ダンロップが仕掛けた新たな国産MAX HS40m/s未満の女子プロ評価は！？

スリクソン ZXi MAX ドライバーをHS40未満の女子プロが試打したら…【西川みさと】

進化したフェース構造「i-FLEX」がスリクソン史上最速のボールスピードを生み出す新シリーズ『ZXi』。発売されたドライバー4機種の中で、大きな飛距離とシリーズ最高の寛容性を備えた『スリクソン ZXi MAX ドライバー』は、シリーズ最大の高慣性モーメントと深低重心設計となっている。そんな新たな国産MAXを、ヘッドスピード（以下HS）の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「意外とオールマイティ！？ 『ゼクシオ』とも違った新たな層にリーチするかも」

打ち出しもスピンも適度だが 思っていたより飛距離が伸びなかった…（平均197.4yd）

―率直な印象は？
「思っていたイメージよりも意外とアスリート寄りの印象です。構えると、ヘッドの薄さや大きさから、すごくやさしさを感じるのですが、実際打ってみるとそれほどオートマチックな性能に感じません。ネーミングの“MAX”の印象から、もっとやさしくボールを上げられ、よりつかまりのいいイメージを勝手に抱いてしまったからかもしれません。MAXモデルというよりは、既存のスタンダードモデルに近いオールマイティなヘッドという印象を受けました」

寛容性と直進性を重視したMAXモデル

―スタンダードっぽい印象…？
「はい。“MAX”にしては難しいというか、対象ゴルファーにはもう少しHSが必要な気がします（平均HS:34.9m/s）。単純に意外と操作性が備わっているというだけではなく、ターゲットのスイングを限定してしまう振り心地に感じました。MAXモデルを使うゴルファーは、私のようなパワーの足りない人やスインガータイプが多く、インパクトでバシッと振るヒッタータイプには向かない要素を感じていたのですが、そのイメージで振ってしまうと弾道が適度に上がらず、飛距離も伸び足りない結果に…。MAXと名の付くカテゴリーの中ではちょっと難しい性能、立ち位置に感じます」

安心感を抱けるもののそれほど大きすぎないサイズ感

―見た目の評価は？
「見た目は性能とは一転、十分なやさしさを感じます。ヘッドの厚みはシャローでボールを勝手に拾ってくれる見た目で、オートマチックに動かしても大丈夫な印象を与えてくれます。ボールを上から打ち込む必要はなく、サラッと払って振りたくなるようなフォルム。ただ、そのままのイメージで振るとボールがつかまらない…。結構ライ角がフラットで地面に対して平行に見えるので、カチャカチャ機能で調整するなら、もう少しアップライトに設定したいと思いました」

左からMAX、スタンダード、LS。※今回の試打ではツアーモデル「TR」は外しています

―兄弟モデルと比べると？
「スタンダードモデル『スリクソン ZXi ドライバー』も上から見た感じでは、サイズも形状も『MAX』と変わらず、ほぼ同じに見えます。少しフラットな設定も一緒。実際に打った印象も似ていて、総括してしまうと『スリクソン ZXi LS ドライバー』を含む3モデルが近しい性能に感じました。『LS』も、上から見ると若干シャープに見えますが、LSカテゴリーの中ではボールのつかまり具合も強めでやさしい性能。『MAX』がスタンダード寄りで、『LS』もスタンダードに寄っているということで、他社のシリーズと比べると3モデルの性能差が小さく、ターゲットを絞っているように感じます」

強度を維持しながらクラウン全体を薄肉化「スターフレーム クラウン」

―歴代スリクソン「5」シリーズと比べると？
「『ZX』シリーズとなってから、初代となる2020年発売『ZX5 ドライバー』は評価が高かったと記憶しています。そして22年の『ZX5 Mk II ドライバー』ではややスピン量が落ち、ボールの高さも出にくくなった気がしました。今作はその変化とはまたちょっと違った印象。というより、今作は同シリーズとして『MAX』と名称に入ったのは初めてなので、あまり過去モデルとの結び付きは考えなくていい気がします。シンプルにMAX＝やさしさを求める人に合う合わないという判断のほうが適切な気がしました」

「ちょっと難しいMAXとやさしいLS、3機種がくっ付いている印象」(西川)

―どのような人向き？
「ある程度スイングがしっかりしていないと難しく感じるため、最低でも私と同じHS（普段の平均35～36m/s）は欲しいです。上限としては42～43m/sあっても使えなくないとは思いますが、そうなるとスタンダードモデルに行けばいいわけなので、メインは35～40m/sになるでしょうか。同社『ゼクシオ』シリーズは、大型サイズで寛容性を重視したモデルなので、ターゲットが重なることはないと思います。もちろん気分転換を兼ねてブランド間を行き来することは問題ないと思いますが、既存の『スリクソン』『ゼクシオ』ユーザーではなかった新たな層が当てはまる可能性を感じます」

新たな可能性を感じつつ 評価は3.5△2つ…【総合評価3.8点】

【飛距離】3.5
【打 感】4.0
【寛容性】3.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角：10.5度
・使用シャフト：Diamana ZXi50（硬さS）
・使用ボール：リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋