新装「メダイナ」アーメンコーナーは12・13・14番/プレジデンツカップ プレビュー(後編)

大改造を遂げたメダイナNo.3 全ぼうを現地レポート/プレジデンツカップ プレビュー
大改造を遂げた「メダイナ」を徹底解剖

2年に一度の世界選抜と米国選抜の対抗戦「ザ・プレジデンツカップ」は9月24日からイリノイ州シカゴのメダイナCC No.3で行われる。大規模な改修を行った名門コースを訪れ、その改修の狙い、そして約50日後に迫るビッグイベントの展望を探った。(取材・構成/服部謙二郎)

「2026プレジデンツカップ」注目すべき見どころとは?

大会エグゼクティブディレクターのジョーイ・チットウッド3世(Joie Chitwood III)氏は3年以上前から現地に住み込み、転勤生活でプレジデンツカップの準備をしてきた。取材時は6月初旬、大会が始まる約4カ月前だったが、すでにギャラリースタンドの建設も始まり、スタートホール(通常の5番ホール)にはティイングエリアを囲む巨大なスタンドが作られていた。

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大会エグゼクティブディレクターのジョーイ・チットウッド3世氏

ドリルの音や釘を打つ音がコース内で響く中、チットウッド氏は我々取材陣の質問にひとつひとつ丁寧に応えてくれた…。

――過去のプレジデンツカップと比べて違いはありますか?
チットウッド(以下チ):今回のプレジデンツカップは非常にユニークな大会になります。なぜならメダイナCCのコースNo.3が大規模改修されたからです。2012年(ライダーカップ)や2019年(BMW選手権)に使われたコースとは完全に別物といえるほど変わっています。我々大会運営側としても、ホスピタリティ施設や観客導線などを一から設計し直さなければならず、大きな挑戦でした。新コースなので、競技データがほとんどありません。チャンピオンシップ設定でプレーした経験がある選手がいないので、つまり全員が「ルーキー」のような状態で大会に臨みます。試合が始まる前の練習から含めて、適応力が重要になります。

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スタートホールわきには工事用にマーカーが記されていた

――なぜ今回「メダイナ」が開催地に選ばれたのか
チ:数年前にPGAツアーが開催コースを募集しました。メダイナと、ミズーリ州セントルイス近郊のベルリーブCCが立候補し、どちらも素晴らしい提案を出しました。ともにメジャー級のコースで、歴史と格式を備えていました。結果的に、メダイナが2026年大会、ベルリーブが2030年大会を開催することになりました。

――改めて、「プレジデンツカップ」の魅力とは
チ:米国選抜対世界選抜の対抗戦なので感情的になる局面もありますが、プレジデンツカップには良い意味でスポーツマンシップがあります。他のチーム戦では個人的な対立に発展してしまうケースもありますが、プレジデンツカップはそうではありません。競争は激しくても、お互いを尊重する文化が残っているのが魅力です。

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国際色豊かなシカゴが開催地に選ばれた

――シカゴで開催される意義は?
チ:シカゴはシャーロットや他の米国開催地と比べても、はるかに国際色豊かな都市です。ですからより多くの世界選抜チームの国のファンが参加できる機会を提供してくれる都市だと思います。アジアや南米、オーストラリアから来る場合でも、他の開催地より比較的訪れやすい。もちろん、米国のファンが圧倒的多数になることは間違いありません。それでも世界選抜を応援するファンも十分に存在感を示すことになると思います。

――コース改修について
チ:以前のメダイナは、「長いパー4」、「狭いフェアウェイ」、「木が多い」という特徴のホールが続いていました。改修後は多様性が増し、全く違うコースに変貌を遂げました。「飛ばし屋向きのホール」、「ショートゲームが重要なホール」、「戦略性の高いホール」がバランスよく配置されています。

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8番(通常の12番)グリーン

――ルーティングの変更も行ったと聞きました
チ:その通りです。マッチプレーの形式上、コースにとってより難度の高い16、17、18番に行く前に勝敗が決してしまう可能性があり、それら3ホールを12、13、14番へと変更しました。勝敗を左右するポテンシャルを持ったホールを前に持ってくることで、よりスリリングな試合展開が見られるでしょう。

――注目ホールは何番ですか?
チ:上に挙げたその12番ホール(通常の16番)です。新設された「ケープホール」と呼ばれる湖越えのパー4(402yd)。右斜め奥に向かって湖が広がり、ティイングエリアに立った時に安全策を取るか、攻めるかの選択が迫られます。ティショットを湖越えて右に置けば置くほど2打目が短くなりますが、ウォーターハザードのリスクも出てくる。まさにマッチプレーに理想的なリスク&リワードホールです。試合の流れを大きく変える可能性があります。

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12番(通常16番)のティイングエリアからの景色。右奥にグリーン

さらに2打目も難しく、もしボールがグリーン右側に落ちて転がりすぎると、そのまま池まで落ちてしまいます。ティショットで積極的なラインを取ってウェッジで打てる位置まで行ければ、2打目も正確に打てますし、ボールも止めやすくなります。ですが、フェアウェイ後方から5番アイアンや6番アイアンで打つような状況になると、ボールを止めるのは難しいでしょう。ひとたびこの尾根(リッジ)を越えると、グリーンの外へ転がってしまいます。

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12番(通常16番)の2打目地点。グリーン右サイドは池に向かって傾斜

――まさにマッチプレーの醍醐味が詰まっていますね
チ:私は12番ホールが好きです。なぜなら選択肢があるからです。自分がリードしているなら安全にプレーできますし、試合を決めにいくべきなのかも判断基準になります。一方で負けているのであれば、流れを取り戻すためにこのホールを奪いにいくべきなのかを考えなければなりません。つまり、12番ホールは選手に決断を迫るのです。そしてリスクを取るかどうかを選ばせる。私はそれこそがマッチプレーの本質だと思います。相手に決断を強いることです。もし私がリードしていれば、安全策を取ります。そして相手にリスクの高いショットを打たせます。そこが面白いところなんです。だからこそ、このホールはマッチプレーと非常に相性が良いのです。

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12番(通常16番)は攻めるか守るか勝負の分かれ目。グリーン(写真右)の紫色はボールが止まりにくい

――その前の11番ホールも難しいと聞きました
チ:11番ホール(通常の15番)も素晴らしいです。高台のグリーンに向かって打つ難しいパー4(514yd)で、正確なティショット、正確なセカンドショットが必要になります。このグリーンの高低差を見てください。右手前や左側に傾斜もあります。その上、ここにはロングアイアンで打ってくることになるんです。グリーンは尾根(リッジ)のような地形になっていて、もしボールがその頂上付近に止まれば、奥へ転がることもあれば、横へ流れることもある。非常に高い精度のショットが求められます。11番から12番にかけての2ホールで、試合の流れが変わる可能性が高いと考えています。この2ホール次第で、試合がどちらに転ぶか分かりません。

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13番(通常の17番)パー3も風のジャッジが難しい

――飛ばし屋が有利になりますか?
チ:以前は間違いなくそうでした。なぜなら長いホールが非常に多かったからです。しかし現在は違います。ドライバーでワンオンを狙えるホールもありますが、飛距離による優位性をやや薄める設計になりました。コース全体を通じて、選手のプレースタイルに応じた有利、不利が存在していると感じます。選手たちはわずか2日間の練習ラウンドの中で、実に多くのことを学ばなければなりません。そうしたコースの細かなニュアンスを完全に把握する時間はあまりないでしょうし、そのことが今回の大会をさらに興味深いものにすると思います。

――ドローとフェードはどっちが有利?
どっちも必要といいましょうか。12番ホール(通常16番)では確かにフェードボールが有効でしょう。それは間違いありません。しかし別のホールを見てみると、例えば4番ホール(通常8番)ではドローボールが非常に効果的です。しかもそこは比較的短いホールです。さらに6番ホール(通常10番)を見ると、長いストレートのパー5です。そこではドローでもフェードでもなく、とにかく真っすぐ打つことが重要になります。周囲には木がたくさんありますからね。

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コース改造、ルーティング変更…話は熱を帯びていく

つまり、ドロー向きのホールもあれば、フェード向きのホールもあります。重要なのは、自分のショットをコントロールできるかどうか。ドローでもフェードでもストレートでも、自分の球筋を意図通りに打ち分けられる選手は有利になるでしょう。反対に、極端にフェードばかり打つ選手だと、適さないホールも出てくるかもしれません。

――グリーンスピードは?
チ:グリーンスピードはおそらく11~13フィート程度になると思います。ただし速すぎるとピンポジションを置ける場所が限定されてしまいます。そのため競技委員会がバランスを考えて設定します。選手たちがどれだけ素早く適応できるかが、最終的にどちらのチームがトロフィーを掲げるのかにつながると思います。

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ラフは短すぎず長すぎずに設定するという

――ラフの長さは?
チ:現在聞いているところでは、約2.5インチ(約6.4cm)です。USオープンのような4インチ級ではありません。かといって簡単でもなく、公平な設定だと思います。

――やはり戦力としても米国チームが有利?
チ:一部の人は、モントリオール(前大会)での戦いがどれほど接戦だったかを理解していないと思います。モントリオールでの初日(木曜日)、米国選抜は5対0のリードを奪いました。しかし翌金曜日には世界選抜が盛り返して同じく5対0で勝ち返しました。その結果、週末を迎えた時点でスコアは5対5のタイとなりました。さらに、17番ホールを迎える時点でわずか1アップの差しかない試合が数多くあり、その多くが最終的には米国選抜に転びました。ですから、試合展開や最後までの接戦ぶりを振り返ると、世界選抜にはいくつか不運な場面があったのだと思います。私としては、これ以上ないほど僅差の対戦だったと思います。

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コース内いたるところで建設作業が行われていた

また、ジェフ(オギルビー)がキャプテンを務め、さらにこのコースの改修を主導した人物でもあるため、コースに関する深い知識という点で、インターナショナルチームにとって有利に働く要素があるかもしれません。いずれにしても接戦となり、非常に熱気のある戦いになると思います。双方ともに優秀な選手が揃いすぎているので、接戦にならない方がおかしいくらいです。

――松山英樹久常涼のチーム入りについては?
チ:松山は当然ながら有力です。現在ランキング上位に位置しています(3位)。一方でプレジデンツカップ代表入り競争は非常に熾烈です。久常涼(11位)にもチャンスはあります。若手選手の台頭も見られ、オーストラリア、南アフリカ、ニュージーランドなどからも有望株が出てきています。ジェフが若手選手たちをメダイナに招待していました。「頑張れば1年後にここでプレーできる」というモチベーションを与えるためです。久常選手もその一人でした。

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プレジデンツカップを前にポーズをとるチットウッド氏

――国際選抜チームの強みとはどう思いますか?
チ:ジェフが大変な重要な役割を担っています。米国代表は同じ国の選手たちですが、国際選抜は、日本、韓国、オーストラリア、カナダ、南アフリカなど様々な国から集まります。そのためチームを一つにまとめる難しさがあります。しかし近年は選手同士の結束が強くなっています。例えば前回は松山の誕生日をみんなで祝うなど、小さな交流を積み重ねてチームワークが向上しています。

――プレジデンツカップの試合形式を改めて教えてください
チ:木曜日5試合、金曜日5試合を実施します。フォアサムとフォアボールをキャプテンが選択しながら進めます。土曜日は午前4試合、午後4試合。日曜日は12試合のシングルスマッチです。基本構成はライダーカップと似ていますが、少し日程を分散しています。ファンがより多くのスター選手を見ることができるのが特徴です。

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大会開催まで2カ月を切った

◇◇◇◇
マッチプレーを意識した大幅なルーティング変更は非常に興味深く、その最大の山場である12番ホールを選手たちがどのような状況で迎えるかによって、さらにスリリングな展開になることが予想された。かつてライダーカップで大きな盛り上がりを見せたメダイナで、再び白熱した展開が見られるのか。今から大会が待ち遠しい。

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