エッホエッホ…今回のSFTは“低スピン”って伝えなきゃ ピン「G440SFT」試打
2月の発売後から売り上げを伸ばしているピン「G440シリーズ」。直進性の高いスタンダードモデル「MAX」、アスリートが好むロースピンモデル「LST」、そしてドローバイアスモデルの「SFT」という定番のラインアップ。なかでも、「SFT」はスライスで悩む多くのアマチュアから支持を得ているという。今回は、そんな“スライサーの相棒”最新「G440 SFT」を紹介したい。製品の特徴はギア知識が豊富なミタさんが解説。飛び性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
「SFT」もロースピン化。でも慣性モーメントは”9K”以上
【ミタさん】
今回紹介するのは「G440 SFT」です。大人気だった前作「G430 SFT」同様にスライスキラーのドライバーです。
【シオさん】
私は「G430 SFT」を使っているのですごく期待しています。
【コウタロウ】
今回もドローバイアス設計ですか?
【ミタさん】
もちろんです。2箇所のウエートポートで調整できるのですが、「DRAW +」は超ドローバイアス、「DRAW」にすると通常のドローバイアスになります。
【シオさん】
前作から変わったところは?
【ミタさん】
「MAX」「LST」同様に重心が下がっています。「G430 SFT」のクラウンはチタンでしたが、「G440 SFT」はカーボンフライ・ラップテクノロジーを採用して低重心にしています。
【シオさん】
チタンからカーボンになったら軽くなりますよね。
【ミタさん】
クラウンを軽くすることで、余剰重量が生まれ適正な重量配分が可能となります。今作はヘッド重量の約15%をバックウエートの重さで占めることで、低重心化され前作よりもロースピン仕様になっています。「SFT」に限らず、今回の「G440」はシリーズ全体として飛距離性能を追求しいているのが特徴です。
【コウタロウ】
今までピンと言えば慣性モーメントが大きいイメージですが、それはどうなっていますか?
【ミタさん】
もちろん前作同様に慣性モーメントは大きいです。「SFT」も9000g・cm2を超えています。
【シオさん】
でも、ドローバイアス設計でスピンが減っているとなると、ドロップ気味にならないか心配です。
打ち出しが高い!カット軌道のスライサーでも飛ばせる
【シオさん】
形状はいかにもピンですね!「MAX」は少しスマートになりましたが、「SFT」は投影面積の大きさが強調されていて安心感があります。いかにも慣性モーメントが大きいヘッド形状です。
【ミタさん】
気になっていたスピン量や弾道はどうでしたか?
【シオさん】
私は元々スピン量が少ないのですが、使っている「G430 SFT」と比較しても極端なロースピンにはなっていません。逆に打ち出し角が2度くらい高くなっているので、高弾道・低スピンで強く飛んでいるのがわかります。
【ミタさん】
46インチのシャフトはどうでしたか?
【シオさん】
ヘッドの投影面積が大きいこともあり、長くなったという違和感はなかったですね。言われなかったら気付かないかも知れません。
【ミタさん】
ウエート位置を変えたらどうでしたか?
【シオさん】
標準設定の「DRAW+」は勝手にフェースが返るくらい動いてくれるので完全にスライサー仕様と思います。「DRAW」はフェースターンがしやすい程度で、ちょうどいいつかまり具合。私は「DRAW」ポジションがイメージ通りのボールが打てました。
【ミタさん】
飛距離も安定していましたね。
【シオさん】
ミスヒットの飛距離ロスも少ないですね。一発の飛びというよりも平均飛距離が伸びそうなドライバー。また、「MAX」や「LST」に比べて、操作が楽な感じがしてとても振りやすかったです。
【ミタさん】
「SFT」はヘッド重量が軽いので、クラブ総重量も少しだけ軽い。フェースターンのしやすさに加え、重量面でも振りやすさにつながったのかも知れません。コウタロウはどうでしたか?
【コウタロウ】
スピン量は減りますね。「G430 SFT」と比較すると300~400回転くらい少なくなっています。スライス系の弾道で高さを抑えたいゴルファーにドンピシャでハマりそう。ただ、標準ウエートポジションの「DRAW+」は完全に左。シオさんと同様に、フェースが勝手にクローズになる感覚で、OBになるレベルのフックが出ます。「DRAW」ポジションに変更しても、左に出て左に曲がる感じはありますが、「DRAW+」よりもフックする度合いが明らかに少なくなります。曲がり幅に合わせてウエート調整すると良さそうです。
【ミタさん】
ヘッドスピード40m/s前後でもスライスしてしまうとバックスピン量が3000回転を超えてしまう人も珍しくないので、そういった方にはロースピン化されたドローバイアスモデルはハマりそうですね。
【ミタさん】
前作同様、スライスキラーの「G440 SFT」ですが、バックスピン量が減ったことによりカット軌道でスライスするゴルファーとさらに相性が良くなりました。スライス回転がかかりながらも、ボールが前に飛ぶので飛距離が出しやすくなります。また、今作から9度のロフト設定もあるので、さらにスピン量を抑えたいゴルファーはそちらも試してみると良いでしょう。慣性モーメントも大きく、フェースが開いてヒールに当たったときでも、曲がり幅が抑えられるなどスライサーにはメリットの多いドライバーですが、ドローヒッターやボールをつかまえられる人が使うとフックする度合いが強くなりやすいので注意が必要です。
【シオさん】
「G430 SFT」より打感、打球音が良くなっているのもオススメしたいポイントです。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
ピン G440 SFT ドライバー
●ロフト角:9度、10.5度 ●シャフト:ALTA J CB ブルー(シオさん)、ピンツアー2.0クロム65(コウタロウ)●硬さ:S(シオさん)、X(コウタロウ)
■ マイクラブ情報
コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。