3タイプはそれぞれどう変わった? 人気のG425を実測データで解析
ピン「G425 シリーズ」のドライバーは、性能別に慣性モーメントが最も大きい「MAX 」、低スピン仕様の「LST」、よりつかまりが良い「SFT」の3タイプを展開する。前作と同じ3種構成を引き継いだわけだが、いざクラブを購入する際に気になるのは、それぞれがどう変わった?というところ。今回は前作の「G410 シリーズ」3機種に2018年モデルの「G400 MAX」を加えた計7機種の実測データをもとに、クラブコーディネーターの鹿又芳典氏が進化の過程をひも解く。
※本記事はジオテックゴルフコンポーネント社の実測データをもとに作成しており、記載の数値がメーカー公表値と異なることがあります。
3タイプ共通の進化 「上下 MOI」が拡大
慣性モーメント(以下MOI)とは物体の回転しやすさを示し、ゴルフクラブでは数値が大きいほどミスヒットに強くなり安定性が増す。一般的にフェース左右(トウ・ヒール方向)の数値を指すことが多いが、ピンはかねてフェース上下(クラウン・ソール方向)の数値にも意識を傾けてきた。
MOIについて鹿又氏が3タイプに共通する変化のキーワードに上げるのが、「左右だけではなく、上下のMOIが大きくなっている」ことだ。【表1】の上下MOIを比較すると、G425シリーズのすべてで前作を超えていることが分かる。「左右はある程度ルールの最大値(5900g・cm2)になっており、5000前後あればかなり大きいと言えます。そこに対して上下のMOIが大きくなったことで、打点ズレへの強さが左右と変わらなくなりました」と述べ、よりミスヒットに強くなったことを示す数値と捉えていた。
「MAX」は重心位置キープ+MOI大幅アップ
それでは、「G425 シリーズ」個々の変化について分析を進めていこう。「MAX」の進化の過程について鹿又氏は、「『G410 PLUS』というよりは、『G400 MAX』の流れを汲んだ進化と言えます」と解説する。その裏付けとするデータのひとつが、【図1】 に示すヘッドの重心距離(重心とシャフト軸線との距離)と、重心深度(フェースから重心までの距離)だ。それぞれの変遷を示す【表2】 と【表3】で比較し、 「『MAX』のデータを見ると、どちらも『G400 MAX』とほぼ同じ数値で形成されていることが分かります。『G400 MAX』の重心位置を保ちながら、前述した通り上下・左右のMOIを大きくアップさせており、さらに飛んで曲がらなくなったことを示しています」と鹿又氏は言う。
【表1】の「G425 MAX」に目を向けると、MOIは上下・左右ともに歴代モデルを大きく超える数値を記録した。大きな重心操作はせずに前作(G400 MAX)とほぼ同じヘッド特性を維持しつつ、ピン史上最大のMOI (上下+左右)を備えるに至ったわけだ。
「LST」「SFT」は重心操作で振りやすさ向上
鹿又氏が「今回の『LST』と『SFT』の大きな変化」として着目したのは、重心距離がともに『G410』に比べて短くなり、重心深度は『LST』が深く、『SFT』は浅くなっている点だ。
「まず『LST』は、重心距離が約2mm短くなり、深度は約3mm深くなっています。それでいてスピン量は抑えられており、強い球になる。重心距離が短くなっている分、操作性も良くなっています。『SFT』の重心距離も約2mm短くなり、深度は約2mm浅くなりました。こちらも操作性と弾道の強さがアップし、上級者まで幅広く扱うことができる印象です」
これらの重心位置の変化に、前作からMOIがアップした要素が加わる。【表1】の通り、測定値ではフェース左右は前作をわずかに下回ったが、上下はともに向上。鹿又氏は「どちらもスピン量の安定が図られ、左右に曲がりにくくなりました。かつ重心距離が短くなっているので、MOIが大きなヘッドにありがちだった操作性の悪さも解消したのが、今回の2タイプの特徴です」と総括した。
3タイプの選び方は「SFT」を基準に
3タイプの特性と進化をデータからひも解いた上で、鹿又氏は「G425 シリーズ」のクラブ選びについて「一般のアマチュアゴルファーはどうしても『MAX』から打ちたくなるかもしれませんが、最初に打ってほしいのは、シンプルにMOIが大きくて扱いやすいヘッドの『SFT』ですね」と述べ、意外にもSFTを基準に置くことを推奨する。
「『SFT』は操作性が良くなり、上下のMOIが上がってスピン量も安定しています。左右のMOIもそれほど下がっていません。今回の『G425シリーズ』において、最もピンらしい、ベースの真ん中に位置するタイプだと思います。『SFT』を試した結果、もっとスピンを減らしたい、弾道を強くしたいという人は『LST』を。『SFT』だとつかまり過ぎる傾向にあり、よりオートマチック感が欲しいという人は『MAX』に進む、という選び方をしてもらえればいいと思います」と提言した。
鹿又芳典(かのまた・よしのり) プロフィール
豊富なギア知識と年間2000本以上にも及ぶ試打経験を生かし、クラブフィッターとして数多くのゴルフ媒体で活躍中。ゴルフショップ マジック主宰。
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