とにかくトガりたいアナタへ 中古で始める“コブララバー”のすゝめ
ひと昔前、米国では人気があるのに、日本では大ブレークに至らないメーカーがいくつかあった。そのひとつがピンだったのだが、この10年間で急成長。今回取り上げるのは、まだまだ伸びしろだらけのコブラだ。なんとなく、ハードヒッター限定というイメージがあるドライバーの魅力を中古視点で深堀りしたい。
デーリーやノーマンが歴史を作った
コブラゴルフは1973年に創業。先進性が高いクラブを世に送り出し、ジョン・デーリーが1991年「全米プロ」を制した際に使っていた「ウルトラ・ミッド」はヘッドが軍事用に開発された白い樹脂製のドライバーだった。世界ランキング1位だったグレッグ・ノーマン(オーストラリア)は同社の取締役でもあった。
1993年発売のメタルウッド「キングコブラドライバー」はアマチュア時代のタイガー・ウッズが使用し、プロ入り後の1997年に「マスターズ」を初制覇した。ノーマンも愛用していたことから、「コブラはハードヒッター向け」というイメージが定着したように思う。
コブラはその後、タイトリストブランドを持つアクシネットグループに加わり、2010年にはプーマの傘下に入った。リッキー・ファウラーやレキシー・トンプソンを抱えることでイメージを若々しく一新。ブライソン・デシャンボーと契約してどの番手も長さが同じ「ワンレングスアイアン」を発売するなど挑戦的なモノづくりを展開してきた。
「ハードヒッター向け」とされた過去
デーリーやノーマン、ウッズにデシャンボーといったツアーで稀代の飛ばし屋だけでなく、世界ドラコン選手権で4連覇を達成したジェイソン・ズーバックが使用していたこともあり、コブラには「ハードヒッター御用達」のイメージが付きまとった。確かに当時は「これはアマチュアには…」と思わせるクラブがあったのも事実。ハードヒッター向けではないモデルにも、日本のエンジョイゴルファーが扱いやすいと感じるドライバーは少なかった。
問題はヘッドの重さだ。200gを超えるものがほとんどで、2014年から16年までのモデルは205g超えも珍しくなかった。硬めの純正シャフトもハードなイメージに拍車をかけ、ハードヒッターでも苦労しそうなモデルも多かった。現在は重すぎるヘッドはなくなり、ヘッドスピードが速くないゴルファーも安心して使えるドライバーを発売している。
トガり方がハンパじゃないアスリートモデル
慣性モーメントを限界まで高く、重心を限りなく深く――というのが昨今のドライバーのトレンド。しかしコブラは、流行の真逆というべきクラブをラインアップしている。中古相場で2万円を切る「キングラッドスピード」(2021年)、2万円台中盤の「キング LTDx LS」(2022年)、「エアロジェット LS」(2023年)。そして早くも4万円台中盤で見つかりそうな「ダークスピードLS」(2024年)だ。
“お助け機能”は最低限に抑え、操作性に優れたマニュアル的なドライバーづくりはコブラ独自の世界観であろう。
コスパもやさしさも最上級のドライバー
今さらマニュアルはちょっと…と思うアナタ。コブラには操作性よりやさしさを限りなく追求したオートマチックなモデルもあるので、ご安心を。「キング F9 スピードバック」(2019年)は慣性モーメントも大きく、重心深度も十分深い。ハードヒッターでなくても扱いやすい。ただし、フェース角がオープンなので左へのミスが怖いゴルファーに向いている。1万円台中盤から見つかりそうだ。
「キング スピードゾーンエクストリーム」(2020年)も同様に高慣性モーメントを誇る。こちらはフェース角もオープン過ぎず、扱いやすいニュートラルな性格。「キング ラッドスピード XB」(2021年)も同じような性格で、年式も新しい。どちらも中古なら1万円台中盤で手に入るだろう。お財布にも魅力的だ。
コブラのドライバーが“尖った”マニュアルモデルばかりだったのは昔の話。今では一般アマチュアも安心して使えるクラブが揃っている。最新のAI設計を導入し、鍛造フェースで、エアロダイナミクスにも注力した構造は、ドライバーの基本的な部分にしっかりコストがかけられている証だ。
デザインもあか抜けていて、飛距離性能も申し分ない。販売ルートを限定しているため中古の在庫も少ないが、コブラ人気はいつ爆発してもおかしくない。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。
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