エース級の「UT」をぜひこの機会に探して欲しい

ユーティリティ（以下UT）は、ウッドとアイアン双方の良さをミックスしたクラブ。まさに「ウッド＋アイアン÷2」という位置づけだ。海外ではハイブリッドとも呼ばれ、いまやロングアイアンだけでなく、ミドルアイアンの代わりにもなるほど守備範囲は拡大。今回は使い勝手を含めて、中古でコスパの良い名器といえるウッド型UTを紹介しよう。

タイト、ピン、キャロウェイ…名器たちをピックアップ

「タイトリストのUTは替えられない」というツアープロは意外に多い。2018＆19年の日本男子ツアー賞金王・今平周吾は2011年に発売された「910H ユーティリティ」を長年愛用。中古市場では6000円前後から見つかるが、なかなかハードだ。

菊地絵理香が未だに使い続ける「816H1ユーティリティ」（撮影はミヤギテレビ杯）

一般アマチュアへのオススメは、菊地絵理香をはじめとした女子プロ、中でも上田桃子が今季前半戦まで使い続けたタイトリスト「816H1 ユーティリティ」（2015年）。ヘッドサイズが大きめで安心感がある。ロフトバリエーションも19度から21、23、25、27度と豊富。可変スリーブ付きで微調整ができる点もうれしい。1万円以下で見つかるだろう。25、27度はかなりレアなので、見つけたら“即買い”だ。

飛距離が出るモデルではないが、高さで止められる使い勝手が良いUT

西郷真央が使うピンの「G425 ハイブリッド」（2020年）は構えやすくてボールが上がりやすく、直進安定性も高い。打球音も心地よく、何を隠そう筆者も22、26、30、34度を購入した。純正シャフトのバリエーションが多く、軽量スチールシャフトが入ったアイアンセットへのつながりが良い70、80gという重めのカーボンシャフトも選べる。可変スリーブでロフト角の調整も可能。2万円前後で見つかるだろう。前年の2019年発売モデル「G410 ハイブリッド」との価格差があまりなく、コスパも良い。

キャロウェイ「エピック スーパー ハイブリッド」（2021年）はウッド型UTには珍しく、チタンボディでヘッドサイズも大きめだ。フェースの弾きが良く、ボール初速が速い。打ち出し角の高さも特長だ。低重心化されており、スピン量は少なめ。問題はヘッドのトップラインとスコアラインの“平行でない度合い”が大きく、違和感を覚える人がいるかもしれないところ。こちらは2万円前後から見つかる。

10年前はUTといえばアダムスだった

テーラーメイドがアダムスを買収したのは、フェアウェイウッドとハイブリッドのノウハウが欲しかったからという噂も

アダムスの「IDEA スーパー LS ハイブリッド」（2013年）は、フェースとクラウンにチタンを採用。ソールとクラウンに入った溝がボール初速と打ち出し角をアップさせる「飛ぶUT」だった。見つかれば5000円以下だが、10年前の製品とは思えない性能を発揮してくれるだろう。ロフトの大きい番手が少なかった発売当時としては珍しく、28度までラインアップしている。

大ベストセラー「ドルフィンウェッジ」を生んだキャスコは、特定の機能に優れた製品を作るのが得意。ウッド型UTの元祖ともいえる1999年発売の「パワートルネードU」の大ヒット以降、個性的なモデルを作り続けている。2022年にリリースした「UFO Speed Sole by POWER TORNADO ユーティリティ」は独創的なソール形状と深重心で、あらゆるライから打ちやすい。ロフトバリエーションは15度から、なんと46度まで9種類と豊富。中古では1万5000円からが相場だ。

シャフト選びのポイントは「モデル、重さ、硬さ」をそろえること

UT購入にはポイントがある。複数の番手をキャディバッグに入れる場合、同一モデルを選ぶと構えやすく違和感がない。その場合、装着するシャフトもモデルを合わせ、重さ、硬さをそろえるのがオススメ（同じヘッドだとシャフトもそろえやすい）。アイアンのシャフトよりも10g程度、軽いものが良いだろう。ただし、古いモデルはロフト角が大きい番手が市場に少なく、探すのに苦労するかも。

どんなゴルファーも年齢を重ねるとヘッドスピードが落ちる。アイアンではボールが上がりにくくなった…というときこそ、ウッド型UTが頼りになる。将来的には、「アイアンセット」ではなく、「UTセット」が一般的になる時代が来るかもしれない。ひとまずは中古ショップをうまく利用することで、妥協なく本数を増やせそう。まずは1本購入してみては。（文・田島基晴）