最新“ミニドラ”試打 イマドキの小ぶり1Wを徹底比較
注目の最新6モデル 初速からスピン量まで試打検証
大型化した現代のドライバーが苦手で振りきれないというゴルファーは少なくない。そんなゴルファーのなかで注目を集めているのが、ひとまわり小ぶりなドライバー“ミニドラ”だ。技巧派として知られる今野一哉プロに、各モデルを試打してもらい、トラックマン計測とその特徴を解説してもらった。
※今回の記事では460ccの大型ヘッドに対し、小ぶりなドライバーの総称を“ミニドラ”と定義
狙い通りに方向性が出せる「オリジナルワン」
ヘッドスピード:48.4m/s
ボール初速 :72.1m/s
バックスピン量:2749rpm
打ち出し角 :10.9度
総飛距離 :292.8yd
「『オリジナルワン』は、他の“ミニドラ”とは一線を画す、ひときわ小さなヘッド形状です。狭いホールのティショットでプロが3Wを選ぶように、小ぶりなヘッドほどシビアに方向性を出しやすいもの。これだけ小ぶりだと、自然とターゲットにぐっとフォーカスできます。大型ヘッドのドライバーに比べると少し飛距離は落ちますが、曲がらず弾道の安定感を得られます」
最新機能が満載のミニドラ「M5ツアー」
ヘッドスピード:50.5m/s
ボール初速 :73.0m/s
バックスピン量:2438rpm
打ち出し角 :10.9度
総飛距離 :301.3yd
「『M5ツアー』は、飛距離重視の最新テクノロジーを追求してきたテーラーメイドの中で、最も大型ヘッドと対照的なモデルといえます。ソールのデザインは『M5 ドライバー』同様、いかにも機能が詰まっている印象ですが、構えてみると本格派の上級者が喜びそうな精悍な顔つき。見た目通り操作性が高く、そのうえ現代風の高弾道を手に入れられます」
本来タイトのあるべき姿が凝縮「TS4」
ヘッドスピード:49.9m/s
ボール初速 :73.9m/s
バックスピン量:2343rpm
打ち出し角 :9.2度
総飛距離 :303.5yd
「『TS』シリーズはこれまでのタイトリストのイメージを一新し、許容性が高くなりました。従来モデルと比べ、形状もやさしい雰囲気となっており、それだけに『TS2』『TS3』に物足りなさを感じた固定ファンも多かったと思われます。その点で『TS4』は、タイトリストらしいシャープさを持ち、狭いホールでも積極的にコントロールしたくなる操作性があります」
ベテランも納得のこだわりが詰まった「ミズノプロ」
ヘッドスピード:50.6m/s
ボール初速 :74.7m/s
バックスピン量:2847rpm
打ち出し角 :13.0度
総飛距離 :302.2yd
「『モデル-S』は、長年プロモデルを生み出してきたミズノの意地を感じさせるデザインです。かつてのパーシモン時代には、ゴルファーは木目の入り方までこだわったと言われていますが、そのような部分が今作でいくつか見受けられます。例えばロフト調整機能のメモリが上からは見えない点など、プレーヤーのフィーリングを邪魔しない配慮が随所に施されています」
“あの頃”の憧れを具現化したような形「バルド」
ヘッドスピード:49.9m/s
ボール初速 :74.4m/s
バックスピン量:2546rpm
打ち出し角 :14.2度
総飛距離 :307.5yd
「『コンペティオーネ568』は強烈なディープフェース&ディープバックで、420ccというサイズ以上に引き締まって見えるモデルです。1990年代、メタルウッド創世記にプロはこういう形状で育ったんだと感じさせるような形状。誰もが上級者向けのプロモデルに憧れ、いつかは使いたいと願った当時のモデルそのものの形です。打感も申し分なく、とても扱いやすいクラブです」
据わりの良さで安定感抜群「マスダ FBL」
ヘッドスピード:50.9m/s
ボール初速 :74.0m/s
バックスピン量:2948rpm
打ち出し角 :10.4度
総飛距離 :297.4yd
「『FBL ドライバー』は、現代では珍しくなった縦長に見えるかなりのディープヘッド形状です。重心位置が浅く見えて、いかにも振り抜きが良さそうで、実際に振ってみてもかなりスピードが出せます。据わりが抜群でフェースが左右に開くことなく、目標に構えやすく弾道のイメージが出しやすいです。今回試打したモデルの中で、最も安定性を感じました」
形状の違いで特性を把握しよう
計測前に“ミニドラ”は飛距離性能としては不利に働くのではないかという懸念をもっていたが、実際の数値ではスピン量は2000rpm台に抑えられ、総距離は300ydを超える結果となった。これは今野プロが大型ヘッドで計測した数値とほぼ同等か、それ以上の結果に。今野プロは最後に、「大型ヘッドよりミスを怖れず、思いきり振りきれる“ミニドラ”は、飛ばしにもかならず良い影響を及ぼすでしょう」と、結果を踏まえた考察で締めくくった。
今回紹介した“ミニドラ”6モデルを、操作性の高さ(逆に低い=寛容性が高い)と、フェースの後ろ側の厚み ディープ(厚い)orシャロー(薄い)の軸で表を作成してみた。「ディープバック」は後ろが厚いぶん重心が浅くなり、バックスピン量を抑えることができる。逆に「シャローバック」は重心が深くなり、ボールを上げやすい特性がある。今野プロはこの特性を知ったうえで、あえて飛距離を上げるために、ディープバックのモデルではスピン量を多めに、シャローバックのモデルでは少なめに抑えて打っていた模様だ。最新モデルを把握する際には、ぜひ参考にしていただきたい。
撮影協力/カレドニアンゴルフクラブ
今野一哉(こんの・かずや) プロフィール
1982年生まれ、千葉県出身。300ydを超えるビッグドライブと自在に球筋を打ち分ける技術を併せもつプロゴルファー。レッスンだけでなくギアやルールにも精通する“ゴルフコンシェルジュ”として多方面で活躍中。エイティーン代表。