた印象はどうですか?
【シオさん】
ヘッドの見た目は「MAX D」と似ていますが、スイング中のヘッドの動き方は、よりドロー感が強かったです。弾道は最初からつかまって左に飛ぶというよりは、程よいドローボールで安定して良い球が打てました。打感を比べてみると、「MAX D」よりも弾き感が強く、打球音も少し高くなったような印象です。
【ミタさん】
試打データを見ると、ボール初速が61m/sでトータル254ydも飛んでいます。これまで試打してきた「パラダイム Ai スモーク」シリーズの中で、初速も飛距離も一番出ていて、シオさんに合っていそうですね。ヨシダくんはどうでしたか?
【ヨシダくん】
僕のヘッド速度だと、ナイスショットしても毎回打ち出しから左に出て左に飛んでいきます。「MAX D」では打ち出しがもう少しまっすぐ出ていたので、「MAX FAST」はより早い段階からつかまる印象です。ただし、何球打ってもすべて同じ弾道で飛んでいたので、安定性の高さを感じました。飛距離も毎回290yd前後出ていたので、飛距離性能は十分だと思います。
【ミタさん】
今回は純正シャフト「TENSEI 40 for Callaway」のフレックスSで試打してもらいましたが、前回試打した50g台のシャフトと比べてどうですか?
【ヨシダくん】
僕には軽すぎましたが、ただ軽いだけではなく、振り心地の良さを感じました。振りやすいのでスピードが出ているたためか、いつもよりハンドファーストに当たりやすく、ロフトが立った状態でインパクトしている感覚がありました。数字にもそれは現れていて、僕もシオさんもバックスピン量が少なく、打ち出しが低めに出てしまいましたね。振りやすさは申し分ないので、もう少し我慢するなどして、タイミングさえ合えば、高弾道で飛ばせるポテンシャルを秘めていると思います。
【シオさん】
40g台の軽めなシャフトということもあって、これまで試打した3モデルの中で1番打ちやすかったです。やさしさと球のつかまりが感じられ、ラクにスイングもできるので、自分に合っているなと思います。クラブ全体の重量バランスも取れているので、クラブを速く振り抜きやすいです。
【ヨシダくん】
やさしさを得られているのに、飛距離が伸びているのはすごいですね。これまでの「MAX FAST」は軽量シャフトを装着していたので、ヘッドスピード(以下HS)40m/s未満の方向けという印象でしたが、試打データや弾道を見ているとHS 41、42m/sほどのシオさんでも、十分に使えるクラブだなと思いました。
まとめ
【ミタさん】
今回の「パラダイム Ai スモーク MAX FAST ドライバー」は、過去の軽量モデルと比べて選択できるゴルファーの幅が広がった印象です。40g台のシャフトが装着されており、ヘッドスピード40m/s前後で球をつかまえたい人にとってはピッタリでしょう。「MAX D」で球はつかまるけれど少しシャフトが重いなと感じた人は、「MAX FAST」を標準シャフトのままで試してみるのが良いと思います。
【シオさん】
ヘッドとシャフトのバランスがとてもよく考えられているクラブだなと思いました。私のようにシャフト重量とヘッドスピードが合えば、高い飛距離性能を発揮してくれるクラブだと思います。
■ 試打したクラブのスペック
キャロウェイ パラダイム Ai スモーク MAX FAST ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:TENSEI 40 for Callaway ●硬さ:S
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Regio Fomula MB+ 55 ●硬さ:S
ヨシダくん:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED 6 ●硬さ:X
■ ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
■ ヨシダくん プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
■ シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。