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ずばり「G430」に合うシャフトは!? 4大メーカー最新モデル×ピン編

2023/11/21 11:00

フジクラ、三菱、グラファイト、USTマミヤ最新モデルとの相性を解析

(上段)「G430」シリーズ3機種、(下段)「G410 PLUS」「G425 MAX」

4大シャフトメーカーの2023年発売モデル、藤倉コンポジット「SPEEDER NX BLACK(以下BLACK)」、三菱ケミカル「TENSEI Pro Blue 1K(以下TENSEI)」、グラファイトデザイン「Tour AD VF(以下VF)」、USTマミヤ「LIN-Q BLUE EX(以下LIN-Q)」。テーラーメイド編キャロウェイ編タイトリスト編に続き、今回は飛んで曲がらない性能を追求し続けるピン編。1~2年前の“ちょい前”モデルから「G430」までの相性を、クラブフィッター・吉田智(さとし)氏が解析する。

目次

  • ■「G410」から「G430」までをおさらい
  • ■「SPEEDER NX BLACK」と合うヘッドは!?
  • ■「TENSEI Pro Blue 1K」と合うヘッドは!?
  • ■「Tour AD VF」と合うヘッドは!?
  • ■「LIN-Q BLUE EX」と合うヘッドは!?
  • ■ピンの最新傾向 低スピン化を選ばず“独自路線”を突き進む

■「G410」から「G430」までをおさらい

「他社と比べると 低スピンモデルが少ない点が特徴」と吉田

ラインアップは、2019年発売の「G410 PLUS ドライバー」、20年発売「G425 MAX ドライバー」、22年「G430 MAX ドライバー」「G430 SFT ドライバー」「G430 LST ドライバー」の5機種。まずはこちらの5モデルの特性を、縦軸をスピン量、横軸をつかまり具合で表したマトリックス図を見ながらおさらいしておこう。

吉田氏が特性を見極めて配置したマトリックス図

「『G410』『G425』『G430』と3機種構成でリリースしてきた同社の中では、『MAX』に値する“ブレずに飛ばす”モデルが全て平均ライン(真ん中)にいる点が特徴です」と吉田氏。

「他社と比べると、中央にモデルが集まっています。シリーズ内の兄弟モデル3機種はそれぞれ性能が明確に分かれていて、直進性の高い『MAX』、つかまりやすい『SFT』、スピンが少なくつかまりを抑えた『LST』と、左右に幅広いといえます。ですので、直近の発売モデルから選ぶ場合は、微小ながらスピン量の差(『G410』<『G430』<『G425』)で選び、そこから性格の異なる3機種を選ぶという順番が的確だと思います」(吉田氏)

全モデルを試打してGCクワッドで計測したデータを加味して判断

ヘッドの特性を復習したところで、次に4大メーカー最新モデルとの相性をチェック。実際に吉田氏が各シャフトが挿さった5モデルを打ち比べ、計測データを確認しながら組み合わせの良し悪しを総合的に判断。フィッターとしての経験値をフルに生かし、お勧めの相性ベスト3を挙げてもらった。以下、彼のコメントとともに見ていこう。

■「SPEEDER NX BLACK」と合うヘッドは!?

第1位:G410 PLUS ドライバー
第2位:G430 MAX ドライバー
第3位:G425 MAX ドライバー

モデル50(硬さS)とG410 PLUSとの組み合わせ総重量294.5g(※編集部調べ/以下同)

「BLACK」のつかまる動きを生かすなら、安定的につかまりすぎないヘッドということで、中央に位置する3モデルがベストだと思います。中でもスピンが抑えられた順ということで、この1~3位の順番になりました。「G410 PLUS」は、同社が慣性モーメントを大幅に高く設定する以前のモデルで、「G425」「G430」より後方が重くなっていない点が特徴。「G430」が一番打感がやわらかくボールを押せる感覚が強く、一方の「G410」は離れる感じが速く、一番低スピンに仕上がっています。

■「TENSEI Pro Blue 1K」と合うヘッドは!?

第1位:G430 MAX ドライバー
第2位:G425 MAX ドライバー
第3位:G430 SFT ドライバー

モデル50(硬さS)とG430 MAXとの組み合わせ総重量303g

1位「430 MAX」、2位「425 MAX」にしている理由は、シャフトもヘッドもお互いにクセの少ないモデルを選べば必然的にスイングに応じた結果が出せるという理由から。3位の「G430 SFT」は、1、2位でつかまらない人向けというニュアンスで選びました。特に、カットスライスが頻繁に出るゴルファーには、打ち出しから左に押し出せる「SFT」は、スイング矯正にも役立つメリットがあります。クセの少ない「TENSEI」だからこそ、自分のミス傾向に応じたヘッド選びが可能という強みを持ち合わせています。

■「Tour AD VF」と合うヘッドは!?

第1位:G430 LST ドライバー
第2位:G430 SFT ドライバー
第3位:G410 PLUS ドライバー

モデル50(硬さS)とG430 SFTとの組み合わせ総重量307g

1位「G430 LST」は、「VF」が加速感のある手元調子ということで、強弾道を生むロースピンモデルをあえて使ってもらいたいという希望的観測で選びました。ツアーでも使用するプロの多いアスリート系シャフトを、低スピンモデルの「LST」を組み合わせることで、最大飛距離を望んでほしい。その半面、つかまらないという意見も出てくる声に対し、「LST」と相反する「SFT」を2位に選びました。3位は、間を取って「430 MAX」と思いきや、より低スピンな性能で飛びも補填できる「G410 PLUS」という順に。3モデルとも特徴は違いますが、プレーヤーが理想とする弾道に合わせて選ぶことで、今までにはない飛びの可能性を秘めた組み合わせだと思います。

■「LIN-Q BLUE EX」と合うヘッドは!?

第1位:G410 PLUS ドライバー
第2位:G430 LST ドライバー
第3位:G430 MAX ドライバー

モデル5(硬さS)とG410 PLUSとの組み合わせ総重量295g

自然なしなり戻りが特徴の「LIN-Q」に対し、低スピンでスタンダードな性能の「G410 PLUS」を合わせることで、シャフトの特性を生かせると思いました。使い手の力量をしっかり反映し、ターゲットを選ばない一本になりそうです。「VF」と同じ中元調子という理由から、希望的観測で「G430 LST」を2位に。3位「G430 MAX」は、慣性モーメントは同シリーズ史上で最大ということで、ミスヒットに対する寛容性を評価しました。寛容性の高いやさしいヘッド×ハードヒッター向けシャフトは、PGAツアーで多く見かけるセッティングです。思いきり振り切って狙い通りに飛ばしたいゴルファーにマッチすると思います。

■ピンの最新傾向 低スピン化を選ばず“独自路線”を突き進む

最近のヘッド傾向として、やさしさは感じるけれど極端にスピンが入って極端につかまるモデルは減りました。直進性&低スピンを求めるヘッドが主流となっています。メディアの影響もあり、“飛ぶ=低スピン”という言葉がひとり歩きし、アスリート向けモデルは全てスピンを減らす方向に進んだからといえます。そんな中、同社は全モデルを低スピンに振らず、「MAX」「SFT」「LST」と同シリーズ内でしっかり役割を振り分け、選びやすくしています。シャフトの特性で選ぶか、ヘッドの個性を優先するか――。どちらの選び方でも対応できる点が、同社の強みといえます。

「G」シリーズの12代目として一貫したコンセプトを継承する「G430」

ピンの特徴として選び方の幅の広さを説明してくれた吉田氏。「テーラーメイド、キャロウェイ、タイトリストと大きく異なる点は、スタンダードモデルが平均ライン上に集中(マトリックス図の中央に位置)している点でしょう。ターゲットを選ばないモデルが多いことで、どんなシャフトを挿れても大失敗することが少ない。今回選んだベスト3は、その中でも比較的にマッチする人が多いであろうという予想の元に選んだ順位なので、あくまでも参考程度に把握してください」と締めくくった。

最新4モデルとピンヘッドとの相性は分かっただろうか――。「BLACK」「TENSEI」「VF」「LIN-Q」それぞれの特徴を踏まえた上で、吉田氏が勧める順位を参考に、実際に試打をしてフィーリングが合うかを吟味してみよう。

取材協力/カレドニアン・ゴルフクラブゴルフガレージ 新橋銀座口店

■ 吉田智(よしだ・さとし) プロフィール

「PPREMIUM GOLF STUDIO(プレミアムゴルフスタジオ)」所属。長年積み重ねた経験と的確な分析力で、成田美寿々をはじめ多くのトッププロから厚い信頼を得るクラブフィッター。カリスマフィッターMr.吉田としてYouTube活動をメインに、数多くのゴルフ誌や関連のテレビ番組にも出演中。

藤倉コンポジット
これまでの概念を覆す新しい常識を創る先中調子
発売日:2023/09/07 参考価格: 44,000円
グラファイトデザイン
発売日:2023/10/06 参考価格: 46,200円
UST マミヤ
発売日:2023/10/06 参考価格: 55,000円