クラブ試打 三者三様

スリクソン ZXi MAX ドライバーを井上真熙が試打「ブレずに飛ばせてしかも強い高MOIヘッド」

2024/11/23 20:44

ダンロップが仕掛けた新たな国産MAX ゴルフ知識を学んできた理論派コーチの評価は!?

進化したフェース構造「i-FLEX」がスリクソン史上最速のボールスピードを生み出す新シリーズ『ZXi』。発売されたドライバー4機種の中で、大きな飛距離とシリーズ最高の寛容性を備えた『スリクソン ZXi MAX ドライバー』は、シリーズ最大の高慣性モーメントと深低重心設計となっている。そんな新たな国産MAXを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ゴルフ知識を多角的に学んできた理論派コーチ・井上真熙(いのうえ・まさき)が試打評価を行った。

「高慣性モーメントヘッドの安定感にスリクソンの強さがプラス」

極端にトウ寄りでヒットさせたものの そこまで大きくは外れなかった

―率直な印象は?
「現在『MAX』と付くモデルは各社から発売されていますが、私はヘッドの慣性モーメント値が高い=MAXのカテゴリーに当てはまると考えています。ですので、打点をわざとズラして試打をしてみましたが、今作はヒール側でもトウ側でも大きく目標から外れることなく飛んでくれました。高慣性モーメントヘッドの特徴を十分に味わえるMAXモデルに仕上がっていると思います」

最後部には14gのチューニングウエートを搭載

―ブレずに飛ばせる性能?
「まさしく、そうですね。ブレずに飛ばすというと、ピン『G』シリーズを連想して『G430 MAX ドライバー』に類似したコンセプトを感じます。上下左右慣性モーメント値1万g・cm2超えの『G430 MAX 10K ドライバー』と比べてしまうとブレにくさは劣ってしまうものの、飛距離性能を両立しながら同レベルまで慣性モーメントを高めた点は、今作のほうが実感することができました。もちろん『G430 MAX』も飛距離性能が低いわけではないですが、初速性能でいえば今作のほうが上。安定感だけではなく球筋の強さも際立っているといえます」

左からスタンダードモデル、「MAX」「LS」。下段はそれぞれ純正「DIamana ZXi50」「VENTUS ZXi6」

―スタンダードモデル『スリクソン ZXi ドライバー』と比べると?
「基本的に『―MAX』と近しい性格で、あえて違いを挙げるなら、少し高さが抑えめという部分です。プレーヤーとの相性にもよるところが大きく、高さが出ない人は『MAX』のほうがキャリーが楽に出せて飛距離が出る。HSが速い人には、スタンダードで高さを抑えてあげたほうが適正なスピン量で飛距離が伸びる。違いは唯一そこだけで、見た目や基本的な振り心地は同じような気がします。他シリーズと比べて、MAXとスタンダードがかなり近しい関係性といえます」

左がスタンダード。右「MAX」と比べるとウエートが後方左右に

―ロースピンモデル「スリクソン ZXi LS ドライバー」と比べると?
「他2モデルと比べて唯一、取扱説明書が必要なモデルだと思いました。スピン量は誰が打っても必ず下がる性能で、純粋にスピン量が多いゴルファーに良い恩恵をもたらすドライバーです。が、スライスを打ってスピン量が増えてしまう人には、実は相性は良くありません。スピンが減るほど低弾道で着地は速まりますが、曲がり幅も大きくなってしまうからです。スピン増は、吹け上がってしまうマイナス要素だけではなく、曲がり幅を抑えるというプラス要素を持ち合わせています。そういう点でいうと、『LS』は基本的に大きなミスをしない、純粋にスピン量が多い中上級者に絞られると思います」

右が「LS」。左「MAX」と比べるとウエートが中央前後に

―純正シャフト「Diamana ZXi50」との相性は?
「三菱ケミカルとの共同開発だけあって、非常にヘッドとの相性を考慮したシャフトに仕上がっていると思いました。更に精度の高い相性を求めたい人は、MAX自体がつかまりのいいヘッドなので、ちょっと逃がしたいシャフトを選べば失敗はしないと思います。ドローヒッターでボールをつかまえるのが得意な人であれば、手元側のトルクを抑えたフジクラ『SPEEDER NX GREEN』がお勧め。他に『SPEEDER NX(BLUE)』『BLACK』『VIOLET』と種類はありますが、中でも手元側の動きがあって一番つかまり&スピンを抑えたフェード弾道が打ちやすい特性というところが、『ZXi MAX』と好相性になり得る組み合わせな気がしました」

「スタンダードに近いは近いんですが 新たなスリクソンの形としてアリだと思う」(井上)

―どのような人向き?
「スコア100切りを目指している人から、プロや競技ゴルファーまで、本当に幅広いターゲット層になると思います。スタンダードモデルも同様のことがいえますが、よりやさしさを求めるなら『MAX』。理想とする弾道の高さで選べば間違いないでしょう。高さが出すぎてしまうリスクを逃がし系シャフトで補えれば、ひょっとしたらツアープロでも使用できる。汎用性が高く、いくらでもユーザーに合わせられるモデルといえます」

寛容性だけでなく打感も構えやすさも満点◎【総合評価4.7点】

【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】5.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:Diamana ZXi50(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 井上真熙(いのうえ・まさき) プロフィール

1998年生まれ、茨城県出身。ゴルフコーチを行っていた叔父の誘いで10歳からクラブを握る。高校ではゴルフ部に入り、ゴルフの楽しさを伝える仕事に就きたいと考えるように。卒業後、東京ゴルフ専門学校に入学してルール論、ゴルフ歴史学、心理学、用具論、用具メンテンナンス、トレーニング論、スイング論を学ぶ。PGAティーチングプロ資格取得済み。現在は「ゴルフテック by GDO」六本木店にて勤務。

ダンロップ
やさしさを追求
発売日:2024/11/09 参考価格: 85,800円