｢ELYTE X｣はドローバイアスが入った高MOIモデル

正式発表されたばかりのキャロウェイ「ELYTE（エリート）」。PGAツアーでは開幕戦からザンダー・シャウフェレをはじめとするトップ選手が続々と使用を始めた。ドライバー4機種のうち、今回はドローバイアスタイプの「ELYTE X」を紹介したい。その特徴をギアの知識が豊富なミタさんが解説。飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ（HS50m/s）とベテランゴルファーのシオさん（HS40m/s）が試打し、分析した。

Aiフェースをスライス仕様に。カスタムウエートで10K超えも可能！

スタンダードモデルの｢ELYTE｣よりも後方部に少し伸びた形状

【ミタさん】
今回紹介するのは「ELYTE X」。スタンダードの「ELYTE」と比較するとドローバイアスになっているのが最大の特徴です。

【シオさん】
性能としてはスライサー向けのヘッドですよね。

【ミタさん】
決してスライサーだけのモデルではありません。日本のアマチュアゴルファーはボールをつかまえられない人も多いので、「ELYTE」よりつかまりのいい「-X」と相性が良い人も多いはずです。

前作｢PARADYM Ai SMOKE MAX D｣ドライバーよりも補正精度が高まった｢ELYTE X｣専用フェース

【コウタロウ】
スタンダードの「ELYTE」とフェースも違うんですか？

【ミタさん】
基本的なコンセプトは同じです。コントロールポイントの数を前作から10倍以上の25000にして、フェースのあらゆるポイントで打っても弾道のエラーを修正してくれます。「ELYTE」との違いは、AIにインプットしているゴルファーのデータです。前作からキャロウェイではAIにリアルなゴルファーのデータをインプットしていますが、「X」はややヘッドスピードが遅くてヒールヒットが多い人や、スライスに悩んでいる人のデータをメインに入力しています。

｢ELYTE｣モデルよりもヒール側の内部をやや肉厚にしてつかまりを良くしている

【シオさん】
ヘッド後方にあるウエートポートの構造も違いますね。

【ミタさん】
「ELYTE X」はニュートラルとドローの2ポジションで13グラムのウエートを調整できます。さらにカスタムで18グラムのウエートを装着すると、慣性モーメントが10K（10000g・cm2）を超えるヘッドになります。

【シオさん】
では、純正のウエートでも慣性モーメントはとても高いんですね。

【ミタさん】
はい。投影面積も大きく「ELYTE」より慣性モーメントもあり、やさしいモデルになっています。

• ⇒兄弟モデル「ELYTE ドライバー」の試打レポート

これぞスライスキラー！インパクトゾーンで勝手にフェースが閉じる

楽につかまってくれるので右のミスはとても少ない(コウタロウ)

【コウタロウ】
ドローバイアスのヘッドなのにアドレスしたときにフックフェースじゃないのがいい。これはスクエアに構えられる。

【ミタさん】
それでも、つかまりは良かった？

【コウタロウ】
つかまるし、楽ですね！ ヘッドの動きとしてはハーフウェイダウンからインパクトにかけて、クローズ方向にフェースが動いてくれるので、簡単にドローボールが打てます。無理につかまえようとする必要がない。本当にスライスキラーという感じです。また、ヒール側に打点がズレても、ボールスピードがあまり落ちませんでした。

純正シャフトの｢VENTUS GREEN 5 for Callaway｣には高弾性・高強度を両立した、東レ社｢トレカT1100G｣を採用

【ミタさん】
シオさんはどうでしたか？

【シオさん】
私は「ローグST MAX」の進化版みたい印象を受けました。ヘッドも形状も安心感があり、ミスヒットにも強かったです。それと「ELYTE」より打ち出し角が高かったので、打球が上がる安心感があります。直進性が高いのも「ローグST MAX」と似ています。

【ミタさん】
弾道がとにかく安定していましたね。

【シオさん】
純正シャフト（VENTUS GREEN 5 for Callaway）との相性がすごく良いので、1球目から違和感なく打てました。

バックウエートを｢ドロー｣にするとつかまり加減が大幅に増します(シオさん)

【ミタさん】
ウエートをドローポジションにするとどうでしたか？

【シオさん】
さらに打ち出し角が高くなりました。つかまり感もアップするので、これは完全にスライサー専用のポジションです。

【コウタロウ】
ドローポジションにすると、トウ側がすごく軽く感じるので、ヘッドがクルンと回ります。弾道としてはハイドロー一択です。

【シオさん】
高弾道のドローボールが打ちたいアマチュアにはすごくイイと思います。

シオさんは10.5°、コウタロウは9°での平均データ。フェードヒッターのコウタロウだがやや左に行くボールが目立った

【ミタさん】
「ELYTE X」はドローバイアスになっているので、つかまりが良いのはもちろんですが、打ち出し角・最高到達点も「ELYTE」より高いので高弾道ボールが打ちやすいモデル。「ELYTE」に比べると、明らかにやさしいのに、初速もしっかり出るところが最大の特徴です。スライサーだけではなく、ドライバーが苦手な人に試してほしいドライバーです。

【シオさん】
打点がブレやすい初心者やアベレージゴルファーにとっては、お助けドライバー的存在になると思います。

まとめ

つかまりやすさと直進性を求めるゴルファーの評価は高そう

■ 試打したクラブのスペック

キャロウェイ ELYTE X ドライバー
●ロフト角：9度、10.5度 ●シャフト：ベンタスGREEN 50 for Callaway ●硬さ:S

■ マイクラブ情報

シオさん：ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角：10.5度 ●シャフト：NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ：S

コウタロウ：ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角：9.5度 ●シャフト：VENTUS TR RED（ベンタス ティーアール レッド） 6 ●硬さ：X