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最新シャフト4本を打ち比べてみた ~2020年版~

2020/12/01 11:45

ツアーAD、ディアマナ、スピーダー、アッタス 大手4社モデルの特性比較

(左から)DAAAS、エボ7、TB、HD

ことしも4大シャフトメーカーの最新モデルが出そろった。グラファイトデザイン「ツアーAD HD」(以下HD)、三菱ケミカル「ディアマナ TB」(以下TB)、藤倉コンポジット「スピーダー エボリューション 7」(以下エボ7)、USTマミヤ「ATTAS DAAAS」(以下DAAAS)。4本の特性を把握するため、クラブフィッターの筒康博氏が試打を行い、採点(いずれも5点満点)とともに4モデルをわかりやすく解説する。

4モデルを練習場レンジボールにて試打。弾道はトラックマンにて計測

■ツアーADの走り系「HD」

走り感と粘り感の差が大きくついた

「近年発売の同シリーズで一番走るモデル」と評し、【走り感】4.5点【粘り感】3.0点と大きく差をつけた筒氏。平均ヘッドスピード41.2m/sは、「エボ7」の41.4m/sに次ぐ速さ。「パワーはないものの、自分でスピード感を出したい人に、ちょっぴり手助けしてくれる」と、その特性を表現した。

■エネルギー効率が高い「TB」

全体的にバランスのとれた五角形評価に

筒氏は「それほど動くシャフトではないものの、エネルギー効率が高い」と賞賛。他社の走り系モデルを差し置いて、平均総距離が一番(248.5yd)という結果からも、その効率の良さが分かる。「アイアンのスチールシャフトで打った時のような、自分で作ったエネルギーを全てボールに伝えられる」と評価した。

■タメが作れる走り系「エボ7」

新境地と表現していいほど過去モデルと異なる特性に

「走り系のスピーダーシリーズですが、あえて言うと今回は粘り系」と、【走り感】4.0点を上回る【粘り感】4.5点をつけた筒氏。平均スピン量2767rpmは、4モデルの中では一番多いものの、適正の範囲内に収まったと言える。「インパクトで先端が暴れないから、スピン量が抑えられる」と、その要因を説明した。

■印象は1+3+8「DAAAS」

アッタス史上最もスイングタイプを選ばないモデルに

「3つの要素が詰まった特性」と歴代モデルを引き合いに出した筒氏。打ち出し角9.4度は、4社の中で一番低いものの、総距離はそれほど変わらない点から、前に前に飛ぶ強弾道が出やすいことが分かる。「先端は初代『ATTAS』のシッカリ感、手元側は『3』のしなり感、全体は『PUNCH(8代目)』の走り感」と、その特性を言い表した。

走り系と粘り系がシフトチェンジ!?

※昨年の分布図と比較したい場合は、下段リンク「2019年版」をご参照ください

4モデルの特徴をひと目で把握できるように、弾道の高さを縦軸、特性を横軸とする表で比較した。“走り系”スピーダーシリーズの「エボ7」が、“粘り系”の軸にシフトし、逆に“粘り系”であるディアマナシリーズの「TB」が“走り系”に移行した点が大きな特徴と言える。近年、歴代モデルの特性をそのまま引き継がない傾向はあったものの、ことしはさらにそれが強まった印象だ。

好相性のヘッドはどれ!? コレを見れば一目瞭然

ヘッドも全て2020年モデル

・「HD」と合いそうなヘッド:
ピン『G425 LST ドライバー』、ダンロップ『スリクソン ZX7 ドライバー』、キャロウェイ『マーベリック ドライバー』、プロギア『RS ドライバー(2020)』。筒氏は「HD」の全体的な走り感をもつ特性に合わせ、やや小ぶりで操作性の高いモデルをピックアップ。

・「TB」と合いそうなヘッド:
タイトリスト『TSi2 ドライバー』、『TSi3 ドライバー』。ダンロップ『スリクソン ZX5 ドライバー』『スリクソン ZX7 ドライバー』。「TB」のエネルギー効率の高さから、一発の飛びを追求できる2ブランドを選んだ。

・「エボ7」と合いそうなヘッド:
ブリヂストン『ツアーB X ドライバー』、ダンロップ『スリクソン ZX5 ドライバー』、ピン『G425 SFT ドライバー』、ヤマハ『インプレス UD+2 ドライバー』。「エボ7」の走り感と操作性を生かす目的で、形状がゲンコツ型モデルが合うとのこと。

・「DAAAS」と合いそうなヘッド:
ピン『G425 MAX ドライバー』、ヤマハ『インプレス UD+2 ドライバー』、タイトリスト『TSi2 ドライバー』、キャロウェイ『マーベリック MAX ドライバー』。「DAAAS」の強弾道を生む飛距離性能に合わせて、慣性モーメントの大きな大型モデルをチョイスした。

「1g」でもこだわりたい人はスペック比較

上記すべて各社カタログ表示による数値

キックポイントなどの特性だけでなく、数値にこだわりたいという人には、スペック表を見比べてもらいたい。例として60g台のフレックスS(6S)で比べてみると、重量からトルクまで微妙に異なることが分かる。

「重量」は主に振り心地に影響し、「チップ径」は先端部の直径。「バット径」は手元側のシャフトエンドの直径を指す。ねじれ度合いを示す「トルク」は、クルマのハンドルでいう“遊び”のようなもので、数値が大きいほど手の動きに対してヘッドの動きが鈍感に。オートマチックに振りたい人は数値が大きいものを、自分で操りたい人は数値が小さいものを選ぶと良いだろう。

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、市川サンライズゴルフセンター

■ 筒 康博 プロフィール

プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。

グラファイトデザイン
発売日:2020/09/10 参考価格: 44,000円
三菱ケミカル
発売日:2020/09/04 参考価格: 44,000円
藤倉コンポジット
発売日:2020/09/03 参考価格: 44,000円
UST マミヤ
誰でも叩ける、飛ばせる。
発売日:2020/10/12 参考価格: 44,000円