日本シャフト特集
2021/06/28

「イメージを更新していく歩みの先に…」セールス担当の戦略

連載:ゴルフシャフトの“新定番”を生み出す熱きリレー
日本シャフトのクラブメーカー向けのセールス担当をする谷津田愛樹(撮影:岡崎健志)

<ゴルフシャフトの“新定番”を生み出す熱きリレー>

ゴルフクラブの性能を語る際、ヘッドと同様に重要なのがシャフト。求める弾道やスイングを作る上で、最適なものを使うか使わないかで、全く変わってしまう。そのシャフトを完全国内生産で製造する唯一の総合シャフトメーカーが日本シャフトだ。

1959年に「ばね」の世界トップメーカーであるニッパツのグループ企業として誕生。「N.S.PRO」シリーズなど、世界的にも評価されるヒット商品の数々を世に送り出している。

開発で得た知識をセールスでも生かす

ひとりでも多くのゴルファーに同社のシャフトを使用してもらうには、クラブメーカーの新製品に組み込まれる「OEM(Original Equipment Manufacturing)」として採用されることが効果的だ。ただ、シャフトメーカーが新製品を開発したからといって、クラブメーカー側が無条件でOEMに採用するわけではない。

「製品のクオリティはもちろん、そのブランドの認知度や実績がなければ、なかなか採用には至りません」と語るのは、日本シャフト営業部次長の谷津田愛樹だ。

谷津田は1991年に日本シャフトへ入社。技術課でカーボンシャフトの設計開発に携わると、一時期はゴルフ関連以外の業務にも従事。再びゴルフ事業に戻ってからは、スチールシャフトとカーボンシャフトを手掛ける開発チームのリーダーとなった。現在はクラブメーカー向けのセールスを担当し、開発で培った知識と経験を生かしている。

クオリティの高さだけでは売れない

ウッド用カーボンシャフトの最新モデルとなる「MB+」について「性能は間違いない」と自信を持つ(撮影:岡崎健志)

谷津田は現在、今年発売されたウッド用カーボンシャフト「N.S.PRO Regio Formula MB+(レジオ フォーミュラ MBプラス)」のセールスに取り組んでいる。開発の観点から見ても、「『MB+』はクセのない素直なシャフトで、あらゆるドライバーヘッド、スイングタイプに合いやすいという性能は間違いないと思います」と語る。

しかし、製品の良さだけではクラブメーカーの心を動かせない。「最新モデルの『MB+』は、クラブメーカーの担当者に試打してもらい、非常に高い評価をいただいていますが、今後はいかにゴルファーに知ってもらうかがカギになってきます」と、マーケットでの認知度アップを大きな課題としている。

N.S.PRO 950GH」や「N.S.PRO MODUS3(モーダス3)」シリーズなど、次々とアイアン用スチールシャフトのヒット商品を生み出している同社だが、カーボンシャフトに限ると、まだまだゴルファーには浸透していないと痛感する日々だという。

マッチングを強調したセールス活動がカギ

カーボンシャフト領域での認知度を広めるための糸口と期待しているのが、同社を代表するスチールシャフトのヒット作「モーダス3」シリーズとのマッチングだ。カーボンとスチールをどちらも開発・製造している総合シャフトメーカーならではのストロングポイントを生かしたい。そもそも「レジオ フォーミュラ」シリーズは「モーダス3」との相性を考慮して開発されたカーボンシャフト。「レジオ フォーミュラ MB+」も、モーダス3の「TOUR105」とのマッチングが特長となっている。

「『TOUR105』は多くのクラブメーカーでOEMとして採用されており、一般ゴルファーからも認知されているモデルです。そのアイアンシャフトとベストマッチするカーボンシャフトとして、アピールしていくことがポイントだと思っています」

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