インテスト、ビッグバーサC4、SLDR…尖りすぎ&攻めすぎ“メモラブルクラブ”を中古で愛でる

「インテスト、ビッグバーサC4、SLDR…」尖りすぎ&攻めすぎ“メモラブルクラブ”を中古で愛でる
超尖ったクラブとして未だに記憶に新しいSLDR

毎年多くの商品がリリースされるゴルフギアの中には、それぞれの時代で革新的なモデルがあった。世に出るのが早すぎたのか、あるいはその逆か…。派手なキャッチコピーも相まって、あまりに尖りすぎ、少々“悪目立ち”してしまったものも。今回はそんな記憶に残るクラブを紹介しよう。

「尖りすぎ=ダメなクラブ」ではない

尖りすぎというと、メーカーや周囲の期待に反して、ポジティブな反響が少なかったクラブが次から次へと頭をよぎる。しかし、それらすべてが性能的に劣っていたかと言えば違う。1990年代、キャロウェイは「S2H2」や「ビッグバーサ」シリーズなど、個性的なクラブを続々とヒットさせた。設計の自由な発想は、他メーカーにも大きな影響を与えた。その結果、各社による革新的なモデル開発の競争が激化し、少しばかり尖りすぎ、攻めすぎた商品も生まれた。

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パーシモンからメタルウッドへの移行期、国産メーカーは海外ブランドよりもイノベーティブだったと言える。ネックが異常に長いマルマンの「スッポン」、ヨネックスの「カーボンアイアン」、ダンロップが発売したスコアリングラインがないアイアン「DDHシルバー・エックス」、ホンマのパーシモンのデカヘッド「BIG-LB」など…。攻めまくって面白いクラブがたくさんあった。

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プロギアのインテスト。すごい色だったが大ヒットした

筆者としては、プロギアの“攻めっぷり”を高く評価したい。カーボンドライバーの「μ240」、アイアン型UTの元祖「インテスト」、「egg」シリーズ。当たろうが、当たるまいが、とにかくフルスイングする姿勢が好きだ。

カーボンフェースはようやく時代に追いついた?

失敗は成功の糧だから、今となっては笑い話になるはずのモデルを挙げてみよう。「E・R・C」(2000年)、「E・R・C II」(01年)が大ヒットして無双状態だったキャロウェイは02年にフェースだけでなく、ヘッド全体がカーボンの「ビッグバーサ・C4」をリリースした。寛容性は抜群ながら打球音が不評。「飛ぶイメージがわかない…」と、前作のセールスを著しく下回った。

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カーボンは長い間NGワードだった。左から時計回りにC4、グローレリザーブ、グローレ2014

テーラーメイドは2022年に満を持して「ステルス ドライバー」を発売したが、同じカーボンフェースは12年の「グローレ リザーブ」、14年「グローレ」でもすでに採用していた。当時はC4同様、市場の反応はもうひとつ。初代「グローレ」(12年)がシニア、女子ツアーで人気を博した後だっただけに、ヘッドに搭載するカーボン素材はネガティブに捉えられがちだった。

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なつかしきキャッチコピー

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左からR1、SLDR、SLDR-S。今でも”アレはどうだったの?”と当時のメーカー担当者に聞いてみたくなる

2013年に登場したテーラーメイド「SLDR」は、ウエート位置で重心距離を調整するレールをフェース側に配置。超浅重心ヘッドが生まれた。一般アマチュアが打つとあまりにスピン量が少なく、球が上がらない。次作の「SLDR-S」(14年)では、同じ構造で“ロフトアップ”というキャッチコピーを打ち出し、ロフト角10度、11度、12度、14度のモデルを用意した。「ロフトは大きいほうが良い」というアピールだったが、翌年の「M1」(15年)のロフトラインアップは9.5度、10.5度、12度。しれっと“ダウン”していた。

R1」(2013年)の宣伝文句は、「1ヘッドでゴルファーが必要とするコアロフトを全て網羅」だった。1つのヘッドが可変スリーブにより8度から12度までロフト角を調整でき、ウエート配置や、ヘッドの据わりをカスタムできるダイヤルまで搭載。これらを調節することで、128通りのセッティングが可能…という触れ込みだった。やっぱりロフトのバリエーションは1つでは足りないのでは…というのは、その後の歴史が証明。同社の革新的な発想のみならず、マーケティング術には恐れ入る。

国内メーカーにも尖ったモデルがあった

石橋を叩いて渡るイメージのある国内メーカーにも尖ったモデルが存在した。キャロウェイは2007年に四角いヘッドの「FT-i ドライバー」を出したが、ミズノの「JPX A25 ドライバー」(08年)は五角形。慣性モーメントが大きくミスヒットに強いが、重心距離が長めでつかまり具合がもうひとつ。メインターゲットと性能がマッチしなかった。

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攻めるから生まれるものもある。左下から時計回りにFT-i、A25、egg1、V-GT

ブリヂストン「ツアーステージ V-GT」(2007年)は大慣性モーメントの1W。投影面積が大きく、とても460ccには見えない。やはりミスヒットに強い一方、スピン量が多くて飛距離的にはイマイチだった。

PRGR「egg1」(2014年)も記憶に残したいドライバー。ロフト角は7.5度、長さは46.75インチ。エネルギー効率を上げて、重心深度を限界まで深くしてインパクトロフトをつけることでボールを上げるというかなり尖った設計だった。筆者も何度もリシャフトしてかなり楽しんだが、まさに“デッド・オア・アライブ”な性格。恐ろしく飛ぶか、チョロ連発…だった。

メーカーの開発者たちは血のにじむような努力で、新製品を生み出している。仮説を検証し、自信を持って世に送り出したモデルには敬意を払いたい。時代の都合もあって、たまたま売れなかっただけという商品がいくつもある。

テーラーメイドはカーボンフェースに再挑戦して大ヒット商品をつくり、キャロウェイもC4のノウハウを感じさせるクラブを続々と発売している。そういった、尖ったモデルを筆者は愛さずにはいられない。ちなみに、中古で探せばそれぞれが1万円以下で手に入るものばかり。話のネタにゲットしてみてはどうだろう。(文・田島基晴)

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田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。

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