「新品か中古か」ギアマニアも悩む中古アイアン購入時の“リスク&リワード”
ダンロップの「スリクソン ZXi」シリーズ、ブリヂストンの「B-FORGED」と、この秋はアイアンの新商品が売れている。冬のボーナス商戦も近づき、ゴルファーの購買意欲が最も刺激される季節。予算さえあれば、最新モデルをピカピカの新品で手に入れたいが、中古でも十分ではないかと悩むゴルファーも多いはずだ。ギアマニアの視点で、後悔しないアイアン購入術をお伝えしよう。
「中古ギア情報」で新品アイアンを勧める理由
本連載は基本的に「中古ギアの賢い選び方」を発信している。しかし、新品を買うことを否定しているわけではない。複数本をそろえるアイアン選びは、まさにケースバイケースと言える。前提として、アイアンの性能進化のスピードはウッド系(特に1W)に比べて極めて緩やかだ。
軟鉄鍛造の打感や顔つき、ロフトピッチ、ソールの抜けといった不変のフィーリングが重視され、5年前、場合によっては10年前のモデルであっても、最新モデルとの飛距離やスピン性能で大きな差がつかないことも多い。もちろん、グリップを含めたパーツの消耗度が高まることは否めないが。
では、なぜ新品のアイアン購入をあえて勧めるのか。そこは、アイアン特有の「セット本数の多さ」と「セッティングの自由度」が関係している。
ウッド系のクラブを購入し、リシャフトが必要な場合は1、2本の交換でいいが、アイアンは5、6本を一度にそろえる必要がある。中古ショップで好みのヘッドを見つけても、装着シャフトが自分に合わず、リシャフトするとなると、シャフト代(5本分で約2万円~)に、工賃やグリップ代(1本1500円~2000円×本数)も上乗せされる。特殊なカスタムシャフトや高級カーボンシャフトであれば、それだけで数万円~10万円近くに跳ね上がるのだ。
そう考えると、最初からメーカー純正カスタムで組んだ新品の総額と大差がない、あるいは新品のほうが安いということが平気で起こる。最初からスペックを妥協したくないなら、新品のカスタムオーダーの方がライ角の調整も含め手間もかからない。
トレンドの“コンボアイアン”を組むなら新品一択だ
最近のツアープロや、感度の高いアマチュアの間で定番化しているのが、番手によってモデルを変える「コンボセッティング」だ。5番、6番などの長い番手はやさしい中空タイプやキャビティタイプ、7番~PWの短い番手は打感と操作性に優れたハーフキャビティといった具合。このような組み合わせは、店頭でのセット販売ではまずそろわない。
ゴルファーそれぞれのこだわりを反映でき、シャフトも統一できる。番手ごとのロフトピッチや長さ、重量フローまで完ぺきに組むならば、メーカーの新品カスタムオーダーの独壇場だ。
中古クラブの魅力と潜むリスク
中古アイアンの最大の魅力は、言うまでもなく価格が安いことだ。しかし、ドライバー以上に前オーナーの痕跡が強く残るため、購入時にはポイントを頭に入れておく必要がある。
まずはグリップの消耗度。6本すべてを交換するためには1万円前後かかる。また、軟鉄鍛造モデルの場合は前オーナーが工房でネックを曲げて調整しているケースが非常に多い。ネック部分に無理な曲げ痕(シワや万力の挟み痕)がないか、カタログスペックと誤差がないか確認したい。前オーナーが練習場で特定の番手ばかり打っていた場合、その番手にだけ使用感が残っていることがあるので注意しよう。
中古アイアン探しの最大のロマンは、「前オーナーのカスタムセンスが抜群だった掘り出し物」に出会えることだ。シャフトやグリップ選び、バランス調整、前の持ち主がこだわり抜いて組んだセットが割安で購入できる可能性がある。自分のスイングに“ドンピシャ”で合うクラブに出会えたとき、新品を遥かに凌駕する「コスパ最強の宝物」へと化ける。
新品を買うにも、中古にするにも、最終的には「どこまでこだわるか」と「どれぐらい使い込む覚悟か」である。アイアンはゴルフバッグの中で最も本数が多く、スコアメークに直結するギア。どこまでこだわるかを明確にした上で、店頭の最新モデルに手を伸ばすか、中古ショップの棚から奇跡の1セットを発掘するか、より良い決断を下してほしい。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。