シャフトの挙動

試打で使うヘッドは「テーラーメイド M3 460 ドライバー」。ヘッド体積は460cc、表示ロフト角が9.5度で、リアルロフトは10度前後。

試打するフレックスはSで、重量は57グラム。ワッグルしてみると手元側がしなる典型的な元調子で、なおかつ中間部分の剛性もそれほど高くない。先端側のしなりは控えめであるが、シャフト全体のしなり量は多めだ。

まずはヘッドスピード43m/sぐらいで打ってみた。トップからダウンの切り返しではシャフト手元側がグイッと大きめにしなる。このしなりでヘッドの重さが2割ぐらい増した感覚の状態から、ダウンスイングではシャフトが鋭くしなり戻ってインパクトを迎えた。

前作も手元側のしなりは大きめだったが、今回明らかに異なるのがしなり戻りのスピード（復元力）だ。体感的には前作より5割増しくらいのスピードで、シャフト全体が鋭くしなり戻ってインパクトを迎えるのだ。

このシャフトのしなり戻るスピードは、そっくりそのままヘッドスピードの向上につながり、かつボール初速が出ている。復元力が向上していることが手に伝わるだけでなく、実際ヘッドスピードにも反映されているのだ。

続いてヘッドスピードを46m/sぐらいに上げていくと、さらに復元力が高まる。切り返しで手元側がググッと大きくしなったら、そこからはシャフト全体が鋭いムチのようにしなり戻ってインパクトを迎える。シャフト全体のしなり量が大きいのだが、それでいてヘッドの入射角が不安定にはならず、実に安定している。

弾道計測してみると、ボールは真っ直ぐに飛び出し、イメージ通りの弾道。ヘッドの入射角が安定しているから、続けざまに打ってもボールの打ち出し方向が安定しており、直進性が高い弾道がオートマチックに打てる。

反面、シャフト全体のたわみ量が大きいので、操作性はそれほど高くない。球筋を打ち分けることよりも、直進性が高い弾道でフェアウェイキープを狙えるシャフトだ。

7軸シートを全長に使っているので、挙動はシャープでありながらも、ピーキーさ（唐突さ）がないのもいい。ヘッドスピードを上げることだけでなく、多少スイングがブレても、そのブレをシャフトが上手く吸収してくれるので、安定した弾道が打てるシャフトである。

前作より明らかにしなり戻りのスピード感が増し、ヘッドスピード、そしてボール初速が確実に上がる。手元がしなるシャフトでヘッドスピードを効率良く上げたい人や、直進性が高い弾道を打ちたい人、スピンを減らして飛ばしたい人にとっては、すぐに期待に応えてくれる頼もしい味方となるだろう。

【適正ヘッドスピード】
NSプロ レジオ フォーミュラ B+ TYPE 55（S）：43～47m/s