中空なのにナニこの柔らかさ “打感の進化”が止まらない テーラーメイド5代目「P790」アイアン

新製品レポート「P790アイアン(25)」
3月14日に発売された中空構造アイアンの「P790」

テーラーメイドから中空アイアンの「P790シリーズ」が5代目となる新モデルが登場した。最近は大手メーカーから続々とシャープな中空アイアンが発売されているが、その火付け役となったのが2017年に大ヒットした初代「P790」ではないだろうか。そこから8年経つが、人気は衰えることなく2年周期で発売され続け、今やテーラーメイドを代表するアイアンとなった。2025年モデルはどこが進化したのか?製品の特徴をギアの知識が豊富なミタさんが解説。飛び性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。

究極の番手別設計でロング、ミドル、ショートの内部構造が違う

新製品レポート「P 790アイアン(25)」
下部ヒットのミスをカバーする「貫通型スピードポケット」は健在(4~7番に搭載)

【ミタさん】
今回紹介するのは2年振りにリニューアルされた「P790」です。まずはこのデザイン、どうですか?

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【シオさん】
今作もめちゃくちゃカッコイイ。これがキャディバッグに入っていたらイイ感じですね。

【コウタロウ】
デザインはどんどん洗練されていますけど、性能はどうですか?

【ミタさん】
「P790」は中空構造の番手別設計アイアンです。ヘッドの内部構造が5番、7番、9番で全く異なる設計になっています。さらに各番手によってタングステンウエートの位置を変えています。

新製品レポート「P790(25)」
前作と同じサイズだがよりシャープな顔になった

【シオさん】
内部構造とウエートを変えるとどういうメリットが生まれるんですか?

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【ミタさん】
各番手の重心をフローすることができます。

【コウタロウ】
重心フローとは!?

【ミタさん】
わかりやすく言うと5番アイアンは重心を低くして、トウ側にもってくることで寛容性を高めつつ打球を上がりやすくしています。ロングアイアンが苦手な人でも打ちやすくするために重心を深くしています。

【コウタロウ】
ミドルアイアンやショートアイアンは?

【ミタさん】
ミドルアイアンからショートアイアンにかけて徐々に重心を高くしています。短い番手になるにつれて、グリーンでの止まりやすさを重視したスピンの入りやすい重心設計になっています。

新製品レポート「P 790アイアン(25)」
オーソドックスなサイズでターゲットに合わせやすい形状

【コウタロウ】
アイアンセットといいますが、番手毎にしっかり特徴を持たせているんですね。

【ミタさん】
もちろんセット全体の統一感はありますが、ヘッドの構造的には1本1本でベストなパフォーマンスを追求しています。中空構造でありながら各番手に最適な飛距離と精度を持たせているので、コンボアイアンのような性能になっています。

【コウタロウ】
フェース材はクロモリですか?

【ミタさん】
普通のクロモリではありません。前作から約20%も強度を高くした新素材ニッケルクロムモリブデンバナジウム鋼「4340M」を採用したことで、スイートエリアが前作比で24%も広がり(7番アイアン)反発性能が高くなりました。

中空とは思えない打感! ハーフキャビティ以上、飛び系未満の距離がイイ

新製品レポート「TM P790(25)」
前作よりもシャープな顔つきなのでターゲットにまっすぐ合わせやすい(シオさん)

【シオさん】
バックフェースもカッコイイけど、アドレスしたときの「顔」がカッコイイ。今までの「P790」より小さく見える気がしますけどフェース長は同じですよね?

【ミタさん】
もちろん、フェース長はモデル名の通り79mmです。トップラインなどのエッジ部がハッキリしたので小さく見えたのかもしれませんね。打った印象はいかがでしたか?

【シオさん】
打感が素晴らしい。中空アイアンとは思えない柔らかさと心地良さです。前作よりも金属音が抑えめ。ですが、弾いて飛んでいくのが分かります。

【ミタさん】
ヘッド内部にスピードフォームエアーという充填剤を入れたことによって、打球音も低くなり心地よい打感なっています。中空アイアンの弱点と言われた打感をモデルチェンジ毎に克服しているような気がします。

新製品レポート「TM P790(25)」
この寛容性の高さは中空構造ならではだと思います(コウタロウ)

【コウタロウ】
もちろんマッスルバックの柔らかさとは違って、弾き感があって飛ぶ感覚はあります。ただ、最近のゴルファーはめちゃくちゃ柔らかいマッスルバックより「P790」みたいな柔らかさの中にも弾き感がある方が好きなゴルファーも結構いると思います。

【ミタさん】
やっぱり距離は出ていましたか?

【コウタロウ】
6番でテストしましたが、普段よりキャリーで+5ヤードくらい飛ぶ程度でした。ハーフキャビティアイアンよりは飛ぶけど、飛び系アイアンほど飛びすぎない。だから距離感もコントロールできます。左右のミスヒットに強いので芯を外したときでもキャリーが揃ってくれます。タテ距離の安定感が一番ビックリしました。

【ミタさん】
スイートエリアが広がった恩恵が表れていますね。

新製品レポート「TM P790(25)」
6番は飛距離性能に振っているせいか少々ハードなヘッドです(コウタロウ)

【ミタさん】
でも6番にしては打ち出し角、スピン量が少ない気がしますね。

【コウタロウ】
はい。中空アイアンなので、スピン量が少なくなる分、もう少し打ち出し角の高さで相殺してほしかった。7番との飛距離差を出しやすくするためにも、このスピン量なら打ち出し角20度は欲しいところ。加えて、6番より長い番手でグリーンに止めることを考えると、パワーヒッターじゃないとボールが上がり切らない気がします。

【ミタさん】
長い番手ほど打ち出し角とスピン量には注意する必要がありそうですね。

新製品レポート「P790(25)」
6番での平均試打データ スピン量は少なめ。もう少し打ち出し角が欲しいところ

【ミタさん】
5代目の「P790」はスイートエリアが広がり、初速のロスがより少なくなったアイアンです。前作の「P790」はセミアスリートゴルファーがターゲットのイメージがありますが、5代目は敷居が少し下がって平均スコア95のアベレージゴルファーからアスリートゴルファーまで幅広く使えるアイアンかも知れません。寛容性もありとてもバランスの良いアイアンですが、ミドルからロングアイアンを入れてグリーンを狙う方は落下角度を確認された方が良いでしょう。40度以上あれば大抵のグリーンで止まってくれます。

【シオさん】
飛距離と操作性のバランスがよく、寛容性もあってデザインがカッコイイ。人気がある理由を再確認できました。

まとめ

新製品レポート「P790(25)」
シャープな形状なのに寛容性の高いところが高評価

■ 試打したクラブのスペック

新製品レポート「TM P790(25)」

テーラーメイド P790 アイアン(2025)
●ロフト角(6I):26.5度(写真は7I) ●シャフト:N.S.プロモーダス3 ツアー105、N.S.プロ950GH neo ●硬さ:共にS

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S

コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X

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ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

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