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クラブは“顔”が命! 2023秋の最新ドライバーを見比べ隊

2023/12/10 10:00

ひと目ぼれする1Wは? 人気モデル9本を解説

2023年9~12月発売の最新9モデル

王道シリーズの13代目から、独自のミーリングフェースを採用した“食いつき1W”まで、国内ブランド勢が出そろった今秋のドライバー市場。海外メーカーの勢いに負けじと各社それぞれがブランド色を継続しながら、新たな進化を図った。気になるのは飛び? つかまり? いやいや、まずは“顔”でしょ!! ということで、クラブ設計家・松尾好員氏の解説付きで、最新ドライバー9本を並べてみた。

ブレずにやさしく短尺化した「13」

体積:460cc、ライ角:59度、総重量:281g(MP1300/硬さS)、税込価格:9万2400円

ダンロップ「ゼクシオ 13 ドライバー」は、丸みを帯びた形状と強いフックフェースが継承され、フェース面が平らであることで更なるボールのつかまりの良さを連想できます。シャローフェースでボールの上げやすさも推測でき、ゼクシオ史上最大の慣性モーメントもやさしさを強調。前作「12」よりクラブ長が0.25インチ短くなっている点(45.75→45.5インチ)も、ヘッドを見る上で押さえておくべき特徴です。

「13」の流れを汲みながらつかまりを抑えた「エックス」

体積:460cc、ライ角:59度、総重量:300g(Miyazaki AX-2/硬さS)、税込価格:8万8000円

ダンロップ「ゼクシオ エックス ドライバー」は、全体的な輪郭は「ゼクシオ 13」と類似していますが、明らかに違う点はスクエアフェースとトウ先に逃げ感を持たせ、ボールのつかまり過ぎを抑えた点。「ゼクシオ エックス」史上最大の慣性モーメントでやさしさを強調し、こちらも前作2021年モデルより0.25インチ(45.5→45.25インチ)短尺化しています。

高MOIなグースネック「RMX VD/X」

体積:460cc、ライ角:58度(STD)、総重量:301g(TENSEI TR/硬さS)、税込価格:9万2400円

ヤマハ「RMX VD/X ドライバー」はフェースの縦(トウからヒールにかけて)の長さが非常に長く、投影面積も大きいので、高慣性モーメント設計に仕上がっていることが見て取れます。兄弟モデル「VD/R」「VD/M」と異なる点は、FP(フェースプログレッション)値が非常に小さいグースネックなところ。寛容性は高い半面、フェースターンが比較的に緩やかになるため、フックフェースと平らなフェース面でつかまり具合をカバーしています。

操作性は「X」以上「R」未満「RMX VD/M」

体積:460cc、ライ角:58度(STD)、総重量:302g(TENSEI TR/硬さS)、税込価格:9万2400円

ヤマハ「RMX VD/M ドライバー」はつかまり過ぎを抑えた輪郭で、「VD/X」よりひと回り小ぶりなサイズ感です。同じくつかまりを抑えた兄弟モデル「VD/R」がオープンフェースなのに対し、スクエアフェースな点が「M」の特徴。シャローバック形状でアッパー軌道をイメージしやすく、FP値が大きいことで、ボールの上げやすさを連想できる顔に仕上がっています。

正真正銘のゴリゴリ系プロ仕様「RMX VD/R」

体積:460cc、ライ角:58度(STD)、総重量:306g(SPEEDER NX BLACK 50/硬さS)、税込価格:10万5600円

ヤマハ「RMX VD/R ドライバー」は小ぶりなサイズ感で、いかにも操作性重視のツアーモデルといった顔立ち。オープンフェースでフラットに見えるライ角、時計でいうと1時、2時方向に張り出し感が大きく、フェースのトウ先に逃げ感もあることで、つかまり過ぎを抑えた形状に。「VD/M」との共通点はシャローバック形状で、アッパー軌道のイメージを湧かせてくれます。

やや小ぶりながらもやさしさを感じる「KURO」

体積:460cc、ライ角:57度、総重量:304g(CBT:624D/硬さS)、税込価格:8万5800円

グローブライド「オノフ ドライバー KURO」は、オーソドックスなやや小ぶりなヘッドで、クラウンに弓形の溝が入っていることが特徴です。1時、2時方向に張り出し感があり、ボールがつかまりすぎないイメージが持てる形状。スクエアフェースながらも、ややアップライト感があります。若干シャローフェースで、ほんのり球の上げやすさをイメージできます。

縦長輪郭でも操作性良好「B1ST」

体積:455cc、ライ角:57度、総重量:308g(VENTUS BS6/硬さS)、税込価格:8万8000円

ブリヂストン「B1ST ドライバー」は、明らかに縦長な輪郭のフォルムで、オープンフェースなヘッド形状。兄弟モデル「B2HT」「B-LImited B1LS」よりフラットに見え、つかまりすぎないイメージが持てます。ネックがヘッドの内部側に位置している「インセットホーゼル設計」で、重心距離を短くして操作性を上げ、インテンショナルに弾道を打ち分けやすい構造となっています。

まさにHT(高弾道)上げやすさ重視な「B2HT」

体積:460cc、ライ角:59度、総重量:296g(VANQUISH BS50/硬さS)、税込価格:8万5800円

ブリヂストン「B2HT ドライバー」は「B1ST」とは違い、ヘッドは丸型形状。4時、5時方向の張り出し感が大きく、典型的な“国産のつかまり顔”そのもの。強いフックフェースとアップライトなライ角で、ボールをつかまえるイメージが強く湧きます。FP値もリアルロフトも大きく、しかもシャローフェースなこともあり、ボールの上げやすさを連想できます。

ツアーモデルながらもやさしい丸顔「B1LS」

体積:455cc、ライ角:57度、税込価格:8万8000円(VENTUS BS6)※特注専用

ブリヂストン「B-Limited B1LS ドライバー」は、「B1ST」と「B2HT」の中間的な形状で、ツアーモデルながらも“国産のつかまり顔”イメージが湧く丸型です。強めのオープンフェースとシャローバックで、「B1ST」よりアッパー軌道をイメージしやすく、ソール後方にウエートがないことから浅重心設計と想定でき、低スピン弾道を顔立ちから想像することができます。

投影面積&フェース角でグラフ化

投影面積の大小(縦)とフェース角の左右(横)で表示

今回の9本を投影面積(縦軸)とフェース角(横軸)でグラフ化。単純に「投影面積」が大きければ、構えたときの安心感に。逆に小さければ、操作性の高さにつながる。「フェース角」はつかまりやすさを把握する指標に。最新ドライバーの購入を検討する際に参考にしていただきたい。

■ 松尾好員(まつお・よしかず) プロフィール

神戸大学工学部卒業後、住友ゴム(ダンロップ)に入社し、クラブの設計開発に携わる。世界4大メジャーで最も多くの選手にクラブを提供した日本人クラブデザイナーとして知られる。現在ジャイロスポーツを主宰。