テーラーメイド「Qi10」とキャロウェイ「パラダイム Ai スモーク」。どちらも2024年初頭に発売された人気クラブですが、11月に値下げされました。発売から1年も経たずに値下げされたのは、新モデルの発表が迫っているから。2025年早々、ほぼ間違いなく新モデルが発表されるでしょう。

近年この2社は同じような動きをしています。「Qi10」と「パラダイムAi スモーク」が発表される2カ月ほど前に、前作「ステルス2」と「パラダイム」を値下げしています。この“恒例行事”を期待し、冬のボーナスで狙っているゴルファーも少なくありません。値下げが決まった「Qi10」と「パラダイム Ai スモーク」のドライバーに関して、その特徴や選び方を改めて解説したいと思います。（解説／クラブフィッター・小倉勇人）

※本稿での表記価格は2024年12月2日現在のもので、すべて税込

改めて「Qi10ドライバー」はどんな特徴？

Qi10にはカーボンフェースを搭載したドライバーが3モデルラインアップされており、どのモデルも高い直進性能を有しています。適度な低スピン性能と高い直進性を持つ「Qi10」、可変ウエートによる調整機能と低スピン性能にさらなる磨きをかけた「Qi10 LS」、そして今作の目玉である、慣性モーメントを極限まで高めてミスへの寛容性と直進性を磨きぬいた「Qi10 MAX」です。

■Qi10 MAX ドライバー

「Qi10 MAX」は慣性モーメントに着目。ヘッド慣性モーメントの左右上下の合計値は1万を超えています。上下左右に打点がブレても、曲がりや飛距離ロスが非常に少ないのが特徴。前作「ステルス2」シリーズには類似モデルがなく、とにかくミスに強いモデルをお探しなら真っ先に候補に挙がる1本です。ヘッドスピードが40m/s前後なら純正シャフトのSフレックスがおすすめです。

スライサーには効果が大きいクラブで、「SIM ドライバー」を使っている私のお客さんに勧めたところ好結果が出ているとのことです。SIMは低スピンで前に行く弾道ですが、それなりに曲がってしまうことがありました。Qi10 MAXに替えたところ、打ち出し方向は変わらず曲がり幅がかなり減ったと喜んでいました。持ち球を大きく変えずに直進性を高めたいスライサーにはピッタリだと思っています。

ライバルモデルは、ピン「G430 MAX 10K」、ヤマハ「インプレス DRIVE STAR TypeD」、コブラ「ダークスピード MAX」あたり。どれも高い慣性モーメントを売りにした直進性の高いモデルです。

●純正シャフト装着モデル
定価：95,700円
現在のGDO価格：49,500円
お買い得度★★★☆☆

■Qi10 ドライバー

「Qi10」ドライバーは、アスリートが好む強弾道低スピン性能を持ちつつ、ミスへの寛容性を併せ持つモデル。「Qi10 MAX」よりも操作性は高いのですが、ほどほどに抑えられており、強振してもつかまりすぎません。このニュートラルなつかまり具合と直進性を生かしたティショットが期待できます。

シャフトにこだわらないのであれば、ヘッドスピード43m/sぐらいまでは純正Sシャフトで問題ないでしょう。ヘッドスピードがそれ以上あったり、もう少ししっかりした振り味を求めるならカスタムシャフトがおすすめです。

ライバルモデルは、キャロウェイ「パラダイム Ai スモーク MAX」やブリヂストン「B1 ST」、スリクソン「ZXi」といったところ。どれも直進性が高く、しっかり叩けるモデルです。

●純正シャフト装着モデル
定価：95,700円
現在のGDO価格：49,500円
お買い得度★★★☆☆

●カスタムシャフト装着モデル
定価：106,700円
現在のGDO価格：59,950円
お買い得度★★★★☆

■Qi10 LS ドライバー

「Qi10 LS」は文字通り（Low Spin)低スピン性能を高め、打点が少々ズレてもスピンが増えずに強い弾道を安定して打てるように設計されたモデルです。ヘッドの性能を生かすにはそれなりのヘッドスピードがいりますが、スピン過多で悩むゴルファーや、打ち出し角が高いゴルファーにとっては飛距離アップが望める可能性があります。

アスリートモデルらしくつかまり性能は控えめですが、可変ウエートを動かすことによってつかまりの調整が可能。ヒール側に動かせばつかまり性能を高められます。純正シャフトでも「Qi10 LS」のヘッド性能は存分に発揮できますが、ヘッドスピードが43m/s以上あるゴルファーはカスタムモデルがおすすめです。

ライバルモデルは、キャロウェイ「パラダイム Ai スモーク トリプルダイヤモンド」、スリクソン「ZXi LS」、タイトリスト「GT3」。強振してもつかまり過ぎず、強弾道が打てるモデルと真っ向勝負しています。

●カスタムシャフト装着モデル
定価：110,000円
現在のGDO価格：69,850円
お買い得度★★★★☆

改めて「パラダイム Ai スモーク」はどんな特徴？

「パラダイム Ai スモーク」は、キャロウェイ独自のAIをクラブ設計に取り入れて作られた「Aiスマートフェース」を搭載するシリーズ。使用が想定されるゴルファーのミスの傾向に合わせて、モデルごとにフェースが異なります。「パラダイム Ai スモーク MAX」「パラダイム Ai スモーク MAX D」「パラダイム Ai スモーク MAX ドライバー FAST」「パラダイム Ai スモーク トリプルダイヤモンド」の4機種がラインアップされています。※「トリプルダイヤモンド」は、限定販売モデルのため今回は除外しています。

■パラダイム Ai スモーク MAX ドライバー

「パラダイム Ai SOMKE MAX」はシリーズの中心的存在。打点がズレても飛距離ロスが少なく、高い直進性をもったヘッドです。可変ウエートによってつかまりも調整でき、幅広いゴルファーにマッチします。カスタムシャフトはつかまりを抑えたモデルが多いので、ある程度クラブにつかまえてほしいなら純正シャフトがおすすめです。

ライバルモデルは、テーラーメイド「Qi10」、ピン「G430 MAX」、ブリヂストン「B2 HT」。どれも扱いやすく、ほどよい低スピン性能を持っています。

●純正シャフト装着モデル
定価：96,800円
現在のGDO価格：49,500円
お買い得度★★★☆☆

●カスタムシャフト装着モデル
定価：116,600円
現在のGDO価格：66,000円
お買い得度★★★★☆

■パラダイム Ai スモーク MAX D ドライバー

「パラダイム Ai スモーク MAX D」は、スライスなど右へのミスに悩むゴルファーに向けたモデル。彼らに多いヒール寄りの打点でも飛距離ロスや曲がり幅が少なくなるよう設計されています。純正シャフトはつかまり具合が大きいので、右へのミスをとにかく軽減したいゴルファー向け。ある程度しっかり振っていきたいゴルファーはカスタムシャフトがおすすめです。

Aiスモークシリーズで最も特徴的なのがこのMAX Dだと思います。私もスライスをドロー系に変えたいというお客さんに対しては、真っ先に本モデルを推薦します。つかまり性能が高いので、人によってはスライスがドローになることもしばしば。持ち球を変えてでも好結果を期待したい向きには最適なドライバーだと感じています。

ライバルモデルはピン「G430 SFT」。どちらも、適度な重量がありつつもつかまりの良いモデルです。

●純正シャフト装着モデル
定価：96,800円
現在のGDO価格：49,500円
お買い得度★★★☆☆

■パラダイム Ai スモーク MAX FAST ドライバー

「パラダイム Ai スモーク MAX FAST」は、ちょっと体力が落ちてきて振れなくなってきたゴルファー向けにMAX Dを軽量化したモデルです。ヘッドを軽くするために弾道調整機能を搭載せず、シャフトも軽量の専用モデルを開発。もちろんフェースもAIで最適化し、非力な方でも最大限のポテンシャルを発揮できるように作られています。

ライバルモデルは、ダンロップ「ゼクシオ 13」、グローブライド「オノフ AKA」、ブリヂストン「B3 MAX」。軽量で振り抜きやすく、ミスにも強いモデルが対抗馬です。

●純正シャフト装着モデル
定価：96,800円
現在のGDO価格：49,500円
お買い得度★★★☆☆

現段階では最新技術！安いなら買いでしょ

値下がりしたモデルを購入するか、それとも最新モデルを待つか、悩んでいるゴルファーは多いと思います。所有感や最新技術を手にすることに重きを置くなら最新モデルもアリ。しかし発売から1年も経っておらず、現段階では最新技術を搭載した新品クラブを安く購入できるのは、非常に大きなメリットだと思います。

新製品の進化は楽しみですが、安く手に入れられる現行品を買うなら今だと思います！