フジクラ、三菱、グラファイト、USTマミヤ最新モデルとの相性を解析

(上段)「パラダイム」シリーズ3機種、(下段)「BIG BERTHA」「ローグ ST MAX」「エピック SPEED」

4大シャフトメーカーの2023年発売モデル、藤倉コンポジット「SPEEDER NX BLACK(以下BLACK)」、三菱ケミカル「TENSEI Pro Blue 1K(以下TENSEI)」、グラファイトデザイン「Tour AD VF(以下VF)」、USTマミヤ「LIN-Q BLUE EX(以下LIN-Q)」。前回のテーラーメイド編に続き、第2弾はフォージドカーボンボディを打ち出すキャロウェイ編。1～2年前の“ちょい前”モデルから「パラダイム」までの相性を、クラブフィッター・吉田智(さとし)氏が解析する。

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■「エピック」から「パラダイム」までをおさらい

「意外と思われるかもしれませんが 『パラダイム』はかなりの低スピンヘッド」と吉田氏

ラインアップは、2021年発売の「エピック SPEED ドライバー」、22年「ローグ ST MAX ドライバー」と今年発売の「パラダイム ドライバー」「パラダイム X ドライバー」「パラダイム ◆◆◆ ドライバー」の5機種。まずはこちらの5モデルの特性を、縦軸をスピン量、横軸をつかまり具合で表したマトリックス図を見ながらおさらいしておこう。

吉田氏が特性を見極めて配置したマトリックス図

「意外かもしれませんが、『パラダイム』シリーズは全体的にかなり低スピン性能です」と吉田氏。

「『パラダイム』は“飛びとやさしさの融合”を強調しているため、多くの方がイメージしている配置とは異なるかもしれません。前回のテーラーメイド『ステルス2』シリーズと比べてもかなりスピン量は少ない特性だと思います。アベレージゴルファー向けと目される『―X』でも、比較的にスピン量は少なく弾道の高さを出すのにやや苦労する特徴に感じます。『エピック SPEED』『ローグ ST MAX』も同じくスピン量は少ない分類に属しますが、『パラダイム』3機種よりは多いでしょう。この5モデルと明らかに違う特性は“スライスゼロ”を提言した『BIG BERTHA』で、スピン多め&つかまり強めな完全にやさしさを求めたモデルといえます」（吉田氏）

全モデルを試打してGCクワッドで計測したデータを加味して判断

ヘッドの特性を復習したところで、次に4大メーカー最新モデルとの相性をチェック。実際に吉田氏が各シャフトが挿さった6モデルを打ち比べ、計測データを確認しながら組み合わせの良し悪しを総合的に判断。フィッターとしての経験値をフルに生かし、お勧めできるベスト3を並べてもらった。選んだ理由をコメントとともに見ていこう。

■「SPEEDER NX BLACK」と合うヘッドは！？

第1位：パラダイム ドライバー
第2位：ローグST MAX ドライバー
第3位：パラダイム ◆◆◆ ドライバー

モデル50(硬さS)とパラダイムとの組み合わせ総重量312g(※編集部調べ/以下同)

「BLACK」は比較的にスピンが入りやすく、つかまり具合も強めなタイプなので、うまくシャフトの特性を生かすクセの少ないヘッドを選ぶべきだと思います。ただ、そのアプローチ方法が1～3位までバラバラ。1位「パラダイム」のヘッドは、スピン量は抑えめでつかまり具合が程よく、シャフトの動きを素直に反映できる点で選びました。2位「ローグ ST MAX」は、つかまり具合が強めで平均的な性能が高く、シャフトを生かせる。3位「パラダイム ◆◆◆」は浅重心で、低スピンヘッドの代表格として最大飛距離を望める組み合わせと予想を立てて評価しました。

■「TENSEI Pro Blue 1K」と合うヘッドは！？

第1位：パラダイム ◆◆◆ ドライバー
第2位：パラダイム ドライバー
第3位：BIG BERTHA ドライバー

モデル50(硬さS)とパラダイム ◆◆◆との組み合わせ総重量307.5g

「TENSEI」はクセが少なく、ヘッドの特性を生かすタイプのシャフトです。どんなヘッドにも合わせられる守備範囲の広さが特徴で、BEST3は個性の強いモデルを挙げました。スピンが極端に少ない「パラダイム ◆◆◆」ならば、最大飛距離を望める組み合わせになると思って1位に、逆に極端に多い「BIG BERTHA」なら高さを出して飛ばせる可能性を見込んで3位に。中間の2位には、つかまり具合は抑えめで、相対的にオーソドックスな「パラダイム」をピックアップしました。極端な2モデルと中間的1モデルという相反した理由ですが、それだけモデルを選ばない「TENSEI」は、どんなヘッドタイプにも合わせられるということが言えると思います。

■「Tour AD VF」と合うヘッドは！？

第1位：エピック SPEED ドライバー
第2位：ローグ ST MAX ドライバー
第3位：パラダイム ドライバー

モデル50(硬さS)とエピック SPEEDとの組み合わせ総重量307g

「VF」はスピンは抑えめで、他モデルよりやや走り感がある点が特徴です。上記2モデルよりややターゲット層が絞られる点を考慮し、つかまり具合とスピン量の適度なバランスを備えた3モデルを選びました。中でも「エピック SPEED」は、つかまりは抑えめ&低スピンのヘッドとして、いまだに使用している女子プロが多い人気モデルです。バランスの取れた優れた性能を有しているため、「VF」の走り感をうまく生かせそうです。つかまり具合の強めな「ローグ ST MAX」は少し特徴は異なりますが、「パラダイム」も含めて3モデルとも、使用者を選ばないバランスの取れた正統派モデルを選出しました。

■「LIN-Q BLUE EX」と合うヘッドは！？

第1位：パラダイム ◆◆◆ ドライバー
第2位：エピック SPEED ドライバー
第3位：パラダイム ドライバー

モデル50(硬さS)とパラダイム ◆◆◆との組み合わせ総重量312.5g

「LIN-Q」はミスの傾向として、つかまりすぎてしまう人が選ぶシャフトだと思うので、低スピンでつかまりを抑えたヘッドとの相性が良いでしょう。つかまりを抑えたヘッドTOP3が、そのままベスト3に並ぶ結果に。プレーヤーの意思を素直に表現してくれる「LIN-Q」は、オートマチックな動きというよりも、自分で操作したい人向けの特性なので、操作性の高いヘッドとの組み合わせが最適です。特に「パラダイム ◆◆◆」とのマッチングは、飛距離性能はもちろん、フェード・ドローの球筋を打ち分ける競技ゴルファーやツアープロが求める組み合わせになると思います。

■キャロウェイの最新傾向 上田桃子が選んだ1Wでも把握できる

契約プロである上田桃子選手は、頻繁にモデルを変えないことで有名ですが、「エピック SPEED ドライバー」を長年使用し、今年420ccの「パラダイム ◆◆◆S ドライバー」にスイッチしました。以前はツアー限定モデル「FT TOUR ドライバー」を長く愛用していたことも含め、基本的に小ぶりなヘッドが好みであることが分かります。「パラダイム ◆◆◆」と「エピック SPEED」の位置が（マトリックス図上で）近いことからも、彼女の好みが見て取れます。逆を言えば、その間の期間に発売されたモデルでは、似た特性のものがなかったといえるかもしれません。

上田桃子お墨付き「エピック SPEED」と今回全てのベスト3に入った「パラダイム」

同社最新モデルの傾向について、“クラブを替えない女”の異名を持つ上田桃子の例を挙げて説明してくれた吉田氏。「テーラーメイドと異なる点は、一番つかまるモデルと一番つかまりを抑えたモデルの強弱の差が大きいところです。つかまり具合のバリエーションが多い分、組み合わせを間違えると大失敗する恐れもあるということ。今回選んだベスト3を参考に、各シャフトのマッチするヘッドの傾向をしっかり把握して選んでみてください」と締めくくった。

最新4モデルとキャロウェイヘッドとの相性は分かっただろうか――。「BLACK」「TENSEI」「VF」「LIN-Q」それぞれの特徴を踏まえた上で、吉田氏が勧める順位を参考に、実際に試打をしてフィーリングが合うかを吟味してみよう。

取材協力／カレドニアン・ゴルフクラブ

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