ジープらしさそのままにディーゼル搭載!「コマンダー」というツウな選択/クルマはゴルフギアである #14

クルマはゴルフギアである
ジープ コマンダー

とにもかくにも自動車の運転が好きだと言う安東弘樹氏に、大人ゴルファーの“持ち物”としてのクルマを提案いただく本連載。車体価格や維持費だけでなく、所有し使うことでオーナーが豊かになれるクルマが選出条件だ。今回は、ジープ「コマンダー」のディーゼルモデルに太鼓判を押す。(構成/編集部・中島俊介)

ジープにまさかのディーゼルモデル

「アメ車でディーゼル」と聞いて、ピンとくる人はどのくらいいるでしょうか? おそらくほとんどいないはずです。“大排気量ガソリンV8”の豪快なイメージが染みついたアメリカ車の世界に、まさかのディーゼルターボエンジン搭載モデルが現れました。それが、ジープ コマンダーです。日課のようにいくつかの自動車メーカーのサイトを眺めていたところ、偶然ステランティス(フィアット、プジョー、ジープなど14の大手自動車ブランドがひとつに集まった、世界トップクラスの自動車メーカーグループ)のホームページで発見したこの一台が、予想外の実力を持つゴルフツアラーだったのでした。

クルマはゴルフギアである
ゴルフ場でも存在感を発揮するエクステリアデザイン

街乗りでの取り回しも苦にならなそう

かつてのアメ車に対するイメージ――ゴツくてデザインが大雑把――はもはや過去の話です。現行のコマンダーはジープらしい堂々としたスタンスを保ちながら、洗練されたエクステリアデザインを持ち、細部の仕上げにも明らかな進化が感じられます。一見すると「おっきいクルマ」に思えますが、全長約4.8m・全幅1860mmと、近年のドイツ製SUVと比べればむしろコンパクトな部類に入ります。トヨタの「RAV4」より少し大きいくらいなので、街乗りでの取り回しも、想像するほど苦にならないはずです。

内装は、先進的な印象ではないものの、質感は十分。上質な雰囲気を醸しながら、使い勝手を損なわないバランスは、むしろ日常使いに好ましいと言えます。開閉可能なパノラマルーフをつければ、仲間を乗せてゴルフ場に向かう道中、明るく楽しい空間が全席を彩ってくれます。

ゴルフツアラーとして最も魅力的な点が、7人乗りの3列シートと広い積載スペースを両立していることです。3列目シート使用時には大きな荷物は積み難いですが、格納すれば広大なラゲッジスペースが出現します(3列目シートは50:50、2列目シートは6:4の分割可倒式)。

ディーゼルターボが生む低速トルク

クルマはゴルフギアである
ディーゼルの豊かなトルクが車体を引っ張る

搭載されるのは2リッターのディーゼルターボエンジンで、ジープブランドがディーゼルを積むのは史上初。最高出力170馬力・最大トルク350Nmというスペックは、ヨーロッパのプレミアムSUVと比べると控えめですが、ディーゼルの太いトルクは高速の合流や追い越しで絶大な安心感をもたらします。

ジープのクルマですので当然4WDシステムを備えていますが、高速巡航時はリアアクスルへの駆動力を切り離して2WDに切り替え、燃費を稼ぐ機能も持っています。燃料タンク容量は60リッターで、控えめに見積もっても800kmくらいは無給油で走れる“足の長さ”は、ゴルファーにとって実質的な武器になるでしょう(高速道路モードでのカタログ燃費は17.3km/L)。

ジープのディーゼルモデルということで、悪路走破性は期待できるが、高速巡行を快適にこなせるのか心配する向きもあるかと思います。結論を述べれば、それは杞憂です。ガラガラという音は車外でこそ聞こえますが、いったん乗り込んでしまえばほぼ気にならないレベルで、乗り心地も快適です。9速ATという、クルマ好きならニンマリしてしまうような先進性もうれしいところです。

ディーゼル車を購入する際に必ず確認しておきたいのが「週1回程度は高速道路でしっかりエンジンを回す習慣を持てるかどうか」です。街乗りだけを繰り返すと煤(すす)が溜まりやすくなりますし、好燃費も期待出来ません。ゴルフのたびに高速道路を走るのであれば、むしろディーゼルの本領が発揮できる最適な選択だと言えるでしょう。

クルマはゴルフギアである
負荷の少ない走行状況では前輪のみを駆動して燃費を向上させる

600万円台で手に入る、唯一無二の選択肢

価格は600万円台から(7人乗り)。他車と比較すると、相当なコストパフォーマンスです。そして何より、「アメ車でディーゼル」という選択肢の希少性が、このクルマ最大の価値かもしれません。メルセデス・ベンツやBMWがディーゼルモデルを縮小する中、今や日本で買えるクリーンディーゼルSUVは数えるほどしかありません。誰でも知っているジープのブランドと、誰も知らないディーゼルの実力??そのギャップに気づいた人だけが手にできる、通好みの一台がここにあります。このクルマのオーナーになったら、ゴルフ以外にも使い倒したくなるに違いありません。

<Specification>
ジープ コマンダー オーバーランド
●全長×全幅×全高:4,770mm×1,860mm×1,730mm
●乗車定員:7名
●車両重量:1,890kg
●駆動方式:4WD
●WLTCモード燃費:14.4km/L
●エンジン:2.0L 直列4気筒ターボディーゼル
-最高出力:170PS/3,750rpm
-最大トルク:350Nm/1,750~2,500rpm
●トランスミッション:9速AT
●車両本体価格:6,440,000円(税込)

イラスト:酒井恵理
写真:篠原晃一
取材協力:PGMマリアゴルフリンクス 【GRAND PGM】

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安東弘樹氏

安東弘樹(あんどう ひろき) プロフィール

元TBSアナウンサーにして大のクルマ好き、いや“クルマ狂”。50台ほどのクルマを乗り継ぎ、TBS勤務時代から自動車ローンが途切れたことがないという。独自の視点から切り込む自動車関連のコラムを各種媒体で連載中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員で日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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