クラブは“顔”が命!特別編 ステルス&ローグSTを見比べ隊
2大ブランドの傾向は? 計7本それぞれの特徴を解説
発表から約3週間が過ぎたテーラーメイド「ステルス」とキャロウェイ「ローグ ST」。すでに性能を把握するための情報はネット上にあふれているが、クラブ選びにおいて好みの“顔”であるかどうかも大切な要素となる。そこで両ブランド計7本のドライバーを、クラブ設計家・松尾好員氏が解説付きで並べた。
フェード弾道をイメージした「ステルス」
テーラーメイド「ステルス ドライバー」を含むシリーズ3モデルの外観は、同社が各パーツの共通化を促進しているのか、基本的にほぼ同じです。1時2時方向の張り出しが大きく、フェースのトウ先に逃げ感があり、オープンフェースに見えることで、『SIM』『SIM2』と同じフェード系の弾道イメージを継続。中でも「ステルス」はトウ側に高さがあってアップライトに見え、球のつかまり感が少し出ているのが特徴です。
若干のつかまり感が特徴「ステルス HD」
テーラーメイド「ステルス HD ドライバー」は、全体の雰囲気はスタンダード「ステルス」と同じものの、強いオープンフェースではなくスクエア感があり、スタンダードの「ステルス」より球をつかまえるイメージが湧く形状となっています。性能としても、「ステルス」より重心が若干ヒール寄りに位置してあることが予想され、球をつかまえやすい構造に仕上がっていると想像できます。
最もフックフェースな「ステルス プラス」
テーラーメイド「ステルス プラス ドライバー」は、3モデルの中では微妙にフックフェースで、今作では最も球をつかまえやすい印象を受けます。その半面、ソール側のスライド式ウエイトの位置により、重心がフェース寄りにあると思われ、3モデルの中で最も浅重心でバックスピンが少なく、強い中弾道で飛ばす構造。弾道調整もできることから、多くのツアープロが使用することが予想できます。
確実にエピックよりやさしい設計「ローグ ST MAX」
キャロウェイ「ローグ ST MAX ドライバー」は、横幅が非常に広い丸型形状で、「エピック MAX ドライバー」より投影面積が大きいです。オープンフェースの「エピック」よりスクエア感があり、球をつかまえやすい印象。シリーズ全般を通してシャローバック形状で、アッパー軌道のイメージが湧きます。他のモデルと同様に、リアルロフト角は同社の中では立ち気味で、より初速を上げたい意図を感じます。
ハイドローをイメージできる「ローグ ST MAX D」
キャロウェイ「ローグ ST MAX D ドライバー」は、「MAX」とほぼ同じイメージでありながら、少しフックフェースになっているのが特徴です。「D」=“ドロー”の名称通り、より球をつかまえやすい、高めのドロー弾道をイメージさせてくれる顔に仕上がっています。重心は「MAX」よりヒール寄りに位置していることが予想でき、性能面としても球をつかまえやすい設計が施されていると推察されます。
三角形ヘッドを継承した「ローグ ST MAX LS」
キャロウェイ「ローグ ST MAX LS ドライバー」は、「エピック MAX LS ドライバー」のやや三角形に見える雰囲気を継承しつつ、少し縦長形状になっています。シリーズ4モデルの中で最も浅重心と想像でき、バックスピン量が少ない中弾道をイメージさせます。少しオープンフェースですが、トウ側に高さがあるためにアップライトに見えて、FP(※)値も小さいため、少し球をつかまえやすい設計になっている印象です。
※フェースプログレッション:シャフトの中心線とリーディングエッジとの距離
「D」を更にやさしくした顔「ローグ ST MAX FAST」
キャロウェイ「ローグ ST MAX FAST ドライバー」は、「MAX D」よりもフックフェースの度合いを強くして、球をつかまえやすいイメージを演出したヘッドです。他の3モデルとは違い、フェース面の色が黒系ではなくシルバー。アドレスの際に上からフェース面がよく見え、やさしい印象を受けます。クラブ総重量はかなり軽く、ヘッドスピードが遅めの方でも振りやすい設計と言えます。
投影面積&フェース角でグラフ化
今回の7本を投影面積(縦軸)とフェース角(横軸)でグラフ化。前作との比較として、テーラーメイド「SIM2 MAX ドライバー」とキャロウェイ「エピック MAX ドライバー」も配置した。構えたときの安心感は「投影面積」、球のつかまりやすさは「フェース角」をそれぞれ参照しながら、購入を考える際の参考にしていただきたい。
■ 松尾好員(まつお・よしかず) プロフィール
神戸大学工学部卒業後、住友ゴム(ダンロップ)に入社し、クラブの設計開発に携わる。世界4大メジャーで最も多くの選手にクラブを提供した日本人クラブデザイナーとして知られる。現在ジャイロスポーツを主宰。