【最速試打】ピン「G440 MAX」低スピン化した新MAXはLSTとSFTのいいとこどり 「G440 MIX」!?
ピン史上、歴史に残る大ヒットを記録した「G430」の後継モデル、「G440」がついにベールを脱いだ。「G430」の発売(2022年11月)から2年2カ月以上が経過。「前作を超えなければ新製品は発売しない」という哲学を継承するピンの新作は、どこが進化したのか?まずはシリーズの中でも一番注目度が高い「G440 MAX」を紹介する。ギア知識が豊富なミタさんがその特徴を解説。飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
「LST」の構造を「MAX」にも採用。深重心から深・低重心に
【ミタさん】
今回紹介するのは大人気のピン。ピンユーザー待望の「G440 MAX」です。
【コウタロウ】
ずっと「G430 LST」を使っていたので、「G440シリーズ」はすごく楽しみにしていました。
【シオさん】
私もドライバーが「G430 SFT」なので、新シリーズは期待大です。
【コウタロウ】
まず、ブルーの色が意外でしたね。
【ミタさん】
ブルーのカラーリングにもメッセージがあって、ピンではタイムレス・ブルーと呼んでいます。今回の「G440」は流行や時代を超越したタイムレスな魅力を持っているという意味を込めているそうです。
【コウタロウ】
壮大ですね。性能的には何が変わったのですか?
【ミタさん】
一番変わったのは重心です。従来のピンは重心を深くすることで慣性モーメントを大きくして、やさしさを追求してきました。「G440」は重心の深さをキープしつつ、重心を下げました。
【シオさん】
重心を下げたことによるメリットは?
【ミタさん】
高打ち出し・低スピンの弾道が打ちやすくなります。また、ドライバーの場合、フェース上のほぼ真ん中にある重心ライン上に重心があると最も効率的にエネルギーを伝えることができます。前作「G430」までは重心がそのラインより上にあったのですが、「G440」は重心を下げて重心ラインに近づけました。
【コウタロウ】
重心を下げるってそんなに簡単じゃないですよね。
【ミタさん】
ヘッドの開発では重心を0.1mm下げるのも大変です。今回は重心を低くするために「MAX」にもカーボンフライ・ラップ・テクノロジーという、前作では「LST」にしか採用していない設計を採用しました。カーボンクラウンにしたことで大幅に上側を軽量化しています。さらにホーゼルにも工夫があり、ホーゼルの外周部分を排除しました。このヘッド内部が分かる分解パーツを見てください。
【シオさん】
ホントだ! 接合部分のスリーブがむき出しで見えますね。
【ミタさん】
ホーゼル部分を軽量化することで下側に重さを配置できます。さらにフェースを薄くすることで余剰重量を確保しました。
46インチなのに振りやすい。打感、音も前作を超えた。
【コウタロウ】
まず、形状がいつもの「MAX」ではなくて少しスマートに見えます。体積こそ違いますが、「G410 PLUS」に近いフォルムで私は大好きです。
【ミタさん】
打った印象は?
【コウタロウ】
今までのピンとちょっと違っていて、まずスピン量が少ない。前作までの「MAX」はスピン量が2500、2600回転くらいでしたが、「G440 MAX」だと2300回転くらい。それと、ピンのドライバーはやさしいという印象ですが、ちょっとだけカラくなった感じです。
【ミタさん】
カラいというのは難しくなったということ?
【コウタロウ】
いえ、決して難しくはないです。慣性モーメントも高く、ミスヒットに対する寛容性もあるので、やさしいドライバーであることは変わりません。ただ、スピンが減ったことで、性能面で酷似していた「G430 MAX」と「G430 MAX 10K」との差別化がしっかりされ、ラインアップがきれいに整った印象です。
【ミタさん】
シオさんはどうでしたか?
【シオさん】
たしかにスピン量は少ない。でも打ち出し角はしっかりあるので、打球が上がらないということはありません。それと、振りやすくてスピード感がありました。
【ミタさん】
実はシオさんが打っている「ALTA J CB ブルー」のシャフトは46インチになっているので、ヘッドスピードは上がると思います。コウタロウの「ツアークロム」は今まで通り45.25インチです。
【シオさん】
打感、打球音も変わりましたね。「G430」になったときにすごく打感は良くなったのですが、「G440」はさらに心地よくなりました。残響音が短くなって上品な感じです。
【ミタさん】
弾道はドロー系でしたね。
【シオさん】
前作の「G430 MAX」と「G430 SFT」を打ち比べたときに、「G430 MAX」はつかまりにくかったので「G430 SFT」を購入しました。でも、「G440 MAX」はつかまりが良くなった。今シリーズで買うなら私は「MAX」です。
【ミタさん】
ピンのドライバーと言えば高慣性モーメントでやさしいというのが定番でしたが、「G440 MAX」はやさしさもありつつスピン量を抑えて、飛距離性能を重視したモデル。ヘッド形状もシャープになりました。だから、今まで「LST」一択だったアスリートゴルファーでも「MAX」の方が良い結果になる可能性があるでしょう。また「G440 MAX」はつかまりが良くなったので、前作で「SFT」を選んでいた人も試してみる価値あり。「G430」の後継というよりも、新しいステージに突入した印象です。
【シオさん】
「G430シリーズ」を使っていた人ほど、「G440」の変化に驚くと思います。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
ピン G440 MAX
●ロフト角:9度、10.5度 ●シャフト:ピンツアー2.0クロム65(コウタロウ)、ALTA J CB ブルー(シオさん) ●硬さ:X(コウタロウ)、S(シオさん)
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S
コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X
■ ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
■ コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
■ シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。