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新製品レポート

ついにキタ! 俺も打てるテーラーメイド「Qi10 MAX ドライバー」最速試打

発表前からロリー・マキロイタイガー・ウッズなどの契約プロが実戦投入し、話題となっていたテーラーメイドの最新作「Qi10」シリーズが発表された。2024年の新作はモデル名とテーマカラーが一新され、ブルーを基調としたデザインとなっている。ドライバーはやさしさを追求した「Qi10 MAX」、スタンダードモデルの「Qi10」、浅重心で低スピンの「Qi10 LS」という3機種展開。手始めに、左右と上下の慣性モーメントの合計値が1万を超えた「Qi10 MAX ドライバー」の特徴を、前作との違いも踏まえてギア知識が豊富なミタさんが解説。そして、パワーヒッターのヨシダくん(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、ヘッド性能を調査する。

クラブの特徴は? 慣性モーメントの合計値が10k超え

【ミタさん】
今回は、10日に発表されたばかりの「Qi10 MAX ドライバー」です。前作でいうところの、シリーズ中で最もやさしい「ステルス2 HD ドライバー」の後継モデルにあたります。HDはハイドロー(High Draw)の頭文字でしたが、今作では「MAX」という名称に変更されました

【シオさん】
発表前から海外の選手が使用して話題になっていましたよね。そもそも、「Qi10」とはどのような意味でしょうか? 「HD」から「MAX」にタイプ名が変わった点も気になります

【ミタさん】
「Qi10」は「The Quest for 10,000 inertia」の頭文字を組み合わせたモデル名です。探求するという意味の「Quest(クエスト)」と慣性モーメントを意味する「inertia(イナーシャ)」、英語では1万を「10K」と略して呼ぶことから、縦と横の合計慣性モーメント値1万を達成したドライバーということを表現しています。また、「MAX」というタイプ名には、「MAX MOI(慣性モーメントMAX)」「Max Straight(MAXストレート弾道)」「Max Size(ルール上限のMAXサイズ)」などの意味が込められています。

【ヨシダくん】
慣性モーメント1万って前代未聞の数字ですね。今作において、慣性モーメント値が高くなったことで、どのような効果があるのでしょうか?

【ミタさん】
左右の慣性モーメントはルールで5900が上限と定められていますが、同社は縦方向の打点ブレも考慮し、これまで達成したことない縦と横の合計値1万を目指しました。高慣性モーメントにすることで打点ブレに強くなり、トウやヒールに当たったミスヒットでもフェースが開きにくく、曲がり幅が抑えられます。これにより、前作「ステルス2 HD」と比べて慣性モーメントの合計値は約16%アップし、より曲がりにくく、ミスに強いモデルに仕上がっているそうです。

【シオさん】
前作よりもミスヒットに強いのは、私のようなアマチュアにとっては心強いですね。ちなみに、慣性モーメント1万を達成するために、どのような部分が進化しているのでしょうか?

【ミタさん】
今作では、高慣性モーメントを実現するためにヘッドの重量配分が見直されています。クラブ全体でカーボン使用量がアップし、クラウンは約97%がカーボンです。また、今作に搭載されている60層のカーボンツイストフェースは、前作と比べて約2g軽量化されています。フェースを支えるフレームも進化し、同社史上最軽量のチタンフレームを新たに開発。軽量のフェースをチタンフレームが支える設計にすることで、フェースの広範囲でエネルギー伝達効率が向上し、初速性能と飛距離性能を向上させています

【ヨシダくん】
高慣性モーメントとボール初速って性能的には両立するのが難しいイメージですが、2つの特性がきちんと発揮されているのか、試打して検証してみましょう。

試打した印象は? スピンを抑えて右に行きづらい

【シオさん】
前作と比べてみると、見た目がだいぶ違います。ここ数年のテーラーメイドのドライバーは綺麗な洋ナシ型でしたが、今作はヘッド全体が丸みを帯びた形状で、かなりシャローヘッド。構えてみると、少しだけフックフェースに見えて、球をつかまえてくれそうな雰囲気です。

【ヨシダくん】
見た目で言うと、「ステルス」シリーズとは全く別物という印象ですね。すわりが良くて、ヘッドが大きく見えるので安心感があります。あと、構えた時に白っぽい線がフェース上部に入っているので、アライメントが合わせやすい。ターゲットに対してスクエアに構えやすく、特にコースではラインがあることで視覚的に助かると思います。

【ミタさん】
「Qi10 MAX」のヘッドは、前作比で約8mm後方に伸ばして投影面積を大きくすることで、見た目からやさしさを感じられる形状となっています。試打してみた印象はどうですか?

【シオさん】
打感は前作と似ていますが、今作はボールがフェースに食いついた後に、後ろから強い力で押し出すような感覚がありました。ボールスピードが約60m/s、飛距離が257ydも出ていて、前作よりも初速性能が進化した印象です。程良いドローで、強弾道で飛んでいました。ただ、私は普段から弾道が低くてスピン量が少ないタイプなので、ロフト角9度では球を上げるのは厳しい…

【ミタさん】
今回はロフト角9度で試打したので低弾道でしたが、ロフトを10.5度で試すとちょうどいいかもしれませんね。でも、何球打っても球筋や弾道の高さはそろっていましたよ。ヨシダくんはどうでしたか?

【ヨシダくん】
なんだろうこれ…、初めての打感です。弾道はすごくつかまるし、飛んではいるけれど、打ち出し角が低くて、スピンが入らない。純正シャフトで3球打って、全てバックスピン量が2000回転を超えていませんからね。僕は普段やさしい性能のドライバーで2500回転を下回ることはめったにないので、性能的には結構尖っている印象です

【ミタさん】
打ち出しが左に行っている割には、打ち出し角は取れている方だと思いますよ。実際に打ってみて、「10k」のやさしさは感じられましたか?

【ヨシダくん】
難しいとまでは言えるほどではないですが、簡単でもなかったと思います。慣性モーメント1万ともなると、未体験の打感や試打データになるんですかね…

【シオさん】
先ほど、後ろから押されるような打感だったとコメントしましたが、ボールが当たった瞬間にヘッドがブレにくいので、球を押し出すような感覚がより際立っていたのかなと思います。また、インパクト時にヘッドがほとんど動かないので、オートマチックにつかまえて飛ばせるモデルです。そういう意味では、ミスヒットや打点ブレに強いと言えるのでは。

【ミタさん】
テーラーメイドのカーボンウッドは、金属ウッドのようにヘッド全体をたわませて飛ばすのではなく、ヘッド後方に設置したウエートがインパクト時にボールを押し出す力を生みます。「MAX」モデルにはヘッド後方に約30gのウエートが配置されているため、その様に感じたのかもしれませんね。

【ヨシダくん】
シオさんが言うように、ヘッドのブレにくさは感じました。ドローバイアス設計になっているので、インパクトゾーンでフェースが閉じる方向に動く感覚があります。おそらく今回の「MAX」のターゲットであるバックスピン量が多くて右に曲がりやすいスライスゴルファーに対して、その特性を加味した上でのドローバイアス&低スピン性能になっているのかもしれません。

まとめ

【ミタさん】
名前や見た目などすべてが刷新された「Qi10 MAX ドライバー」。高慣性モーメント設計により、前作「ステルス2 HD」よりも打点ブレに強くなっています。試打データを見てみると、2人とも弾道がそろっていて安定性の高さが感じられました。ドローバイアス設計でしっかりつかまってくれるので、オートマチックにドローボールを打ちたい人にマッチすると思います。ミスショットに強く、飛距離も期待できるので、スライスやプッシュアウト系のミスに悩んでいる方はぜひ試してみてください。

【ヨシダくん】
バックスピン量を抑えて、かつ右へ飛んでいくのも防いでくれる。しかもボール初速が出て飛距離が出るので、スライスゴルファーにとっての救世主になり得ると思います

【動画】「Qi10」シリーズドライバー3機種を試打比較

■ 試打したクラブのスペック

テーラーメイド Qi10 MAX ドライバー
●ロフト角:9度 ●シャフト:Diamana ブルー TM50 ●硬さ:S

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Regio Fomula MB+ 55 ●硬さ:S

ヨシダくん:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED 6 ●硬さ:X

テーラーメイド
ぶっ飛び系10Kを体感せよ。
発売日:2024/02/02 参考価格: 95,700円

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ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

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